Project/Area Number |
23K19552
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0901:Oncology and related fields
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
寺嶋 雅彦 朝日大学, 歯学部, 講師 (20398085)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 腫瘍微小環境 / コラーゲン / 翻訳後修飾 |
Outline of Research at the Start |
本邦において、がんで亡くなる患者は増加の一途を辿っている。治療では手術療法、放射線療法、化学療法に加え、近年、免疫療法や遺伝子療法が開発されている。しかし、難治性がんは予後不良になりやすく、新規治療や新規薬剤開発の遅れが生じやすい問題がある。また、がんによる殆どの死因は転移によるため、最近、細胞外マトリックスに国内外で注目が集まっている。実際、コラーゲンに形成されたクロスリンクが増加することで、組織が硬化し、がんの転移促進が報告されている。しかし、その分子的なメカニズムは十分に分かっていない。そこで本研究では、がんの微小環境におけるコラーゲンの翻訳後修飾とがんの転移の関係の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
がんで亡くなる患者は、本邦において増加の一途を辿っている。治療では手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)に加え、近年、免疫療法や遺伝子療法が開発されている。しかし、難治性がんは予後不良になりやすく、希少がんは症例数が少ないため新規治療や新規薬剤開発の遅れが生じやすいことなど依然として問題がある。また、がんによる殆どの死因は転移によるため、最近、腫瘍細胞の動きに影響を与える細胞外マトリックスに国内外で注目が集まっている。実際、コラーゲン線維に形成されたクロスリンクが増加することで、組織が硬化し、がんの転移促進が報告されている。しかし、その分子的なメカニズムは現在のところ十分に分かっていない。そこで本研究においては、がんの微小環境におけるコラーゲンの翻訳後修飾、中でもクロスリンクの形成にとって鍵となる酵素の活性メカニズムが解明出来れば、がんの転移を抑制することができるのではないかと考える。なお、この問いに対する解明は、主要ながんの研究から得られた知見を難治性がんや希少がんに対しても適用できる可能性を秘めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らは今までに肺がんが転移する際、腫瘍細胞の増殖に伴う低酸素状態下で腫瘍細胞内のLH2が過剰発現することを見つけた。さらに、この過剰発現したLH2により、正常な肺組織(軟組織)に本来であれば殆ど認められず、骨(硬組織)にのみ存在する架橋が腫瘍間質で異常に形成され、その結果、コラーゲンのマトリックスが硬化し、腫瘍細胞の移動を手助けすることも明らかにした。また、口腔扁平上皮がんにおいて過剰なLH2の発現は、がん細胞の頸部リンパ節への転移とも有意に関係していることを示した。さらに、自然発症したイヌの乳がんにおいて、腫瘍間質のI型コラーゲンにおけるテロペプチドのリジンは、LH2により著しく水酸化され、異常なクロスリンクが形成されることを明らかにした。 本研究の初年度としては、CRISPR/Cas9系による遺伝子標的用プラスミドベクターを用いて、コラーゲンの翻訳後修飾に特異的な遺伝子の欠損をB16マウスmelanoma細胞株に導入する。例えば、LH2を標的にした場合、pCGSap1-LH2およびpPGK-Puro(puromycin耐性遺伝子発現ベクター)をNeon® Transfection Systemを用いて各細胞株に遺伝子導入し、puromycinで選択する。現在、B16マウスmelanoma細胞株をヌードマウスの皮下および膵臓、脾臓に移植し、多臓器への転移を評価している
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Strategy for Future Research Activity |
CRISPR/Cas9系による遺伝子標的用プラスミドベクターを構築し、B16マウスmelanoma細胞株などにtransfectionした後、薬剤により選別後、目的とする遺伝子を欠損したがん細胞を作成する。そして、作製した細胞はoff-targetの効果を確認後、RT-PCRやWestern blot analysisにより遺伝子発現とタンパク質のレベルを確認後、ヌードマウスの皮下もしくは膵臓や脾臓に接種し、がん細胞の浸潤や転移を生化学的、分子生物学的、および組織学的に分析する。具体的には、形成されたがん組織を摘出後、コラーゲン分子に形成されるクロスリンク(架橋)などの翻訳後修飾を解析する。また、摘出した組織において、コラーゲンの翻訳後修飾に関与する酵素の遺伝子発現やタンパク質のレベルを解析することで、がんの浸潤や抑制を分析する。
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