Project/Area Number |
23K19886
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0909:Sports sciences, physical education, health sciences, and related fields
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
荒木 雅弥 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 特命助教 (70984889)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | CREBH / 腸管オルガノイド / 生活習慣病 / 肝がん / 脂質代謝 |
Outline of Research at the Start |
CREBHは肝臓と腸管にのみ特異的に発現し、栄養代謝を改善する転写因子である。これまでの解析からCREBH欠損マウスは高栄養食の負荷のみで肝がんを自然発症することを確認しているが、その発症機序は解明できていない。本研究は腸管の組織と内腔の両者におけるCREBHによる脂質制御に焦点を当て、肝がん発症の機序を解明する。CREBHによって制御される統合的な脂質管理が、生活習慣病の発症から終末像である肝がんまでの増悪化のプロセスにおいて、一貫して保護作用を有することを明らかにし、CREBHを標的とした生活習慣病の新規予防法・治療法の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
CREBH欠損(KO)が高脂肪食を負荷した際の腸管内部構造の維持、再生能力に与える影響を検討するため、腸管オルガノイド培養法を用いて実験を行った。通常培地を用いた培養では野生型(WT)マウスとKOマウスより作製した腸管オルガノイドで成長速度や形態、細胞の生存率など腸管幹細胞の機能に大きな差は認められなかった。しかし、通常培地に脂肪酸を添加した培地を用いて培養したところWTマウスの腸管オルガノイドは通常培地と同様の形態を示したが、KOマウスの腸管オルガノイドは著しい生存率の低下を認め、わずかに生存した腸管オルガノイドは分化せずスフェアの形態を維持した。そのため高脂肪食を負荷したKOマウスの小腸において、内部構造の崩壊が起こっていると考えられる。現在、高脂肪食を負荷したKOマウスの小腸において病理学的解析を行っている。また、高脂肪食を負荷したWTマウスとKOマウスの小腸を用いてRNA-seqを実施し、解析を進めることでKOマウスにおける腸管幹細胞の機能障害を引き起こす原因となる遺伝子変化の同定を試みている。 また、培養細胞や肝臓の初代培養を用いた解析からCREBH欠損では細胞内のミトコンドリア機能が障害されることを確認した。近年、ミトコンドリア機能障害が腸管幹細胞の分化や自己複製などの機能障害に繋がることが報告されており、CREBH欠損マウスの小腸構成細胞においてもミトコンドリア機能の評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KOマウスから作製した腸管オルガノイドの培養から、細胞外からの脂肪酸の供給に対してKOマウスの腸管幹細胞は適切な応答ができず、腸管幹細胞の分化機能が障害されることが示された。さらに、この現象がマウス生体においても確認されるのか、高脂肪食を負荷したKOマウスの小腸の病理学的解析やRNA-seq解析を用いて評価を行っている。 また、WTマウスとKOマウスの腸内細菌叢の解析を行い、WTマウスとKOマウスでは構成細菌に違いが存在することを見出した。普通食を負荷したKOマウスではWTマウスに比べて、生活習慣病の悪化に関与する細菌が増加し、腸内環境の改善に働くことが報告されている細菌が減少することが明らかとなった。さらに、高脂肪食を負荷したKOマウスではWTマウスに比べて、肝炎の悪化を惹起することが報告されている細菌や腸管バリア機能の破綻に寄与することが報告されている細菌が増加することが示された。これらのことからKOに伴う腸管での変化が脂肪肝炎の病態を惹起あるいは悪化させていることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
CREBH欠損に伴い小腸の構造変化が起こる機序の解析をマウス生体、腸管オルガノイド培養法を用いて引き続き検討していく。細胞外から脂質が供給された際、CREBH欠損マウスの腸管幹細胞ではどのような機序で分化が障害されるのか、マウス小腸のRNA-seq解析からの分析を進めると共に腸管オルガノイドでもRNA-seqを実施し、評価する。 またCREBH欠損に起因する小腸における変化がCREBH欠損で認められた腸内細菌叢の変化とどのように関係するのか小腸のRNA-seqとマイクロバイオーム解析、メタボローム解析を統合したマルチオミクス解析を行い検討する。
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