Project/Area Number |
23K19558
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0902:General internal medicine and related fields
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
宮田 匡大 山形大学, 医学部, 医員 (50851515)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 急性移植片対宿主病 / 急性腎障害 / 造血細胞移植 |
Outline of Research at the Start |
急性腎障害(AKI)は造血細胞移植(HCT)後に高頻度に生じる合併症であるが、腎毒性薬剤などの様々な要因が複合しているため正確な病態解明はなされていない。急性移植片対宿主病(GVHD)は、同種HCTの重篤な合併症の一つであり、ドナーT細胞によるレシピエント臓器の傷害がその主病態である。腎臓は一般的には急性GVHDの標的とは認識されていないが、近年の研究では急性GVHDと腎障害の関連が示唆されている。本研究では、骨髄移植マウスモデルを用いて、同種ドナーT細胞が腎臓に及ぼす影響を解明することを目的とする。HCT患者のAKIリスク評価やAKIの予防・治療法の開発に結び付くことが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、造血細胞移植後に生じる急性腎障害のメカニズムの解明を目的とし、特にドナーT細胞による免疫応答を主病態とする急性移植片対宿主病(GVHD)が腎臓に与える影響に着目している。造血細胞移植後の急性期に腎生検を施行できることは稀であり、臨床的な研究は限られている。そこで、本研究ではマウスGVHDモデルを用いて、ドナー由来の免疫細胞がレシピエントの腎臓に与える影響について検討している。 主要組織適合性複合体(MHC)不一致ドナーからの同種造血細胞移植後の腎臓では、ドナーT細胞の活性化が有意に亢進しており腎障害が強く誘発されるという結果を既に得ていた。本課題ではより実臨床に近い形での研究を目指している。 上記のモデルでは移植前処置として骨髄破壊的な全身放射線照射を行っている。前処置の放射線強度を減弱したモデルによる実験を行ったところ、腎臓に浸潤するT細胞数は減少するものの、同種移植のレシピエントにおいてコントロールである同系移植よりも腎障害が強い傾向にあった。造血細胞移植後の腎障害が前処置毒性のみに依存するのではなく、それを誘因としながらもドナー免疫応答の影響を受けることを示唆するデータであった。 さらに、MHC半合致およびMHC一致・マイナー抗原不一致ドナーからの造血細胞移植によるGVHDモデルマウスを作成した。これらのモデルの同種移植群では、腎障害の尿中バイオマーカーが上昇していることを確認した。これらのモデルを使用して、レシピエントの腎臓におけるドナー由来免疫細胞の浸潤や活性化を評価する予定である。さらに、GVHDの予防のために用いられている免疫抑制剤をマウスモデルでも投与し、腎臓における免疫応答が有意なものかを検討することも目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主要組織適合性複合体(MHC)不一致ドナーからの造血細胞移植マウスモデルにおいて、レシピエントの腎臓にドナーT細胞が浸潤し活性化していることを既に示していたが、移植前処置としての全身放射線照射の線量を半分に減らした強度減弱前処置による移植でも同様の傾向が維持されることを確認した。 次に、MHC一致の移植モデルやGVHD予防のための免疫抑制剤投与下で、レシピエントの腎障害の変化やドナーT細胞の浸潤について検討する必要があると考えた。そのためにMHC半合致およびMHC一致・マイナー抗原不一致の造血細胞移植モデルを作成した。移植前処置の強度や移植する細胞数を調整し、移植片が拒絶されずに移植片対宿主病(GVHD)を観測できるようにする必要があった。これらのモデルでも、同種移植レシピエントで、コントロールである同系移植レシピエントと比較して、腎障害が誘発されていることを確認した。今後の実験の前提となるモデル作成であった。 本研究の主題であるGVHDと腎障害の関連を検討するために、上記のモデルを用いて、レシピエントの腎臓に浸潤した炎症細胞を免疫染色やフローサイトメトリーにより評価する予定である。再現性確保のために、それぞれ複数回の移植実験を行う。さらに実臨床の条件に近づけるために、免疫抑制剤を投与したレシピエントの腎臓の解析も計画しているが、いずれも今後着手しなければならない課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
主要組織適合性複合体(MHC)不一致移植以外のマウスGVHDモデルや免疫抑制剤を投与されたレシピエントの腎臓におけるドナー由来免疫細胞を評価することが今後の課題である。 MHC半合致およびMHC一致・マイナー抗原不一致のマウス造血細胞移植モデルを作成し、同種移植レシピエントの腎障害が同系移植レシピエントよりも強いことを確認した。これらのモデルを用いて、レシピエントの腎臓への免疫細胞の浸潤を病理組織標本の免疫染色および、フローサイトメトリーで測定する。フローサイトメトリーでは特にドナーT細胞の分画や活性化マーカーの発現、サイトカイン産生能も併せて評価する。 さらに、GVHD予防薬として汎用されているカルシニューリン阻害薬をレシピエントマウスに投与する実験も計画している。臨床の同種造血細胞移植ではGVHD予防のための免疫抑制剤は必須であり、この条件下でもドナー免疫が腎臓に影響を与え得るのかを検討することが目的である。 これらの細胞レベルの解析のためには、実験の再現性を確保するため、1モデルにつき3~4回の移植実験を行う予定である。
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