Project/Area Number |
23K19785
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0908:Society medicine, nursing, and related fields
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Research Institution | Takarazuka University of Medical and Health Care |
Principal Investigator |
北出 千春 宝塚医療大学, 和歌山保健医療学部, 准教授 (70981893)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 災害の備え / 妊婦 / 乳幼児を育てる母親 / 計画的行動理論 / アンドラゴジー / アクションリサーチ / 自助 / 共助 / 乳幼児の母親 |
Outline of Research at the Start |
和歌山市は,南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域に指定され,防災対策は喫緊の課題である.内閣府(2014)は,東日本大震災を教訓とし,自助・共助による防災対策の重要性を示した.災害時の自助・共助は,要配慮者である妊産婦や乳幼児を育てる母親(以下,母親とする)にとっても重要であるが,共助スキルを養うための支援方法の開発は行われていない.そこで,和歌山市の妊婦や母親たちによる「災害の備えプロジェクトチーム」を結成し,アクションリサーチの手法を用いて,和歌山市の妊産婦と母親の災害の備えの問題を解決するプロジェクトを実施する.本研究はその過程を明らかにすることを目的とする.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、和歌山市の妊産婦と母親の災害の備えを支援する「災害の備えプロジェクトチーム」が、研究者の協働的介入により、自助・共助スキルの獲得と、災害の備えの問題抽出と解決策を立案していく過程を評価することを目的としている。研究方法は、アクションリサーチである。介入方法は、計画的行動理論を基盤としたアンドラゴジーを用いた学習支援を採用した。 【初年度:フィールド調査 → 学習会】研究対象となるフィールドの子育てサークルに所属する妊婦と乳幼児を育てる母親を対象に災害の備えに関する実態調査を実施した。質問内容は研究者により抽出した妊産婦と乳幼児を育てる母親の災害の備えの5要素(kitade,2023)と共助に関する質問を中心に調査を行った。その結果、自助・共助の備えは十分ではなかった。信頼や助け合いが、災害の備えを促進させ不安が軽減すると示唆されたが、人とのつながりを希望している人は少なかく、共助を見据えた介入が課題であることがわかった。次に子育てサークルの母親11名による災害の備えプロジェクトチームを結成した。災害のリスク認知を高めるための学習会を開催し、その後アンドラゴジカルステップに則り、災害の備えの支援者となるために必要な学習についてチームで学習計画を考えた。ハザードマップによる逃げ地図、和歌山市の防災について地域安全課との座談会、発災時のフローチャート作り、防災食の試食などの学習会を6回実施した。介入前と学習会終了後にアンケート調査と面接を行った。学習会ごとにGoogleフォームによるレスポンスシートに記入してもらった。グループLINEで災害の情報交換や災害の備えの実践報告を自然発生的に行っていた。次は、和歌山市の妊婦と乳幼児の母親の災害の備えについてアンケート結果を参考に、問題点を抽出し、問題解決のために計画を立てる段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画であるフィールド調査を終え、論文を日本災害看護学会に投稿した。また、妊産婦と乳幼児を育てる母親の災害の備えの5要素について国際学会で発表した。プロジェクトチームが考えた学習会を6回実施し、アンケート調査と面接を終え、分析中である。リスク認知は高まり、計画的行動理論の【行動に対する態度】は災害の備えについて主体的に実行していく姿勢に変化している。【主観的規範】は、夫による支援は期待できず、子どもによる備え行動が影響している。また、プロジェクトチームの仲間の影響はかなり強い。【行動コントロール】においても、定期的で継続的な学習の機会とともに、プロジェクトチームの仲間との話し合いによって備え行動が促進されている状況である。自助スキルは全員高くなったが、共助スキルに関しては、変化のないメンバーもいた。 二年度は、フィールド調査結果より、和歌山市の妊婦と乳幼児を育てる母親の災害の備えに対する問題点について、自助も十分ではないが、妊婦や母親とのつながりが希薄であることを共通認識した。共助を育むための計画として、プロジェクトチームメンバーの居住地域や子育て支援拠点施設災害において備え教育を実施し、オープンチャットによって母親同士のつながりを維持し、発災時の情報交換ができるツールとして運営していく計画が立案されている。より具体的な計画を立案するために、話し合いの場を今後も設けていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、和歌山市の妊婦や乳幼児を育てる母親の災害の備えに対する計画を立案中である。共助を高めるための計画としてプロジェクトチームは、メンバーの居住地区を対象に災害の備えのイベント、または、和歌山市の子育て支援拠点施設において、災害の備え教育を実施していくことを考えている。さらに、和歌山市の子育てサークル登録者の94.1%が利用しているLINEのオープンチャット機能を使用して、イベント参加者に登録してもらい、継続的につながり、定期的に災害の備え情報を発信し、発災時に情報交換できるシステム構築を計画中である。計画立案が終了したら、アンケート調査と面接を実施していく。学習会やディスカッションでの参与観察データとレスポンスシート、介入前・学習会終了後・計画立案後に実施した面接データから、計画的行動理論をもとに分析していく。さらに、介入前・学習会終了後・計画立案後に実施したアンケート調査内容は、備えの状況、災害自己効力感尺度、防災意識尺度、防災リテラシー尺度、計画的行動理論調査票の修正版、アンドラゴジー探求チーム用プロセス評価の修正版である。 参与観察や面接で得られた質的データと調査票で得られた量的データをもとに、プロジェクトチームが災害の備えの支援者となるための過程を明らかにし評価していく。そして、その結果を日本災害看護学会に論文投稿する予定である。
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