Project/Area Number |
23K19990
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
1002:Human informatics, applied informatics and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安部 桂太 東北大学, 工学研究科, 特任助教 (00982860)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | DNAナノテクノロジー / 分子ロボティクス / 反応拡散系 / パターン形成 |
Outline of Research at the Start |
生物は自らの体を形作る.そこでは体内を適切に区画化し,形状や機能を配置する仕組みが働いている.その仕組みに倣い,DNAの塩基配列設計によってプログラムした反応拡散系を構築して時空間パターンを形成させる研究が行われてきたが,形成されたパターンの空間スケールなどの制約から,複雑に区画化して形状や機能を配置することは難しかった. 本研究の目的は,DNA反応拡散系により性質・機能の異なる複数の区画を形成するシステムを開発することである.DNAの増幅反応やマイクロビーズへの修飾といった合成DNA関連技術を取り入れることで,従来の反応拡散系とはスケールの異なるシステム構築しパターンの複雑化・機能化を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
当初は,反応拡散系におけるDNA拡散源の微小化へ向けた実験系構築についての検討を予定していた.しかし,反応拡散系のスケールの縮小に関して課題が多く,方針を転換することとした.微小化ではなく大規模化を目指すことでDNA反応系と拡散のバランスをとることがより容易になると同時に3Dプリンター等の造形手法との組み合わせた実験も複雑化が期待できる.また,DNAの大量合成サービス等の充実した状況もあり,大規模な系での実験も実現可能であることを見込んでいる. そうした想定から,これまで研究を進めてきたのミリスケールのDNA反応拡散系をセンチメートルスケールへ拡大を実現するため,実験手法や条件の検討を行った.実験器具の開発やDNAの条件・観察手法の検討などにより,従来の10倍のスケールで同等のパターン形成現象の観察に成功した.これは顕微鏡での観察可能なスケールを超えるサイズであり,人工的に構築した時空間分子システムとしては巨大と言える.また,実験スケールを拡大したことにより,実験操作を部分的に簡易化させ,DNA濃度や反応場となるハイドロゲル等に関してより多角的な検討が可能になった. ただし,計画の変更と方針の転換があったことから,学会参加などの活動に関しては計画していたほど行うことができなかった.しかし,その分新たに実験系を展開できたことから,研究目的であるDNA反応拡散系による性質・機能の異なる複数の区画を持つ時空間パターン形成の実現に資する知見や成果が得られている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請当初DNA反応拡散系の微小化を目標としていたが,DNA反応系と拡散パラメータの兼ね合いや実験上の操作性などの理由から,逆にスケールの大規模化を目指す方針に変更した.種々の設計や調整に変更が必要になったため,成果報告に関しては計画していたほど行うことができなかったが,その分実験手法や条件の検討を進めることができた.実際,3Dプリンターを使用して開発した実験器具やDNA大量合成サービスの利用などにより,従来の10倍のスケールで反応拡散系を構築することが可能となり,同等のパターン形成下印象を観察することに成功した.さらに,DNA濃度条件や反応場となるハイドロゲルの検討などを行うことも可能になった. こうした状況から,学会参加等の数が少ないことを踏まえても,研究全体としては計画以上に進展していると言えると考えた.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,大規模な時空間パターン形成の実験が可能な状況になったものの,複数の区画を作ること・機能や性質を付加することに関しては現時点ではまだ研究が進んでいない.そこで今後はDNAの直交性を応用した複数の区画化とDNAハイドロゲル等の技術を応用した機能付加を目指した研究を行う方針である. 複数の区画化のためにはパターン形成の解像度の改善に関する検討が必要である.当初大規模化に伴って形成されるパターンの解像度は相対的に向上することを見込んでいたが,現状複数の区画化を実現する上での困難がある.そこで,これまで開発した拡散制御の技術などを含め,性能向上に応用可能な技術の検討を行う. また,機能付加に関しては,DNAハイドロゲルやタンパク質技術などへの展開を目指し,分子設計を発展させることを検討している.特にDNAハイドロゲルについてはDNA分子設計の改善のみで展開が可能であると見込んでおり,区画化への条件検討と並行して設計検討を進める方針である.
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