Project/Area Number |
23K20245
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Project/Area Number (Other) |
20H02005 (2020-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2020-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17040:Solid earth sciences-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高澤 栄一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80222082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道林 克禎 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (20270978)
Madhusoodhan SatishKumar (M Satish‐Kumar) 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50313929)
野坂 俊夫 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (80252948)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | 蛇紋岩化作用 / 海洋マントル / オマーンオフィオライト / 沈み込み帯 / 変質作用 / オフィオライト / 海洋プレート / マントル / かんらん岩 / 加水作用 / アンチゴライト / 幌満かんらん岩体 / 上部マントル / 熱水変質 / マントルセクション / 滑石 / 海洋リソスフェア / 海洋底変質作用 / 中央海嶺 |
Outline of Research at the Start |
海洋地殻とマントルに海水がどれくらい深く浸透し,どれくらいの量の水が岩石中に蓄えられるのか,また沈み込んだスラブからマントルウェッジにどれくらいの水が浸透するのか,その実態を明らかにするために,オマーンオフィオライトのマントルセクションから採取されたかんらん岩を対象に,変質鉱物の形成過程および環境を明らかにする。鏡下観察および電子顕微鏡を用いた組成解析,ラマン分光を用いた変質鉱物の同定,熱力学的解析および安定同位体組成に基づき,マントルかんらん岩に含まれる変質鉱物の形成過程を明らかにするとともに,マントルへの水の浸透の実態を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
海洋地殻とマントルに水がどれくらい深く浸透し,どれくらいの量が地下深部の岩石中に蓄えられるのか,その実態を明らかにすることを最終目的に本研究課題を実施中である。オマーンオフィオライトは,1億年前の拡大海嶺で生じた海洋プレートが形成まもなく沈み込むプレート上に衝上して形成した海洋プレートの化石である。オマーンオフィオライトのマントルセクションは,広域にわたり様々な程度に蛇紋岩化作用を被っているため,本研究はその中でも比較的加水作用による変質の影響の軽微な岩石を利用し,最上部マントルの蛇紋岩化の履歴と規模を明らかにしつつある。2023年度は,同年2月から3月にかけて実施したオマーンオフィオライトの調査で採取した岩石試料を用いて研究を行った。岩石薄片の偏光顕微鏡観察,SEM-EDSを用いた反射像観察と鉱物組成分析,レーザーラマン分光分析計を用いた鉱物種の同定の結果に基づき,高温型の蛇紋石であるアンチゴライトが多く産出する地点を中心に,オマーンオフィオライトのマントルセクションのかんらん岩の蛇紋岩化作用について検討を行った。薄片で観察される蛇紋石脈の形成時期と,ブロック化したかんらん岩塊に発達するトレモラ閃石脈との関係,および,Feにやや富むかんらん石の脈とアンチゴライトの共生関係について検討を行っている。一方,低温型のリザダイトのメッシュ組織を切断するアンチゴライトの形成条件について,低温でのシリカに富む流体との反応の可能性も含め検討中である。2023年12月にオフィオライトの蛇紋岩研究で知られるMohamed Zaki Khedr博士(エジプト,カフルシェヒク大学)を客員研究員として招聘し,オマーンオフィオライトの蛇紋岩化作用について議論を行った。2024年2月にオマーンオフィオライトのワジタイン岩体の地質調査を行い,基底部からモホ面までの岩石試料の採取を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンチゴライトを多く含むかんらん岩の産状について,薄片よりもマクロな産状を確認し,アンチゴライトを含むかんらん岩を取り巻く,より規模の大きなトレモラ閃石の変質脈との関係について検討を行った。それにより,最上部マントルの加水変質作用の履歴と規模の実態をより詳しく明らかにしつつある。昨年度に引き続き,オマーンオフィオライトのマントルセクションのかんらん岩の薄片の偏光顕微鏡下観察とEPMAおよびSEM-EDSを用いた定量分析,反射電子像観察および元素濃度のマッピングを継続して行った。さらにラマン分光高度計を用いた変質鉱物の同定も行った。エジプトのカフルシェヒク大学のMohamed Zaki Khedr博士と議論を行い,オマーンオフィオライトの蛇紋岩化作用について新たな知見を得た。また,2024年2月にオマーンオフィオライト南部地域の地質調査を行い,基底部からモホ面にかけて連続的に蛇紋岩化の程度の低いかんらん岩の採取を実施した。既存の岩石の観察と記載による変質鉱物の同定と産状の記載は順調に進んでおり,マントルセクションへの水の浸透が海水の熱水循環に由来するものか,オフィオライトの衝上の過程で沈み込んだプレートから放出された水の下からの浸透によるものか,さらに検討も進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
オマーンオフィオライトのマントルセクションにおける変質鉱物の種類と産状をマクロなスケールおよびミクロなスケールである程度明らかにすることができたので,今年度は,オマーンオフィオライトの調査で採取した試料を用いて,変質脈のマントル最上部における空間的な分布を明らかにする。同時に,以下の課題にも継続して取り組む。(1) EBSDによる変質鉱物のファブリック解析を行い,蛇紋石の結晶方位の特徴を検討する。(2) Perple_XやSUPCRTなどのソフトウェアを使った熱力学的解析により,変質鉱物の形成環境と温度圧力を推定する。(3) 蛇紋岩の酸素,炭素,水素,鉛の各安定同位体組成分析を測定し,蛇紋岩を形成した水の起源を明らかにする。その際に,海洋マントルの深さ方向(地殻-マントル境界から最下部の基底スラストまで)および海嶺セグメントの中心から末端にかけて三次元的な空間の中で蛇紋岩の存在形態と形成履歴を把握する。また,海洋マントルの加水作用の時間変遷を明らかにするため,さまざまな程度に蛇紋岩化の進んだかんらん岩の比較検討にも取り組む予定である。
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