Project/Area Number |
23K19525
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0901:Oncology and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
天貝 諒 東北大学, 大学病院, 助教 (10982390)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | LL-37 / 菌状息肉症 / CXCL5 / MMP1 / 腫瘍随伴性M2マクロファージ / マトリックスメタロプロテアーゼ / 腫瘍随伴マクロファージ / 皮膚T細胞性リンパ腫 |
Outline of Research at the Start |
代表的な皮膚T細胞性リンパ腫である菌状息肉症において、まず腫瘍内での抗菌ペプチドLL-37の発現とその発現細胞を同定する。LL-37が菌状息肉症細胞と腫瘍随伴性マクロファージへ与える影響を、血管新生因子や各種ケモカインの誘導を解析することにより解明し、血管内皮細胞への作用を実際に評価する。皮膚T細胞性リンパ腫のマウスモデルを用いて、LL-37が実際に腫瘍進展に与える影響を検証し、血管新生因子やケモカインの解析を通してそのメカニズムを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、はじめに東北大学皮膚科で治療した菌状息肉症20例に対して、LL-37の発現を免疫染色で検討した。その結果、LL-37は菌状息肉症の腫瘤期に陽性細胞が増加することが明らかとなった。また、LL-37陽性細胞を認める領域に、CD163陽性腫瘍随伴性マクロファージをLL-37と同様に認めた。次に、腫瘍内浸潤細胞でLL-37優位な細胞群の詳細を蛍光免疫染色で確認し、LL-37陽性細胞の多くがCD163+腫瘍随伴性マクロファージであることを確認した。次に、腫瘍内浸潤細胞の主な構成細胞であるリンパ腫細胞とCD163陽性細胞に対するLL-37の作用を、CD14陽性単球から誘導したM2マクロファージを用いて検証した。その結果、LL-37は、CXCL5およびMMP1のmRNAの発現の増幅と、同タンパクの産生を促進することが明らかとなった。CXCL5は早期の菌状息肉症で増加するケモカインでマクロファージの前駆体を遊走させることを我々は報告している(Furudate et al. Exp Dermatol 2016)が、今回の研究で新たに腫瘤期においてもLL-37の存在下でマクロファージからの産生が増加しうることを明らかにした。さらにCXCL5は近年、内皮細胞を介した腫瘍血管新生に関与することが注目されていることからも、マクロファージからのCXCL5の産生は菌状息肉症における腫瘍形成に重要な役割を果たすことが推測される。また、血管新生加えて、腫瘍の局所浸潤に関わることが知られているMMP-1のマクロファージからの産生が増加することより、LL-37は菌状息肉症腫瘤期の腫瘍の局所定着に関与することが示唆された。以上、当該年に当初の目的を順調に進捗し、次年度のマウスin vivoモデルに繋げる結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年は当初の目的の第一項目として、菌状息肉症におけるLL-37の発現がCTCL細胞およびTAMsに与える影響を血管新生因子中心に網羅的に解析することを、はじめに菌状息肉症検体で、LL-37および腫瘍随伴性M2マクロファージの局在を明らかにした。続いて、LL-37のM2マクロファージへの影響をヒト菌状息肉症モデルで主にヒト検体とin vitroモデルで検討した。その結果、LL-37はM2マクロファージのMMP-1, CXCL5, IL-23p19のmRNA発現およびCXCL5, MMP-1のタンパク産生を増加することを明らかにした。これら、菌状息肉症の腫瘤期における腫瘤形成および腫瘍の局所浸潤・定着のメカニズムを明らかにする上で重要である因子をはじめに抽出することができた。次年度は、これらケモカイン、matrix metalloproteinaseを軸に、腫瘍形成に関与する因子を網羅的に検証することを目的にマウスcutaneous T cell lymphoma (CTCL)であるEL-4モデルを使用する予定であり、当該年にEL-4モデルにおけるCRAMP (マウスLL-37)の至適濃度の決定するための研究を開始し、至適濃度を20 μg/ mouseに決定した。さらに、この至適濃度のCRAMPを局注した腫瘍の採取を開始し、RNA Sequence解析用のmRNAの抽出を進めている。以上、当該年は当初予定していたものの60%は達成しており、加えて新規にEL-4腫瘍の網羅的解析の準備を開始するなど、良好な進捗を示している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究期間に、当初の目的であったEL-4モデルを用い、CTCLに対するCRAMP(mouse LL-37)の作用メカニズムの解析を、新規RNA Sequenceを用いる研究に修正し、より網羅性を上げる予定である。具体的には、今年度決定したCRAMPの至適濃度である20 μg/ mouseをEL-4腫瘤に局注し、48時間後に腫瘍を回収、全体からtotal RNAを抽出しRNA Sequenceを試行する予定である。また、加えてRNA Sequenceで得られたシグナル経路を定量的PCRで検証し、EL-4腫瘍の進行に関与する因子を決定する。以上、次年度以降に我々は、CRAMPのEL-4の腫瘍形成に与えるシグナル経路の解析を進め、今年度に臨床検体およびin vitro実験で得た知見へのin vivoでの関与を検証する予定である。この網羅的解析により、LL-37の菌状息肉症(CTCL)における病態学的意義が明らかになり、当初の目的であった表在感染におけるCTCLの悪化因子およびそのシグナル経路が明らかとなる。次年度にさらにLL-37の下流シグナルを明らかにすることにより将来的には、現存のCTCL全身治療薬および他癌腫で使用可能な薬剤の適用など、CTCLの新たな治療法の開発に貢献するものと考える。以上、本研究は当該期間に当初の目的通り、今後の新たな研究の足掛かりとなる基礎データも複数とることができた。これらは次年度以降のプロジェクトで引き続き研究する予定である。
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