Project/Area Number |
23K19579
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0902:General internal medicine and related fields
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
蕭 詠庭 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (10986839)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 加齢関連線維性疾患 / 特に非アルコール性脂肪性肝炎 / 拡張不全型心不全 / 老化促進タンパク / 褐色脂肪 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は老化および加齢性疾患に伴い上昇する「老化促進分子」を制御し、HFpEFやNASHに対する次世代の治療法を開発することにある。老化促進分子の中でも分泌型線維化促進タンパクPCPE-1に特に着目し、病的意義の解明及び疾患横断的治療法開発に挑む点で独自性が高く且つ創造的である。予備的検討の結果、分泌型線維化促進分子であるPCPE-1が加齢や肥満に伴いヒト及びマウスの血液中で上昇することがわかった。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究検討の結果、AFPは、1)ヒト老化個体、2)拡張不全型心不全(HFpEF)症例、3)心房細動症例、4)慢性腎障害(CKD)症例、5)サルコペニア症例、6)MASH症例、7)肥満モデルマウス、8)老化マウス、9)MASHモデルマウスの血漿で上昇することが明らかになった。遺伝子改変動物を用いたモデル等でAFPを抑制することで、1)肥満モデルマウスの左室拡張能や左心室の線維化、2)心房の線維化、3)MASHマウスモデルにおける肝臓の線維化、4)肥満モデルマウスの骨格筋および腎臓の線維化が改善することも明らかになった。加齢とともに血液中のAFPのレベルが有意に上昇するため、AFPを「老化促進タンパク」と定義した。加齢関連線維性疾患(A-FiD)をHFpEF、心房細動、非アルコール性脂肪性肝炎MASH、CKDなど、加齢と共に罹患率が増加し組織の線維化が中心的病態を形成する疾患と新しく定義した。様々な検討の結果、AFPは機能不全に陥った褐色脂肪から分泌されていることがわかった。全身AFPノックアウトマウスに加え、Floxed AFPマウスを開発し、Ucp1 Creマウスと交配することで褐色脂肪特異的AFPノックアウトマウスを開発した。全身AFP KOマウス、褐色脂肪特異的AFP KOマウスに高脂肪食を負荷したところ、心臓の線維化が抑制され左室拡張能が改善した。肝臓の線維化も抑制されることがわかった。また、中神らとの共同研究でAFPに対するペプチドワクチンを作成し肥満モデルマウスに投与したところ、心臓の線維化がAFPペプチドワクチン投与により抑制され、拡張能が改善することもわかった。同様に肝臓の線維化も抑制された。肥満ストレスが加わると、褐色脂肪細胞で過剰な脂肪酸流入→cFOS→AFPという経路でAFPの発現が上昇することアデノ随伴ウイルスを用いた検討からわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時点までの予備的検討の結果、AFPは、1)ヒト老化個体、2)高度左室拡張不全症例、3)肥満モデルマウスの血漿で上昇することが明らかになっていた。AFP全身ノックアウト(KO)マウス、褐色脂肪特異的KOマウス(AFPは褐色脂肪で主に産生される)を用いて検討を行った。あらゆる分子生物学的手法を用いた検討によりMASHやHFpEFにおけるAFPの病的意義を明らかにし、治療標的となりうるか詳細な検討を行った。本研究課題に先行する形で行なった検討において、様々な遺伝子改変動物を用いた検討の結果、MASH における、AFPの病的意義が明らかになりつつあった。ペプチドワクチンを用いた系で、AFPを抑制できるか検討を行なった(中神らとの共同研究)。AFPに対するペプチドワクチンを用いた検討の結果、ワクチンを投与したMASH肥満モデルマウスの肝臓で線維化が抑制されることがわかっていた。また、バイオインフォマティクスの手法等を用いた検討の結果、AFPが主に褐色脂肪で産生されること、AFPのプロモーター領域に転写因子であるcFOSが結合し、発現を生に制御する可能性が示唆されていた。肥満マウスの褐色脂肪を用いcFOSのレベルを検討したところ、高脂肪食負荷時には褐色脂肪のcFOSの発現が上昇することがわかった。そこでcFOSを発現するアデノ随伴ウイルスを作成し、代謝ストレス→cFOSの核への移行→AFP発現レベルの上昇、という経路を検討することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果、AFPは、1)HFpEF症例、2)心房細動症例、3)ヒト老化個体、4)老化モデルマウスの血液で上昇することが明らかになっている。また、全身及び臓器特異的PCPE-1ノックアウトモデルを用いた検討により 1)肥満モデルマウスの左室拡張能及び左心室の線維化、2)肥満モデルマウスの骨格筋および腎臓の線維化が改善することも明らかになっている。AFPノックインマウスに高脂肪食負荷を行い、HFpEFや心房細動におけるAFPの病的意義を検討する。老化させた際の表現型とAFPが増加する機序の解析も行う。肥満ストレスが加わると、褐色脂肪細胞で過剰な脂肪酸流入→cFOS→AFPという経路でAFPの発現が上昇することアデノ随伴ウイルスを用いた検討からわかった。加齢に伴いAFPの発現が褐色脂肪で上昇するが、その詳細な機序を現在検討中である。これらの検討を踏まえ、組織特異的にAFPの発現を強発現できるマウスを開発したいと考え、高橋ら(筑波大学)と共同研究を行いマウスAFP過剰発現マウス、ヒトAFP過剰発現マウスを開発し現在コロニーを増やしているところである。また、AFP中和抗体はMBL赤塚らから提供され既にシーズ抗体は得られており、モノクローナル抗体を開発中である。今年度に得られたモノクローナルをヒトAFPノックインマウスに投与し表現型の解析を行う。AFP抑制作用を有する低分子化合物の探索も行う。ハイスループットスクリーニングの系は既に確立され、今年度のスクリーニングの実施を目指す(第一三共との共同研究)。
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