Project/Area Number |
23K19567
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0902:General internal medicine and related fields
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西村 由宇慈 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80980698)
|
Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | 多系統萎縮症 / コネキシン / オリゴデンドロサイト / シヌクレイン / OPC / 髄鞘再生 |
Outline of Research at the Start |
神経難病の一つである多系統萎縮症(MSA)において最も重要で特徴的な病理所見は、オリゴデンドロサイトのリン酸化αシヌクレイン蓄積とグリア細胞質封入体(GCI)形成である。しかし、どのようなメカニズムで脱髄や神経細胞死が生じるのか未解明であり、髄鞘形成を担うオリゴデンドロサイトの分化や成熟について系統的に検討した報告は、MSAでは殆ど無い。私たちはMSAにおける脱髄形成にオリゴデンドロサイトの分化および成熟障害が寄与しているという新たな仮説から、MSA剖検脳の神経病理学的解析、モデルマウスおよび培養細胞実験を用いた多面的アプローチによるMSAの病態解明と新規治療法開発に繋がる基盤を構築する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
多系統萎縮症(MSA)は小脳入力系や黒質線条体の髄鞘脱落と神経障害を呈するが、その機序は解明されていない。2023年はMSA病変のグリア細胞におけるギャップ結合蛋白コネキシン群の病理学的解析を行い、国際神経病理学会誌Brain Pathologyにfirst authorとして論文を掲載した。さらに、2023年にMSAにおけるオリゴデンドロサイト系統細胞を病理学的に解析している。MSA15例の剖検標本を使用し、小脳入力系白質でKluver-Barrera染色を行い、髄鞘脱落をStage I(軽度)、Stage II(中等度)、Stage III(重度)と病期分類した。オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)はNG2、ミエリン形成前オリゴデンドロサイト(preOL)はGPR17、BCAS1、ENPP6、成熟オリゴデンドロサイト(OL)はTPPPをマーカーとして免疫染色を施行した。Stage Iは5例、Stage IIは3例、Stage IIIは7例に分類され、Stage Iではリン酸化αシヌクレイン陽性グリア細胞質封入体を伴うTPPP陽性OLが多数観察され、進行とともにOL数は減少した。NG2陽性OPCはStage I、IIで多く認められ、Stage IIIでは減少していた。GPR17陽性preOLはStage Iで軽度の増加、Stage IIで顕著に増加し、Stage IIIで消失していた。BCAS1とENPP6陽性preOLは全ての病期で少数認められた。GPR17陽性preOLはStage Iで多くの突起を軸索に伸ばす所見をみとめ、Stage IIやStage IIIでは軸索との接着は見られなかった。GPR17はオリゴデンドロサイト分化の抑制因子とされており、MSAにおいて髄鞘脱落や再髄鞘化阻害に寄与している可能性が示唆され、新規治療標的となり得ると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コネキシン蛋白群に関する研究は原著論文としてBrain Pathology誌に報告することができ、オリゴデンドロサイト前駆細胞に関する研究もヒトMSA剖検標本を用いた解析は順調に進行できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
オリゴデンドロサイト前駆細胞に関して、ヒトMSA剖検標本から得られた知見を、私たちが樹立したMSAモデルマウスでも検証予定としている。GPR17の発現を病理学的検討および遺伝子発現解析を行い評価すること、さらにGPR17を標的とした薬剤を用いて治療効果が得られるか検証する。
|