Project/Area Number |
23K20072
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Project/Area Number (Other) |
20H01218 (2020-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2020-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
Kim JoonYang 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (00749955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 史明 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (20415623)
木村 智哉 開志専門職大学, アニメ・マンガ学部, 准教授 (30636030)
松本 淳 専修大学, 文学部, 特任教授 (60845288)
石田 美紀 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (70425007)
原田 健一 新潟大学, 人文社会科学系, フェロー (70449255)
三俣 哲 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80322006)
米村 みゆき 専修大学, 文学部, 教授 (80351758)
今井 博英 新潟大学, 経営戦略本部, 准教授 (90303172)
須川 亜紀子 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (90408980)
渡部 英雄 桜美林大学, 総合研究機構, 科研研究員 (90633644)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | アニメーション研究 / アニメ中間素材 / デジタルアーカイブ / セル画の保存 / 高分子化学 / アニメ / アーカイブ / 中間素材 / 文化資源 / アニメーション |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本の商業アニメーションである「アニメ」が表現媒体として成熟し、日本という国家を超えて世界各地で評価される1970年代~90年代のセル・アニメーションの制作現場において作成・使用され、現在老朽化や破棄の危機にある絵コンテ、セル画等「アニメ中間素材」のア ーカイブを構築し、セル・アニメーション制作過程における協働の実態を中間素材の種類ごとの分析によって解明すること、さらに人文科学のみならず材料工学及び情報技術の知見を積極的に取り入れ、中間素材の文化資源としての評価、保存、今後の活用に向けてのモデルケースを社会に提供することで、アニメ文化の保全と後世への継承という課題の解決を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
1年度目の2021年3月にアニメのアーカイブなどをテーマに開催した国際コンファレンスの発表者による論文執筆が2022年度内に完了し、キム・ジュニアンと石田は出版社側と交渉し出版計画を確定した。 今井は、アニメ中間素材を管理・閲覧するためのオンラインシステムを再構築した。画像データとメタデータの更新における手作業の負担とセキュリティ上の問題を解決するために独自のサーバを設けたうえ、オンプレミスのシステムを導入し諸機能を強化した。 松本はこのオンライン閲覧システムの試用をアニメ業界関係者2名に依頼し、その試用のレビューを含む意見交換を新潟大学アニメ・アーカイブ研究センター室で行った。閲覧システムに対する好評を確認しつつ、キム・石田・今井も出席のうえ、著作権をはじめとする諸課題について議論した。 三俣はセル画の保存における素材同士の接着問題に取り組み、セル画と同じ条件の復元試料の作製方法を確定したうえ、4つの異なる条件のサンプルを剥離試験に供した。接着力の測定システムを構築し、条件次第で最大接着力が低下することが判明した。なお剥離面に損傷をほとんど与えずに剥がすことができた。 キムと石田は、新潟大学アニメ・アーカイブ研究センターに所蔵している『夢戦士ウイングマン』のアニメ中間素材の今日的な再解釈を映像作家五島一浩に依頼し、その結果インスタレーション作品が完成した。同作品は当該の素材と共に、著作権者から使用許諾を獲得できたことにより、次年度に展示会を開催し公開することが確定した。年度末にはアニメ中間素材をテーマに国際シンポジウムを開催し、五島は上記の作品創作に関する発表を、板倉は前年度に引き続き『夢戦士ウイングマン』の原画分析に関する発表を行った。 アニメのアーカイブ研究の拡大を推進するため開志専門職大学アニメ・マンガ学部をはじめ国内・海外の研究機関との交流関係を構築、強化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度にはコロナウィルス感染症のワクチン接種が進み、年度後半から対面での研究活動が再開した。県外から研究分担者、アニメ業界関係者、アーカイブ関連事業関係者らが、本研究の主な構成員が所属しアニメ中間素材のアーカイブ化を進めている新潟大学に来訪し意見交換を行うことができた。ただしコロナウィルス感染のピークが繰り返されるなか、対面を伴う研究活動は依然として慎重に行わざるを得なかったといえる。なお外国籍の本研究構成員や海外の研究協力者には2022年3月までの時点で渡航におけるハードルが存在していた。 そのため、対面での研究活動を再開しながらも、前年度までのインターネット環境による研究活動の経験を活かし、アニメ中間素材のオンライン閲覧システムの再構築と機能強化、同システムを用いた国内・海外研究者との資料共有、オンラインでの国際シンポジウムの企画・開始を積極的に展開した。年度後半には、アーカイブ化されたアニメ中間素材の展示公開に関して著作権者から使用許諾も順調に獲得でき、本研究の目標は着実に達成されつつあるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
キム・ジュニアンは、これまでのアニメ中間素材のアーカイブ化とその調査から驚異的なレベルで保存されていることが判明した1980年代テレビアニメシリーズ『夢戦士ウイングマン』第12話の原画素材に関する研究成果を公開し地方創生に貢献する活動として、石田と協力し新潟大学附属旭町学術資料展示館で展覧会を実施する。同原画素材を用いた映像作家五島一浩のインスタレーション作品も共に公開する。この展覧会のためキムと石田は当該作品の関係者側と著作権に関する連絡を続ける。 展覧会に併せ市民向けの講演会を企画し、本研究を通してアーカイブ化されてきたアニメ中間素材に基づく板倉、米村、須川が研究成果を報告する。松本はアニメ中間素材のオンライン閲覧システムに関する業界関係者へのヒアリング調査を継続する。今井はデジタルアーカイブ化プロセスの自動化とアーカイブ管理アプリの開発を進展させる一方、キムと協力し閲覧システムのウェブサイトを外部へ公開する方法を模索する。 三俣は、セル画と紙との接着問題について複数の異なる条件のサンプルから接着エネルギーを求め、接着のメカニズムを検討することにより、きれいに剥離できる手法を提案する。また、凝固と体積膨張の関連性を探索し剥離実験を行いつつ、紙と絵の具の相互作用を弱めるための手法を考える。その際キムはアニメ業界からの情報収集を行うことで、三俣の実験をサポートする。キムと渡部は、アニメ制作現場における協同の実態とアニメ中間素材の機能に関する検証を継続する。原田は2021年度で定年後もフェローとして映像アーカイブに関する指導と助言を継続する。 2021年3月に開催した国際コンファレンスの発表者による論集を公刊する。開志専門職大学アニメ・マンガ学部、LASALLE College of the Arts、Durham Universityとの研究協力を一層進展させる。
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