Project/Area Number |
23K20001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
1002:Human informatics, applied informatics and related fields
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 洋史 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助教 (10975436)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 非線形ダイナミクス / モンテカルロ法 / herding / サンプリング / イジングマシン |
Outline of Research at the Start |
イジングマシンなどの新たな物理現象を用いた問題特化型計算機の開発が近年盛んだが、その物理現象に起因する動作の不確実性が課題となっており、この影響を最小化しつつ逆に有効活用できような応用が求められる。本研究ではこのために、herding と呼ばれる非線形力学系に着目する。この系は、数理最適化を行う非線形システムがフィードバックループの中に組み込まれることで全体として複雑な振る舞いを示し、ランダムサンプリング手法としての応用が可能である。本研究では、この系を定める特徴量関数とパラメータの設計やその性能の数理解析を通じて、上のような応用を念頭においた効率的なサンプリングアルゴリズムの開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初の計画通り (a) herding における特徴量関数および入力の設計と (b) 不確実性を持った最適化アルゴリズムの herding への適用に関する性能解析の2つの目標に沿って研究をおこなった。 まず、(a) については、近似的なサンプルから出発して herding に利用可能な特徴量関数を構成する手法を考案することができた。ここで考えるのはある確率分布と被積分関数に対する期待値のモンテカルロ積分のためのサンプルを生成する問題である。Herding を適用する際の問題点は目的分布上の期待値が既知の特徴量関数の構成であった。もし目的分布から近似的なサンプルを得られれば、それらをクラスタリングして分割し、各領域で目的分布を近似する参照分布が構成できる。参照分布として正規分布などの扱いやすい分布を用いれば、参照分布上で期待値が既知の特徴量関数が構成できる。さらに、それを変換することで herding に必要な目的分布上の期待値が既知の特徴量関数が構成できる。この結果については、本年度の日本物理学会での発表を行った。 また、(b) については様々な結果が得られた。Herding によるモンテカルロ積分における誤差の解析や、その解析を元にした誤差低減手法を開発した。誤差解析ではアルゴリズム中に変化する重み変数の有界性の仮定が必要である。アルゴリズム内部で利用する最適化手法の性能条件を、この仮定の成立に必要なものとして一部の場合において調べた。また、herding によるモンテカルロ積分では、サンプル数の増加でも収束しないバイアスが観察されるが、その原因の解析を試みた。その中で、バイアスが通常よりも大きくなる人工的な入力を構成することができた。本年度は (b) の結果に関して発表することはできなかったが、(a) の結果と合わせて論文誌への投稿のための準備を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(a) に関しては、当初の計画通り、特徴量関数および入力の設計を行うアルゴリズムを考案し学会発表を行うことができた。(b) に関しては、発表こそなかったものの、概要で述べた通りの多様な結果を得ることができ、論文投稿のための準備を始めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
結果を原稿にまとめる作業を引き続き進め、学会での発表および論文誌への投稿を目指す。 (a) に関しては、低次元空間での簡単な設定での数値実験しか行えていないため、より高次元で実際のモンテカルロ積分の利用に即した設定での評価を行う必要がある。また、(b) で調べた重み変数の有界性の仮定の解析は最適化アルゴリズムが決定論的な出力を行う場合に限定していた。イジングマシンの適用という面ではこれを確率的な出力の場合に拡張する必要がある。次年度はこれらの課題についても取り組む。
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