Project/Area Number |
23K20209
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Project/Area Number (Other) |
20H01798 (2020-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2020-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 11010:Algebra-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島田 伊知朗 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (10235616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 俊一 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (10284150)
金銅 誠之 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 名誉教授 (50186847)
高橋 宣能 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (60301298)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥10,790,000 (Direct Cost: ¥8,300,000、Indirect Cost: ¥2,490,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | K3曲面 / エンリケス曲面 / 計算機 / 格子理論 / Leech 格子 / Niemeier格子 / 対数的カラビヤウ曲面 / モノドロミー / ザリスキ多重対 / 自己同型 / モーデル・ヴェイユ格子 / ネロン・セヴェリ格子 / 自己同型群 / 数値的ネロン・セヴェリ格子 / 楕円ファイブレーション / コブル曲面 / 双曲格子 / BPS numbers |
Outline of Research at the Start |
K3曲面やエンリケス曲面をはじめとする代数曲面の詳細な幾何学的構造を計算機を用いて明らかにすることを目標としている.具体的な曲面に対して例えばその自己同型群,ネフ錐などの計算を実行し,代数幾何学に新しい知見をもたらすと同時に,新しくて有用な汎用的アルゴリズムを開発する,あるいは既存のアルゴリズムを高速化するなどの活動を通して,代数幾何学における計算機の応用範囲を拡大することを目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の島田は以下の成果を得た.切断を持つ楕円K3曲面のモーデル・ヴェイユ群のネロン・セヴェリ格子への作用を計算するアルゴリズムをピカール数が26の「仮想的な,実在しない」K3曲面に適用することにより,Niemeier格子からLeech格子を構成する新しい方法を考案し,論文にまとめた.これは Conway-Sloane によって与えられていた Leech格子の構成に,幾何学的な意味づけを与えるものである.また5本または6本の実アフィン直線の配置で分岐する平面の二重被覆から得られるK3曲面のトポロジーを調べ,中間次元のホモロジー群の生成元を明示的に記述した.さらに,いくつかの異なる文脈においていろいろな観点から調べられてきた Apery-Fermi のK3曲面の自己同型群の研究を開始し,その準備段階としてネロン・セヴェリ格子を詳しく調べ,いくつかの幾何学的対合を発見した. 研究分担者の金銅はKummer 4 次曲面の bitangent lines に関する Kummer の古典的結果の標数2における類似をIgor Dolgachev 氏と求めた.また Klaus Hulek 氏および前田洋太氏とともに,射影直線の12点のモジュライ空間の研究を行い論文にまとめた. 研究分担者の木村は組合せゲーム理論について研究を進め,いくつかの結果を得た. 研究分担者の高橋はLie-Yamaguti代数や無限小s多様体のうち,付随するLie代数が半単純なものの表現について,様々な例の構成を含むより詳しい研究を行なった.また,対数的カラビヤウ曲面上の一次元層のモジュライの部分特異点解消について調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に行った,2次曲線上にある6個の通常尖点を持つ射影平面6次曲線で分岐する射影平面の2重被覆の最小特異点解消として得られるK3曲面の自己同型群の決定(プレプリント Mordell-Weil groups and automorphism groups of elliptic K3 surfaces, To appear in Revista Matematica Iberoamericana, に結果を記載)以後,新しいK3曲面もしくはエンリケス曲面の自己同型群の計算の仕事を行なっていない.そのため進捗がやや遅れていると判断した. その理由として,2023年度は,K3曲面と共形場理論の関係に関して,バックグランドとなる物理学の知識を吸収するために時間を取られたこと,および 2023年6月にスペインで開かれた特異点の研究集会で着想を得た,実数体上定義された直線配置の実構造を用いた複素代数曲面のトポロジーの研究に時間を取られたこと,が考えられる.特に後者は,証明自体は初等的であるが,証明の記述が長く複雑でありまた研究代表者のこれまでの研究課題とは異なる分野の研究であるため,論文の執筆に多くの時間を要することとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,できるだけ多くの具体的なK3曲面およびエンリケス曲面の自己同型群とネフ錐について計算を続け,知見を蓄積する.さらに計算対象を,(正標数の場合を含む)Coble 曲面,さらには高次元の正則シンプレクティック多様体へと広げることを目指す. また,K3曲面や正則シンプレクティック多様体のさまざまな射影モデルに対して,そのホモロジー群の基底となる位相的サイクルを明示的に記述するという研究も開始する.現在の Borcherds 法においては,その準備段階の作業として, K3曲面ごとその K3 曲面の特別な性質を用いた ad hoc な方法で「ネロン・セヴェリ格子の基底とグラム行列の決定」という仕事をおこなわなくてはいけない.近年,多くの研究者が研究している数値的代数幾何の方法を用いてこの部分の作業を統一的に行うための手法を確立することを目標としている.さらに周期の数値的計算に必要な道具(単純な数値的な多重積分による方法と Picard-Fuchs の微分方程式による解析接続の方法)を整備し,いくつかの例について予備的な計算をおこない,幾何学的なデータを抽出することを試みる.この方法は研究代表者にとって全く新しい方法であるので,何人かの研究者と研究連絡をとり議論を行う.
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