Project/Area Number |
23K20319
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Project/Area Number (Other) |
20H03555 (2020-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2020-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51020:Cognitive and brain science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
雨森 賢一 京都大学, 高等研究院, 特定拠点准教授 (70344471)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
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Keywords | 神経生理学 / 認知神経科学 / 不安障害 / 大脳基底核 / 線条体 / マカクザル / 意思決定 / ストリオソーム / 接近回避葛藤 / 化学遺伝学 / 霊長類 / DREADD / 計算論的神経科学 / 側坐核 |
Outline of Research at the Start |
化学遺伝学を用いた経路選択的な操作によって精密な回路操作を行い、課題への影響と神経細胞の活動の変化を調べ、大脳基底核の局所回路の機能同定を行う。特に霊長類大脳基底核の局所回路が、価値・意欲をどのように区別し、どのように不安障害やうつ病が引き起こされるのかを、ヒトと相同な脳構造を持つ霊長類において包括的に明らかにし、ヒトの精神障害の治療につながる神経操作技術の確立に寄与する。
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Outline of Annual Research Achievements |
当初研究計画では、「不安回路」の下流域に線条体ストリオソーム構造があり、そのドーパミン細胞の制御の機構を調べることで、「不安」の生成メカニズムを明らかにすることを目的とした。4年間の研究期間の間、当初の研究計画に関連して、次の4つの成果をあげ、それぞれ論文誌で発表した。① ACCにおいて、悲観的な意思決定に因果的に関わる局所部位を EM で同定し、順行性トレーサーウイルスによってネットワークを調べたところ、ストリオソーム構造に優先的に投射することがわかり(Eur. J. Neurosci., 2020) 、②「不安回路」の解剖学的な全体像を発表した(Frontiers Neurosci., 2021)。線条体のカルシウムイメージングを国際共同研究で進め、③ ストリオソーム細胞の葛藤課題での神経応答が、マトリックス細胞とは別の学習信号をコードすることを示した(Nature Comm., 2022)。また、④ 線条体ドーパミン応答をサルの課題遂行中に計測し、領野ごとに、価値と運動を区別して表現することを明らかにした(Science Advances, 2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に加えて、新たに、不安に関わる価値と意欲の2つの次元の神経回路の同定に成功しつつある。価値と意欲を区別する「不安の2つの次元」が重要であることが明らかになり、次の5つの成果を論文誌で発表した。まず、⑤ 線条体の神経活動を調べたところ、価値と意欲を区別して情報処理していることが明らかになった(Frontiers Neurosci., 2020)。⑥ ストリオソーム・マトリックス構造が、別の不安障害遺伝子群を発現することを発見し(Sci. Rep., 2021)、これらが価値と意欲を区別する可能性を示した。また、⑦ ヒト外側前頭皮質が不安の要素の中でも報酬価値に因果的に関わることを示し(Cereb. Cor., 2022)、⑧ 意欲の低下が主な病態であるヒトのうつ病患者の研究を通して、腹側線条体の異常応答を発見し(Biol. Psychiatry, 2020)、⑨ 数理モデルによって定量化した(PLOS Comput. Biol., 2021)。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の研究の進展から、大脳皮質―大脳基底核回路には「価値と意欲」を区別して情報処理する2つの回路がある可能性が示された。特に、⑧ の研究では、腹側線条体が「意欲」に因果的に関わる可能性を示した。そこで我々は、葛藤によって減退する意欲が、腹側線条体(VS)とその下流の腹側淡蒼球(VP) によって制御されると考えた。DREADD のウイルスベクターを VS に注入し、発現ののち作動薬を VP 領域に注入し、VS-VP の経路を選択的に抑制したところ、葛藤条件でのみ意欲の回復がみられ、2頭目のマカクザルの実験でも同様の傾向を確認した。経路の抑制が価値判断に対する影響は有意ではあるものの小さく、VS-VP経路は、葛藤条件での「意欲」の制御に必須であることが突き止められつつある。この化学遺伝学による経路選択的な操作研究の進展を踏まえ、② の論文で提案する「不安回路」の経路のそれぞれに対して、経路選択的な操作を行うことで、「不安に関わる価値と意欲」を区別して制御する回路が明らかになるのではないか、と考えた。これら新規の仮説に基づいて、今後の研究を進めていきたい。
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