Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,物質使用障害(SUD)患者に対するハームリダクションの理念を踏まえて作成された作業療法プログラム「Real生活プログラム(リア活)」の参加継続と関連する因子やその効果を明らかにすることである. 対象は,2020年2月~2023年7月にリア活が処方された者とした.取得した個人因子データは,年齢,性別,教育年数,現職業,診断名,主使用薬物の種類,重複障害,SMARPPや社会資源への参加経験等とした.同様にリア活の効果指標としてクールごとの参加数,COPM遂行度/満足度,自尊感情尺度 (RSES-J),失体感症尺度(STSS),渇望度/人とつながっている感覚(VAS)を抽出した.解析は,研究参加者のリア活参加率の中央値で2群に分類して個人因子データは,Fisher正確確率検定,連続値はt検定を用いて群間差を検証した.また,効果指標が2時点取得できた参加継続群に対しWilcoxon符号付き順位検定にて参加効果を検証した. 結果,対象は55名で全体のリア活参加率の中央値は47%(IQR=32)で参加継続群(中央値以上の参加率)は28名(50.9%)であった.両群の個人因子データを比較した結果,参加継続群は参加継続困難群より年齢が高い傾向を示し,自助グループへの参加経験者の割合が有意に高かった.参加継続群18名の参加効果は,作業遂行に対する満足度(p=0.035)のみ有意な改善が示され,人とつながっている感覚(p=0.058)の改善において有意な傾向が示された.作業遂行度自体の改善は認めなかったことから,作業を上手に遂行できるまでには至っていないが,できない自分も含めて受け入れ生活満足度が向上したことが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,開発したリア活参加の継続と関連する因子やその効果を明らかにし,その結果を基にリア活を改編し,プログラムで使用するテキストを作成し発行する予定である. 令和5年度に解析が終了し,考察を深めている段階である.現状のプログラム実践について,日本アルコール関連問題学会雑誌に投稿し,研究結果については第58回日本作業療法学会(北海道)での口述発表のエントリーを済ましている.したがって,これまで研究はおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究結果に対する考察を深め,海外ジャーナルに論文を投稿する.そして,研究結果から得られた知見を基にリア活のテキストの内容を改編し,テキスト化する予定である.現段階では,導入時の目標設定やその振り返りを援助するシートを作成し,遂行度の向上を図ることを考えている.また,プログラムの参加率を高めるために,体験ワークの充実も図る予定である. プログラムの普及に努め,物質使用障害者の標準的治療プログラムであるSMARPP(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program)でカバーすることが困難な患者に対する治療の選択肢が増えることに寄与したい.
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