Project/Area Number |
23K20254
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Project/Area Number (Other) |
20H02166 (2020-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2020-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21030:Measurement engineering-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 耕司 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (60455475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 栄一 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (70619395)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,120,000 (Direct Cost: ¥12,400,000、Indirect Cost: ¥3,720,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
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Keywords | レーダー / 大気レーダー / フェーズドアレイ気象レーダー / 逆問題 / ウィンドプロファイラー / 干渉計 |
Outline of Research at the Start |
ゲリラ豪雨やマイクロバーストなどの局所的な極端気象現象は、人間の社会的生活における安全上の脅威となっており、その発達段階での早期検出が課題となっている。しかし、従来のウィンドプロファイラーや気象レーダーでは、風速ベクトルのドップラー速度成分しか計測できないため、局所的な擾乱を高精度に計測することには限界がある。本研究では、厳密な移流散乱方程式に基づくインバージョン法により、レーダーを用いた高分解能3次元ベクトル風速場観測技術を開発する。これにより、例えば航空機離着陸時のフライトパス上の気象擾乱の検出や、高層建築物の密集する都市環境における気象擾乱の検出を可能とするレーダー開発への道筋をつける。
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Outline of Annual Research Achievements |
大型大気レーダーにおいては強力な送信電力から自己の受信機を保護するため,パルス送信終了後受信機がオンとなる前に一定の空白時間が設けられている.このため一般的に7-10us程度のブランク(不感)時間が発生し,これに対応して地上から1000-1500m程度の低高度領域の観測が不可能となっている.京都大学信楽MU観測所に設置されるMUレーダーも同様である.この問題を解決するため,レーダー本体とは別に受信専用のアンテナを設置し,送受信の切り替えを行うことなく受信することにより低高度からの大気エコーを取得する手法の開発を行なった. MUレーダーでは多数のデジタル受信機を備えており,これを利用することにより外付け受信アンテナからの信号を取得することが可能だが,7usのブランク時間だけ信号を遅延させる必要がある.これには電気フィルターや,ソフトウェア送受信機,長尺の信号線を用いる方法などが考えられるが,コスト,安定性などの面から光電変換と長尺の光ファイバーを用いる方法が最も有利である.ここで光電変換装置にはレーダーに求められる水準の極めて高い線形性が必要となる.そのため複数の候補について線形性および雑音レベルの比較を行い,求められる基準を満たす製品を選定し,2000mの光ファイバーと組み合わせることにより光学ディレイの開発に成功した.これにより低高度領域のエコー受信が可能となった. しかしMUレーダーを用いた低高度領域の実観測データの解析の結果,過大な干渉信号が重畳することが判明した.これはMUレーダーの送信増幅器が送信停止後のブランク時間においても強大な雑音を発生しているためだと推測されるが,この場合簡易な回避策はなく,受信アンテナを高度にアダプティブアレイ化するなどの手法が必要となる.問題の切り分けのため引き続き南極大型大気レーダーを用いた低高度観測および解析を実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インバージョン法の実証技術の開発は大型大気レーダーとの組み合わせを前提として開発を進めているが,同技術は理論上体積散乱を用いる全てのタイプのレーダーへの適用が可能である.乾燥大気と同様,体積散乱となる対象としては雨滴散乱があり,これを観測対象とするレーダーを一般に気象レーダーと呼ぶ.R3-R4年度においては大阪大学フェーズドアレイ気象レーダーを用いた観測を数度実施した.同レーダーは多チャンネルの受信機を具備しており,インバージョン法の適用が可能である.雨滴の場合,通常乾燥大気による散乱と異なり,散乱強度の空間一様性が低く,また充填率が100%でない.このため,インバージョンの適用のためには一様性を前提としないアルゴリズムの開発が必要となる.今後,引き続きインバージョン法の基礎となるスペクトル観測理論を非一様散乱への拡張について理論面からの検討を進め,シミュレーションおよび実データを用いた実験,解析を進める.
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Strategy for Future Research Activity |
大型フェーズドアレイの空間的感度特性の実測は困難なため一般に理論値が用いられるが,レーダーインバージョン法で高精度な推定を得るためには,システムの正確なモデリングが重要である.電磁的相互結合や地形による影響を受けるため,その正確なモデリングには実測が求められる.この手法としてドローンを用いた実測技術の開発を進めている.市販の産業用水準のドローンはcmオーダーの位置決定精度を持っており,位置精度としては十分である.しかし,送受信電磁界の時空間特性を測定するためには,レーダーと極めて高い精度で同期するクロックを持つ電磁界測定器が必要である.このため,ドローンに搭載可能な軽量小型の測定器の開発を進める.
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