Project/Area Number |
23K19774
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0908:Society medicine, nursing, and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松島 敏夫 九州大学, 大学病院, 医員 (80985664)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ひきこもり / コミュニケーションロボット / ひきこもり評価法 / うつ病 / Hikikomori / Social isolation / Communication robot / Assessment method / Depression |
Outline of Research at the Start |
「社会的ひきこもり」は、社会的孤立を招く代表的現象である。申請者はひきこもり者の病態評価の一環として、ロボット(CommU)を用いたうつ病重症度評価が有用であることを世界で初めて示した(Matsushima et al, in revision)。ひきこもり者は相談機関や病院を訪れることができず、適切な評価、支援や併存疾患の治療を行うことが困難である。本研究では「ロボットは対人と比較してひきこもり者の評価、支援に有用である」との仮説を立て、遠隔操作が可能な非対人の媒体であるロボットを用いてひきこもり者の評価を行い、外出が困難なひきこもり者のニーズに合った評価支援法の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
社会的孤立(social isolation)は身体および精神の健康に大きな影響を及ぼす。「社会的ひきこもり(以下「ひきこもり))」は、6ヶ月以上、就労・学業など社会参加をせずに家庭内にとどまっている社会現象、またはその状態にある者(以下「ひきこもり者」)で、社会的孤立を招く代表的現象である。研究代表者が操作担当者として参画した先行研究では、ひきこもり者は人よりもロボットの方が内面を正直に表出しやすい(Yoshikawa et al., 2021)可能性を示した。
本研究の目的は「ロボットは人と比較してひきこもり者の評価、支援に有効である」との仮説を立て、外出が困難なひきこもり者のニーズにあった評価支援法の開発を行うことであった。ロボットを用いたひきこもり評価システムを開発し、それを実際の患者あるいは健常者に用いて検証することで、外出が困難なひきこもり者に対し、ロボットを用いたひきこもり評価システムが人による評価と比較して有効であることを示し、よりよいひきこもり評価支援システムを創出することを目的とした。
令和5年度はこれまでに用いたロボットによるひきこもり評価システムをより操作し易い形へアップデートした。九州大学気分障害ひきこもり外来でひきこもり者・非ひきこもり者を含む外来患者および健常者のエントリーを行い、この新システムを用いて参加者の外出状況や抑うつ重症度の評価を行った。ひきこもり者および非ひきこもり者の傾向について予備的な解析を行い、研究協力者との意見交換を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、ひきこもり評価支援システムを創出するために、研究代表者がこれまでに行ってきたロボット面接の手法を応用して、ひきこもり者においてひきこもり評価面接を行うことが可能であるかを検証することである。 令和5年度はまずコミュニケーションロボットCommUに搭載されたひきこもり評価システムのアップデートおよび動作の確認を行った。そのシステムを用いて、九州大学病院気分障害ひきこもり外来およびその関連施設で参加者のエントリーを行い、外来患者群と健常者群の参加者に対し外出状況の評価を行った。また、参加者に対し自記式のアンケートを行い、ロボットを用いた面接に対する印象を記載してもらった。外来患者群でひきこもりなしの者13名、ひきこもり的な者13名の参加、健常者群は27名の参加であった。これらの結果は現在解析中であるが、ロボットによる評価は人による評価と同様に、ひきこもり者の外出状況を評価することができた。また、ひきこもり者では、ロボット面接に対して好意的な評価をするものが多かった。その途中経過に対し、研究協力者の九州大学大学院医学研究院精神病態医学加藤隆弘准教授、大阪大学基礎工学研究科システム創生専攻知能ロボット研究室の吉川雄一郎准教授、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経学分野熊崎博一教授らと情報交換を重ね、論文化に向けて解析を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、令和5年度に集積した解析しする。具体的には、ひきこもり者・非ひきこもり者に対するロボット面接と人面接の結果を比較し、ロボット面接と人面接が同様に有用であるかを評価する。予備的な評価では、比較的高い信頼性を示しており、ロボット面接の有効性を示せると期待できる。更にロボット面接に対する自記式アンケートの結果を併せて評価することで、ひきこもり者に対するロボット面接自体の印象や面接前後での印象の変化を明らかにし、ロボットを用いたひきこもり評価法の有用性を明らかにしていく。 共同研究者との所属する研究室代表者九州大学大学院医学研究院精神病態医学加藤隆弘准教授に加え、研究協力者の大阪大学基礎工学研究科システム創生専攻知能ロボット研究室の吉川雄一郎准教授、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経学分野熊崎博一教授との情報交換を重ねていく。また、コミュニケーションロボットの現場での応用について学ぶため、現地に赴いた情報交換を検討している。これらの結果について、論文化し世界に発表するための執筆準備に取り掛かっている。また、学術的な研究発表の場でもその成果について発表していく。
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