Project/Area Number |
23K19991
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
1002:Human informatics, applied informatics and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
織間 健守 東北大学, 電気通信研究所, 特任助教 (80975665)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 海馬 / スパイキングニューラルネットワーク / 時空間学習則 / アナログ・デジタル混成ハードウェア |
Outline of Research at the Start |
海馬の記憶を基にした時空間学習則を用いることで、既存のAIシステムでは困難な個人向けエッジデバイスの実現が可能である。海馬は、時空間情報を瞬時に学習可能である。また、類似した情報を分離して学習可能である。これは、平均的な学習を行う既存のAIシステムとは異なり、局所的かつ個人的な情報を学習するシステムが構築可能となる。このシステムを利用することで、情報の秘匿性を保ちつつ、個人向けのアプリケーション開発等に応用可能である。
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Outline of Annual Research Achievements |
エッジデバイス向けの海馬記憶モデルに基づく時空間文脈学習記憶ネットワークのハードウェア実装に向けて、システムの入出力部分と学習部分を、それぞれ、実装および測定を行った。 入出力部分において、ネットワーク出力に対応するニューロンモデルは、回路実装が簡易的なモデルであるリーク付き積分発火ニューロンモデルを採用し、個別部品によるアナログ電子回路で実装した。また、ネットワーク入力には、多様なスパイク特性が再現可能であるイジケビッチニューロンモデル採用し、Rohm 180nm CMOSプロセスを用いてアナログ集積回路実装した。また、専用の測定用PCB基板を作製し、実装した集積回路を測定した。その結果、多様なスパイク特性を確認できた。その中でも、入力時空間情報のスパイク列変換に重要な役割を果たすカオス的な挙動が確認でき、その結果はトップカンファレンスであるISCAS2024に採択された。 学習部分において、時空間学習則とヘブ学習則に基づくシナプスモデルをマイコンと受動素子の個別部品を組み合わせて実装した。実装する際は、ブレッドボード上で動作検証し、ユニバーサル基板上で測定を行った。 上記の結果を組み合わせ、ネットワークを構成する上で最小要素回路である2つの時空間学習則シナプスと1つのヘブ学習則シナプスが接続されたニューロンが正常に動作していることを確認できた。さらに、集積回路化されたニューロンを用いた、時空間情報のスパイク列変換基板を実装および測定し、その動作確認ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画におけるニューロンモデルの実装では、個別部品と集積回路を用いて、2種類のニューロンモデルを実装できた。これらのニューロンは、それぞれ、ネットワーク内の出力と入力部分を担っており、これらの成果により時空間情報のネットワークへの入出力が可能となった。また、シナプスの学習部分をマイコンによりデジタル回路実装を行ったことで、ネットワークの必要要素回路の実装が全て完了した。さらに、それらの回路を組み合わせて海馬記憶モデルに基づく時空間文脈学習記憶ネットワークを構成する最小要素回路である、2つの時空間学習シナプスと1つのヘブ学習シナプスの動作確認が出来ており、大規模なネットワーク構築の準備が整ったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に実装した最小要素のネットワークを基にネットワークの拡張を行う。 最小要素のネットワークでは、入力のシナプス重みが2種類しかなく、記憶させる時空間文脈の情報が限られてしまう。そこで、より多くの時空間文脈を記憶可能にさせるために、ニューロンを6個、時空間学習則シナプスを36個、ヘブ学習則シナプスを36個に拡張したネットワークモデルを実装する。そこで、1つの基板上に複数のシナプスを実装することは困難であるため、マザーボードとドーターボードに分けて実装を行う。1つのドーターボードには、1個のニューロンと12個のシナプスを実装する。このドーターボードを6つ作成し、マザーボード上で接続を行う。この構造を実現することで、拡張性の高いシステムが構築可能であり、より大規模なネットワークへと応用可能である。 拡張したネットワークに対して、簡単な時空間文脈の学習記憶および読出しを行う。学習する時空間文脈として、ハミング距離が近いベクトルパターンを逐次的に入力し、その文脈構造をシナプス重み空間へと埋め込む。学習後、記憶が埋め込まれたシナプス重みの値を固定し、ランダムなパターンを入力する。その後、ニューロンの出力から平均発火率を計算し、埋め込まれた記憶の推定を行う。 これらの実験を通して、ハードウェア実装された時空間文脈学習記憶ネットワークの妥当性と有効性を確認する。
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