Project/Area Number |
23K20076
|
Project/Area Number (Other) |
20H01224 (2020-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2020-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
|
Research Institution | Tezukayama Gakuin University |
Principal Investigator |
猪股 剛 帝塚山学院大学, 総合心理学部, 准教授 (90361386)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮坂 敬造 慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (40135645)
川嵜 克哲 学習院大学, 文学部, 教授 (40243000)
田中 康裕 京都大学, 教育学研究科, 教授 (40338596)
唐澤 太輔 秋田公立美術大学, 大学院, 准教授 (90609017)
石倉 敏明 秋田公立美術大学, 大学院, 准教授 (90649310)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
|
Keywords | ダイバーシティ活性化 / 共同性と個別性 / 演劇と祭祀 / 文化差 / 現実性 / ダイバーシティ / 意識変容 / 破壊と再生 / 日本における私 / 持続的な関わり / 自然の多様性受容 / マイノリティ / 言語継承活動 / パフォーミング・アーツ / 共同体感覚 / 個別性 / 固有性 |
Outline of Research at the Start |
現代社会では、超高齢化が進み老人と若者の共存する形が模索され、外国人労働者が行き交い多文化が共生する形が模索され、Web社会の発展により間接的な人間関係が増えていく中で現実感のある関係の在り方が模索されている。社会には新たな課題が次々と生まれ、そこには当然、多様性への感性と受容が必要とされてくる。ダイバーシティ活性化という観点から見た現代のパフォーミング・アーツの可能性と限界を認識し、ダイバーシティの活性化要素を明らかにし、共同性感覚と個別性感覚を共存させるダイバーシティの在り方を、社会における多様性の受容と活性化に資するものとして分析・提言・発信していく。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、当初の計画通りに研究を遂行することができた。 国際的な調査が進展し、パフォーミングアーツに見られる「パフォーマンス性」が、その都度の一回生の体験を活性化することを通じて、それまでの経験的な知識や固定的な観念を柔軟にする効果をもたらし、それによって、「いま、ここ」で提示されている現実が多様性を帯びて現出すると共に、それを鑑賞する鑑賞者たちは、ダイバーシティの受容度を高めことができることがわかった。それは、ダイバーシティに対する知的な理解とは異なり、多様性を自らが関わり体験し理解するものとなっていく。 その際の体験的な課題は、ダイバーシティが豊かな心地良いものとして体験されるだけでなく、違和感のあるものや受け入れがたいものとして体験されるという点であることも明らかになった。しかし、逆説的に、この受け入れがたく拒絶したいという体験が、逆に知的な理解とは別種の、体験的で継続可能な理解をもたらすことになることもわかり、今後の課題は、この受け入れがたい体験をそれでも体験していく際にどのような要因が、体験と理解を支え促進するのかを明確にすることになってきている。 このような研究は、2023年度の国際箱庭療法学会において“Destraction and Rebirth: Multi-cultural Dialogue”として発表されると共に、著書『家族のおわり、心のはじまり』において一部公開されると共に、国内学会ではユング心理学研究において「意識の発明と無意識の発明、個人と共同の道程」として発表され、ピアサポート学会において「分析心理学から見た個人と集団」として発表された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要にも記したとおり、当初の計画通りに研究は進んでいる。 国内でのパフォーミングアーツの調査は、舞台芸術やツアー・パフォーマンス等に留まらず、コロナ下での自粛が終わり、地域の祭事や伝統芸能に対しても進められることができてきた。とくに、熊本での美術と水俣での表現に関する調査、佐渡島での芸能の調査、鶴岡での黒川能についての調査によって、研究は大きな進展を遂げることができたと考えられる。 また、国際的にも昨年度の南米および北米の調査に加えて、年度末から年度初めにかけてのイスラエルでの調査および8月および3月のヨーロッパにおける調査によって、表現活動の精神性の側面がより明確になり、最終年度を前に研究資料はおおよそ調い、最終年度にそれをまとめたて発表する準備が整った段階に来ている。 特に、パフォーマンスを通じて、集団的な熱狂や一時的な理解へと向かうことと、個人が悩みながら思索する段階を経他の地にたどり着く理解の差異が明確になってきている。それは、たとえば黒川能の伝統的で様式化されたパフォーマンスの中に、かならず新たな世代が、これまでの慣習からわずかながらでも外れるパフォーマンスを組み込む際に見て取れるものであり、またアーティストやパフォーマーと鑑賞者による対話やシンポジウムなどを通して活性化される点にも見て取れるものであった。 今年度の研究は、国際学会発表二件、国内学会発表一件、国内学会誌一件、著書一件にまとめられて、公にすることもできている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ここまで研究計画通りに進めてこられた本研究は、今年度でその最終年を迎えることになる。 本年は、まずこれまでの研究成果をまとめ、それを公にして社会に還元することに重点が置かれることになる。現在計画しているものとして、共著書が二冊、単著が一冊、合計三冊の書籍の公刊があげられる。一つは、個別と集合という観点に重きを置いて、パフォーマンスの制作体験と鑑賞体験がそれぞれ意識の変容を促し、多様な心の展開を促すことを論じるものになる予定である。二つ目は、歴史的に見た時の儀礼体験・美術体験、そしてVRやARといった現代的なパフォーマンス体験の差異に注目しながら、過去から現在におけるパフォーマンスを通じた意識変容体験を比較検討して論じていくものになる。最後の三つ目のものは、臨床現場やフィールドワークを通じてインタヴューしてきた現場の声を紹介しながら、ひとつ一つの個別性から立ち上がる普遍的な意識変容の様子を、その質的な変化に注目しながら論じるものとなる予定である。 また、同時に8月には国際学会において日本におけるパフォーマンスと意識変容について発表する予定であり、また3月にはドイツにおいて国際研究会において発表する予定としている。 また、意識変容に際して生じる不安や苦悩といった体験が単に不安に終わるのではなく、そこから発展的な展開を促すことになるのかという点について、さらなる調査を進めることも考えており、それは富山県の伝統工芸や佐渡島の鬼太鼓の継承などを調査することによって進めていく計画である。
|