Project/Area Number |
23K19760
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0907:Oral science and related fields
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
宮野 侑子 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (90981803)
|
Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | ヒト歯髄幹細胞 / イオン / 分化誘導 / 覆髄剤 / 象牙芽細胞様細胞 |
Outline of Research at the Start |
覆髄剤として接着性コンポジットレジン(CR)を用いた場合、硬組織の形成は認められるが、その速度は緩慢である。我々は、ヒト歯髄幹細胞(hDPSC)の象牙芽細胞様細胞(OLC)への分化と硬組織形成を誘導したストロンチウムイオン(Sr)、ホウ酸イオン(B)、ケイ酸イオン(Si)に着目し、これらイオンの徐放機能を付与したフィラーをCRに配合することにより、硬組織形成能を改善した「新たなCR覆髄剤」の開発とその臨床応用に向けた検討を進めている。そこで、hDPSCの分化とOLCの硬組織形成に対するSr、BおよびSiのシグナル伝達経路を解明し、覆髄剤として最適なイオンの混合比率を決定する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヒト歯髄幹細胞(hDPSC)の象牙芽細胞様細胞(OLC)への分化と硬組織形成に対するストロンチウムイオン(Sr)、ホウ酸イオン(B)およびケイ酸イオン(Si)のシグナル伝達経路(MAPK経路)を解明(令和5年度)し、さらに覆髄剤として最適なイオンの混合比率を決定する(令和6年度)ことである。研究実施計画に基づき、培地(DMEM)に各イオンを添加して培養したものを実験群、イオン非添加を対照群とした。培養は最長で28日間とした。 令和5年度は、hDPSCの分化と硬組織形成におけるSr、BおよびSiの作用機序について、ウェスタンブロット分析によりMAPK経路の検索を行った。培養したhDPSCをRIPAバッファー中で溶解したのち、アセトン沈殿法によりタンパク質の濃縮と阻害物質を除去したものを試料とした。抗体としては、p38、p-p38、JNK、p-JUNK、Erk1/2およびp-Erk1/2、HRP標識二次抗体および内部標準としてα-Tubulinを用いた。Erk1/2は細胞増殖、分化、生存に、JUNKは細胞のストレス応答に、p38は細胞増殖、分化、炎症などに関連するシグナル伝達分子である。 実験の結果、Srを添加した群で、Erk1/2とJUNKが、BならびにSiを添加した群で、JUNKが陽性であった。p38は全ての群で陰性であった。また、各リン酸化抗体は、全て陰性であった。これらの結果から、検索したいずれの経路も、イオンの添加による明らかな活性化を認めなかった。しかしながら、各リン酸化抗体の反応は偽陰性の可能性があるため、今後条件を変更して再実験を行う必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画に基づき実験を進行できているが、いずれのイオンもシグナル伝達経路の特定には至っていないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
一般にトータルタンパク質と比較するとリン酸化タンパク質の割合は著しく微量であることから、ウェスタンブロット分析での検索の際、リン酸化タンパク質のシグナルが弱く、検出が難しい場合がある。本研究でも、各リン酸化抗体が全て陰性であったことから、今後はウェスタンブロット分析の検出性を向上させる必要がある。具体的には、アトグラム高域のタンパク質を検出可能な高感度の化学発光基質を使用する。なお、バックグラウンドの反応を抑えるために、抗体の希釈倍率は適宜最適化を行う。それでも検出できない場合は、別のシグナル伝達経路の検索を検討する。
|