溶媒分子の連続体近似と粒子-電磁界連成解析の統合による分子動力学法の革新
Project/Area Number |
23K19968
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
1001:Information science, computer engineering, and related fields
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
野口 聖史 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(数理科学・先端技術研究開発センター), Young Research Fellow (60980993)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 分子動力学計算 / 数値電磁気学 / 陰溶媒モデル / 生体分子計算 |
Outline of Research at the Start |
本研究の主題は、分子動力学計算の飛躍的高速化である。現行の生体分子計算は分子動力学法に基づいている。しかし、分子動力学法は、全原子間の相互作用計算による膨大な計算を必要とするため、抗体の遠方抗原認識といった時空間スケールの大きな問題の解析が困難である。本研究は、分子動力学計算高速化のために、系の大部分を占める溶媒部分子を電磁気的に等価な連続体に置き換え、(a)原子数の大幅な削減と、(b)原子数回の相互作用計算の実現の2点で計算量の削減を図る。さらに、従来の経験的ポテンシャルに代わり、マクスウェル方程式を基礎として電磁気的分子間相互作用を分析・可視化する枠組みの構築を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
この研究の主な目的は、分子動力学計算の高速化を実現することである。具体的には、水分子の連続体近似と電磁場解析の理論を基盤とし、新たな分子動力学における原子間相互作用の評価手法を開発することを目指す。
この目的を達成するために、研究代表者は令和5年度において独自の電磁場解析手法を土台とし、分子動力学計算の基礎的な枠組みを構築した。具体的には、電磁場と粒子運動の連成解析手法の開発に着手し、原子を電荷を持つ粒子として扱い、それらの運動に伴う周囲の電磁場の伝搬を連成させるシミュレーションコードを実装した。このプロセスにおいて、特に原子の運動に伴う電荷保存則を厳密に満たすことが確認され、原子の運動と電磁場の相互作用を連続体として整合的に記述する手法が確立された。
また、構築した電磁場と粒子の相互作用計算手法は、電磁場の連続体近似に基づく決定論的な陰溶媒モデルを提供する。この手法により、従来の経験的なポテンシャルによる原子間相互作用評価の代替手法として、マクスウェル方程式に基づく計算が可能となる。この新手法は、電磁場の数学的構造に厳密に従った方法論に基づいており、分子動力学計算の高速化に大きく貢献することが期待される。この研究によって得られた結果は、分子動力学シミュレーションを用いた様々な分野における基礎研究や応用研究にも有用であると考えられる。例えば、生体分子の構造や反応機構の解明、材料科学や医薬品設計など幅広い分野での応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時点で構築していた電磁界解析手法を基礎として、分子動力学計算に適用可能な電荷をもった粒子の運動計算とその周囲の電磁界現象の相互作用を計算する基本的な枠組みの構築が完了している。そのため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度には,令和5年度に引き続き手法の検討を進める。また、計算速度の観点で従来の経験的ポテンシャルを用いた場合と比較検討を行う。さらに、構築した手法が電磁界解析手法を基礎とする特徴を活かして、分子間の電磁気的相互作用を可視化・分析し得るかについて検討する。既に、電磁界解析を基礎とする基本的な手法の開発は完了しているため、今後は少数原子数で構成される分子間の相互作用の可視化・分析に着手する。ここまでを本研究課題の必達目標とする。また、発展的な目標として、その分子間の電磁気的相互作用を基礎として分子間の結合強度が議論できるかを検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)