Project/Area Number |
23K20147
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Project/Area Number (Other) |
20H01487 (2020-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2020-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 健一 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (40750807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
クチェリャヴィ コンスタンティン 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 講師 (30774153)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥15,990,000 (Direct Cost: ¥12,300,000、Indirect Cost: ¥3,690,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | グローバル・インバランス / ルーカス・パラドックス / 貿易問題 / 経済成長 / 国際金融市場 |
Outline of Research at the Start |
15年前の世界金融危機の際から、欧米の学者や政策担当者の一部に、経常収支や対外資産が大きく偏在していること(グローバル・インバランス)が、危機の原因の一つとの主張があった。危機後に、各国政策当局は、自国経済を守るという題目で、陰に陽に貿易や国際金融取引への新たな障壁を築いてきた。そもそも1930年代の教訓から、戦争を避けるためにも、戦後引下げてきた国際経済の障壁は、今や地政学的リスクをも口実に正当化されてきているようだ。ここで、基本に戻り、国際金融制度の不完備性や不完全性、国内金融制度の違い、工業化、産業集積度、またそれらの連関がどのようにグローバル・インバランスをもたらすかを明らかにしたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
一つ目の柱として、国際金融市場の不完備性と経済成長の関連に関する理論を、より掘り下げた分析をしてきた。これは植田(研究代表者)とMonge-Naranjo(研究協力者)が主に担当。さらにこの複雑なモデルを数値シミュレーションができるような分析として、Kucheravyy(研究分担者)と植田(研究代表者)が共同で確立し、様々なシミュレーションを試している。 二つ目の柱の、各国の金融制度がどのように国際資本移動に影響を与えているかについての、クロスカントリーパネルの計量経済分析だが、これについては、コンファレンス等で発表しフィードバックも受けて完成させ、東京大学金融教育研究センター(CARF)よりワーキングペーパーとして公刊したところ(CARF-F-581)。引き続き、学術雑誌に投稿し公刊を目指す。これは植田(研究代表者)と森戸(研究協力者)の共著。 三つ目の柱については、産業集積に正の外部性がある場合の貿易を考慮した国際マクロ経済理論において、複数均衡の可能性もあるため、シミュレーションがより高度となる。これにはKucheryavyy(研究分担者)が取り組んできたが、LynとRodriguez-Clareとの共著はAmerican Economic Journal: Macroeconomics に既に昨年までに公刊され、Bhattaraiとの共著はJournal of European Economic Associationに公刊したところであり、LynとRodriguez-Clareとのもう一つの共著についても、Journal of International Economicsに公刊したところ。 なお、植田(研究代表者)と服部(研究協力者)とで、広く国際金融をめぐる論考を、本にまとめる。その中で、国際的な通貨の競争が、デジタル化等により急速に進展していることにも留意。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一つ目の柱として、国際金融市場の不完備性と経済成長の関連に関する理論を、他の研究者にわかりやすい表現を用いつつ、より掘り下げる。これは植田(研究代表者)、Kucheryavyy(研究分担者)及びMonge-Naranjo(研究協力者)で共同の研究だが、理論とシミュレーションのストラテジーの大枠はでき、予定通りである。コンピュータプログラムの開発が、予想以上に難しい問題に当たっているものの、進捗している。 二つ目の柱の、各国の金融制度がどのように国際資本移動に影響を与えているかについての、クロスカントリーパネルの計量経済分析だが、これについては、植田(研究代表者)と森戸(研究協力者)で完成し、ワーキングペーパーとして公刊。 三つ目の柱については、産業集積に正の外部性がある場合の貿易を考慮した国際マクロ経済理論とシミュレーション分析だが、これにはKucheryavyy(研究分担者)が、Bhattarai(研究協力者)とRodriguez-Clare(研究協力者)と議論しつつ取り組んでいる。3つの論文をすでに学術雑誌に公刊。 なお、国際金融の本については、植田(研究代表者)と服部(研究協力者)とで、2024年夏頃の刊行の目処がたっている。その過程で、気付いた最近の国際的な通貨の競争につき、とりわけアジアの中央銀行デジタル通貨(CBDC)の動向を考察するにあたり、2020年にすでにCBDCを発行しているカンボジアについて、理論と実証の双方から、Hay(研究協力者)とともに分析を行っている。特に理論面、制度面についてはAsian Economic Policy Review に論文を公刊。
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Strategy for Future Research Activity |
一つ目の柱として、国際金融市場の不完備性と経済成長の関連に関する理論を、他の研究者にわかりやすい表現を用いつつ、より掘り下げる。これは植田(研究代表者)、Kucheryavyy(研究分担者)及びMonge-Naranjo(研究協力者)で共同で行う。引き続き論文の完成に当たって残っているのは、様々なシミュレーションに基づく、理論と現実との整合性をさらに確かめることであり、これに注力する。 二つ目の柱の、各国の金融制度がどのように国際資本移動に影響を与えているかについての、クロスカントリーパネルの計量経済分析だが、植田(研究代表者)と森戸(研究協力者)でワーキングペーパーとしては公刊したので、学術雑誌に投稿し、必要な修正などを経て早い公刊を目指す。 三つ目の柱については、産業集積に正の外部性がある場合の貿易を考慮した国際マクロ経済理論とシミュレーション分析だが、Kucheryavyy(研究分担者)が、Bhattarai(研究協力者)やRodriguez-Clare(研究協力者)とで取り組んでいるが、3つの論文はすでに公刊したため、これに関しては研究を終了。 なお、これまでの国際収支をめぐる議論、とりわけグローバル・インバランスの議論をまとめた本を、植田(研究代表者)と服部(研究協力者)とで、最終稿を出版社に提出しており、2024年夏頃に出版の予定。その過程で、気付いた最近の国際的な通貨の競争につき、とりわけアジアの中央銀行デジタル通貨(CBDC)の動向を考察するにあたり、2020年にすでにCBDCを発行しているカンボジアについて、Hay(研究協力者)とともに分析を行っている。理論面、制度面についてはAsian Economic Policy Review に論文を公刊したが、実証面について引き続き分析を進める。
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