Project/Area Number |
23K20417
|
Project/Area Number (Other) |
21H00469 (2021-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
辻内 宣博 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (50645893)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
御子柴 善之 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20339625)
山口 雅広 龍谷大学, 文学部, 准教授 (20646377)
鈴木 道也 東洋大学, 文学部, 教授 (50292636)
吉沢 一也 大阪体育大学, 体育学部, 准教授 (60711710)
三重野 清顕 東洋大学, 文学部, 教授 (70714533)
藤本 温 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80332097)
川添 信介 福知山公立大学, 未登録, 学長 (90177692)
西村 洋平 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (90723916)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
|
Keywords | 倫理学と政治学 / 道徳と法 / 共同体主義 / 徳倫理学 / 倫理学的政治学 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,「倫理学を内在化する政治学」というアリストテレス主義的な理論を,西洋中世スコラ学における哲学理論の観点から明晰化することを試みる。そのために,トマス・アクィナスをはじめとする中世スコラ学者の精密な検討を行いつつ,非アリストテレス主義的なソクラテス,プラトン,新プラトン主義の思想の観点から,および,倫理学と政治学とが分離独立した近代的思想(カントやヘーゲル)の観点から,「倫理学を内在化する政治学」という理論を批判的に検討し,理論自体の耐用性も明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
古代については,プラトンの『プロタゴラス』におけるプロタゴラスの「大演説」の議論構造と作品全体での位置づけを通じて,徳の教育可能性への新たな解釈の視座を提供し,また,家政の領域を公私の交わる場としつつ,私的なものから公的なものへという方向性を重視するのか,それとも,公私の区別を取り払うのかという枠組みの中での新プラトン主義の位置づけが提起された。 中世については,万民法(ius gentium)と国法(ius civile)の位置づけに関する神学者と法学者との相違から道徳と法との関係に関する新たな視座が提示され,また,トマス・アクィナスにおける政治的思慮の角度からの分析により,政治学と倫理学との関係に関する論点が整理され,そして,動物を人間による道徳的な配慮の対象とする可能性を検討することを通じて,自然的世界全体の統治という観点での政治と倫理の関係に関する視座が提示され,また,ジャン・ビュリダンにおける立法的思慮(統治者)と政治的思慮(従属者)の分析や思慮と学問知との関係の分析を通じて,倫理学と政治学とが交錯する地平が示され,さらに,ヴァンサン・ド・ボーヴェにおける「忠誠(fides)」の分析を中心として,fides が道徳的規範であると同時に,社会的な統合原理としても機能していたことが提示された。 近代については,ヘーゲルの『哲学史講義』におけるプラトンの『国家』に対する評価を分析することを通じて,個人の欲求追求や私的所有という契機をポリスの構造のうちに有機的に取り込む試みを行っていたことが提示され,さらに,マーサ・ヌスバウムとオノラ・オニールについて,国境を越える正義という問題を巡って両者の論を分析し,その方法をめぐる対立点の提示が行われた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は,「倫理学を内在化する政治学」というテーマについて,古代・中世・近代の各領域の担当者が,2021年度に提起した問題に対する応答を行う形で進められた。そして,その応答により,それぞれの分野における倫理学と政治学との関係性に関する新たな視点や方向性が提示された。また,研究実績の概要で記載したとおり,各自の視点から具体的な成果が提示されたため,目下のところおおむね順調に進んでいると評価することができる。 なお,3月のワークショップにおいては,山梨大学の皆川卓教授によって,「君主鑑」から「道徳神学」への移行プロセスが,17世紀カトリック神学の分析を主軸として歴史学的な観点から提示された。とりわけ,アダム・コンツェンの『政治学十書』における神学的演繹からの統治者倫理の導出と,それに対するヘルマン・ブーゼンバウムの『道徳神学神髄』での神学的演繹からの離反の思想的背景の比較は,今後,「倫理学を内在化する政治学」の研究を進めていくうえで,非常に有意義な示唆をいただくことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,昨年度と同様に,定期的にWeb会議システムを利用しながら,メンバー相互の研究の進捗状況を把握しつつ,問題点や知見の共有を行っていく。そして,8月か9月には,研究会を開催して,ある程度まとまった形の研究成果のプレゼンテーションを行い,相互に批判検討していく。 また,年度末の3月には,外部の専門家に招待講演を依頼して,メンバーでは不足しがちな領域の補完を行っていく。今年度は,早稲田大学政治経済学部の齋藤純一教授にジョン・ロールズをテーマとして,ご講演をいただく予定である。
|