Project/Area Number |
23K19641
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0905:Surgery of the organs maintaining homeostasis and related fields
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
松本 恭平 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (50981015)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | inflammatory CAFs / 膵癌化学療法抵抗性 / Evans分類 / RNAシークエンス |
Outline of Research at the Start |
膵癌の腫瘍微小環境に存在する癌関連線維芽細胞(CAFs)は癌の増殖・転移や薬剤耐性に関与している。一方、近年、CAFsは多様な機能をもつ細胞の集団であり、CAFsのサブタイプによって癌促進性または癌抑制性といった相反作用を認めることが報告された。特に、inflammatory CAFs(iCAFs)は、抗癌剤治療を受けた腫瘍微小環境内において増殖し、様々な遺伝子発現することがわかっている。本研究では膵癌抗癌剤治療有効症例および抵抗症例においてiCAFsの網羅的遺伝子発現解析結果を比較し、抗癌剤抵抗性の新たな分子メカニズムを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
膵癌の腫瘍微小環境に存在する癌関連線維芽細胞(CAFs)は癌の増殖・転移や薬剤耐性に関与している。一方、近年、CAFsは多様な機能をもつ細胞の集団であり、CAFsのサブタイプによって癌促進性または癌抑制性といった相反作用を認めることが報告された。特に、inflammatory CAFs(iCAFs)は、抗癌剤治療を受けた腫瘍微小環境内において増殖し、癌促進性の遺伝子を発現することがわかっている。本研究ではEvans分類(膵癌の病理組織学的治療効果判定方法)に基づいて、膵癌を抗癌剤治療有効症例と抵抗症例に分類し、それぞれの症例における膵癌切除組織から凍結バルク組織標本及びOptimal Cutting Temperature(OCT)包埋標本を作製し、ゲノム変異や発現遺伝子の解析を行う。これら解析により、各症例のiCAFsに特徴的な遺伝子を解析することによって、抗癌剤抵抗性の新たな分子メカニズムを解明する。凍結バルク組織標本ではsingle-nuclei RNA sequencing (snRNA-seq)を行い、単一細胞レベルでの遺伝子発現解析から、各症例に特徴的なiCAFsの遺伝子発現を解析できる。また、バルク組織のまま網羅的な遺伝子発現解析を行うことで抗癌剤治療有効症例と抵抗症例の組織全体における遺伝子発現の変動を解析可能である。OCT包埋標本では組織における細胞の位置情報と遺伝情報を組み合わせて解析する空間ゲノミクス解析を行い、iCAFsの発現遺伝子を解析するのみならず、周辺に存在する免疫細胞や腫瘍細胞との相互作用を解析する。本年度は、検体の取得と網羅的遺伝子発現解析の実験手技確立に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、9検体より組織を取得し各々、凍結バルク組織標本とOCT包埋標本を作製した。 凍結バルク組織標本ではsnRNA-seqの条件検討を行い、単一細胞レベルでの網羅的な遺伝子発現解析の手法を検討中である。腫瘍組織からの核抽出は成功したが、核に含まれるRNAの質が悪いことが課題となっており、手術後から検体を液体窒素で保存するまでの手順を迅速化し、RNAの質を保った検体回収に取り組んでいる。また、バルク組織標本をRNA安定化試薬中に保存した腫瘍組織および正常組織では質の高いRNAの抽出に成功し、次世代シークエンサーで解析するバルクRNAのライブラリー調整を行い、シークエンスを行う準備ができた。OCT標本においては、薄切切片から位置情報を保持したまま遺伝子情報を解析する空間ゲノミクスの実験条件を最適化する条件検討に取り組み、RNAの発現解析から組織中の細胞不均一性を解析することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
凍結バルク組織標本においては、検体回収手順を見直した標本を用いて再度snRNA-seqに取り組み、癌剤治療有効症例と抵抗症例それぞれに特徴的なiCAFsの遺伝子発現を解析する。OCT標本においては、RNAの空間解析に成功したので、症例を増やして各症例に特徴的なiCAFsと周辺細胞の細胞間相互作用解析を進める。ゲノム変異の解析に関しては、gDNAの検出率が低いため、実験手法の条件や試薬のさらなる条件検討が必要である。 膵癌の抗癌剤抵抗性に寄与する遺伝子が同定された後は、得られた遺伝子に対するsiRNAを作製する予定である。siRNAはリポフェクションを用いて、標的遺伝子をノックダウンした膵癌細胞を用いて、組織微小環境を再現している膵癌オルガノイドを作製し、抗癌剤(GnP)を導入し、膵癌細胞の増殖を確認することで遺伝子の影響を確認する。
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