Project/Area Number |
23K20394
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Project/Area Number (Other) |
20H04368 (2020-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2020-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64030:Environmental materials and recycle technology-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松本 謙一郎 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80360642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 宏矢 北海道大学, 工学研究院, 助教 (00814229)
大井 俊彦 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (40223713)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | 微生物産生プラスチック / バイオベースプラスチック / 酵素重合 / 生分解性プラスチック / 生分解性材料 / バイオベースポリマー / 自己組織化 |
Outline of Research at the Start |
本提案では、海洋分解性プラスチックとして注目される微生物産生ポリマーであるポリヒドロキシアルカン酸の材料物性の拡張のため、申請者が見出した独自のモノマー配列制御法を発展させ、全く前例のない特殊配列を持つポリマーを合成することを目的とする。本ポリマーは非天然型モノマーを含むことを特徴とし、高い分解性を示すことが予想されることから、従来型のポリマーよりもさらに幅広い応用が期待できる。さらに、このような構造が生まれる仕組みについても分子レベルで解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
微生物産生ポリエステルであり生分解性プラスチックとして利用できるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の新規構造制御法を開発した。PHAの構造制御は、材料物性に直結する重要な技術課題である。申請者が独自に見出したPHA合成酵素により、非天然モノマーであるグリコール酸を含むブロック共重合体をポリマーを得ることができた。得られた共重合体は、同一分子内にランダム共重合体とホモポリマーセグメントを有する、特殊な配列構造を有していた。本成果はFrontiers in Bioengineering and Biotechnology誌で発表した。さらに、ブロック共重合体の化学構造の拡張に取り組んだ。使用している配列制御型重合酵素は、3-hydroxyhexanoate (3HHx)モノマーに弱い活性を有する。3HHxは材料に柔軟性を付与する性質がある事が知られ、PHAの重要な構成成分の一つである。そこで、進化工学的手法を用いて3HHxモノマーに対する活性が向上した変異体を創出した。こうして得られた新たな重合酵素を用いることで、3HHxモノマーから構成される新規ブロック共重合体を合成することができた。さらに本成果を構造類縁体である6-hydroxyhexanoate (6HHx)に応用し、これまでで最も6HHx分率の高いポリマーを合成することができた。これらの成果はBiomacromolecules誌で発表した。獲得した優良変異体を用いて、D型ポリ乳酸を含むブロック共重合体の合成にも初めて成功した(ACS Sus Chem Eng)。ブロック配列の合成機構を解明するため、独自に開発したNMR法およびreal-time NMR法を用いたin vitro解析を行った。その結果、2つのセグメントが合成される順序を明らかにした。本成果はBiophysical Chemistry誌で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、ブロック共重合体の構造拡張と、合成機構の解明を目的としている。構造拡張では、3ーヒドロキシヘキサン酸、6-ヒドロキシヘキサン酸を含む共重合体、構造中にD型ポリ乳酸を含むブロック共重合体など、有用な物性が期待できる新規ポリマーの合成を複数達成した。また、合成機構解明についても、人工合成基質を用いたアッセイ系を順調に構築しており、間もなく結果が得られる見込みである。以上より、本研究課題は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後とくに力を入れて取り組むのは、ブロック配列の生成機構の解明である。 配列制御型重合酵素は、複数基質の混合物から自発的にブロック共重合体を合成する。これまでの研究で、3-hydroxybutyrate(3HB)と2-hydroxybutyrate(2HB)の二元共重合体をインビトロ合成し、生成物の構造を解析することで、本二元共重合体を合成する条件では、P(3HB)セグメントが先に重合されることが判明した。初期状態の重合酵素は2HB重合活性を示さず、P(3HB)重合後の酵素は2HB重合活性を示すことから、P(3HB)の重合が酵素の機能に影響を与え、2HBの重合を可能にしていることが分かった。また、この機能変化がブロック共重合体が自発的に生じる機構の一部であると考えられた。この知見に基づいて、P(3HB)の重合がなぜ酵素機能に影響を与えるのかを解明することに取り組む。重合酵素が3HBモノマーを重合する際、すべての分子が均一に重合反応を進行させるのではなく、一部の酵素分子のみが反応し、多くの酵素分子が未反応のままになる。したがって、2HBの重合を開始する際、機能変化した酵素分子としていない分子が混在することとなり、これにより正確に機能評価を行うことが困難となる。この問題を解決するため、人工合成プライマーを用いた酵素アッセイを実施する。プライマーは、末端の水酸基を除去した構造を有する3HB三量体である。プライマーを用いると、重合開始直後の状態で反応を一旦停止させることができる。その状態の酵素機能を評価することにより、上記の問題の解決を試みる。プライミング酵素に2HB重合活性があるかを評価し、次に、プライミング酵素に3HBを重合させ、2HB重合活性がどのように変化するか調べる。本手法により、重合酵素に2HB重合活性が生じる構造的要因を明らかにする。
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