Project/Area Number |
23K20433
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Project/Area Number (Other) |
21H00486 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 みちこ 筑波大学, 芸術系, 准教授 (40805181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 文子 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (10377616)
下原 美保 関西学院大学, 文学部, 教授 (20284862)
山本 浩之 筑波大学, 芸術系, 准教授 (20401466)
加藤 弘子 都留文科大学, 文学部, 非常勤講師 (70600063)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥13,520,000 (Direct Cost: ¥10,400,000、Indirect Cost: ¥3,120,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | 近代日本画 / 現代日本画 / ジャポニスム / 在外日本美術コレクション / 日本画技法 / 日本美術院 / 日英美術交流 / 住吉派 / 大英博物館 / エドワード朝 / 狩野派 / 日本画の技法 / 東京美術学校 |
Outline of Research at the Start |
本研究の問い「近代日本画が目指したグローバルな視点から、世界におけるNIHON-GAとして新たな定義が可能なのか」について5つの視点から考察する。①「展示」1900年以降イギリスで開催された日本人画家の展覧会を分析。②「収蔵」大英博物館に所蔵されている日本絵画から19世紀末~20世紀初頭の作品を抽出し調査。③「画業」在英日本人画家の描いた日本画作品を調査。④「言説」雑誌記事、図録等から展覧会評を収集しJapanese Painting, Japanese-style Paintingの語の用法を分析。⑤「技法」在英コレクションにおける近代日本画の技法・素材を考察し、水彩画との混合技法を解明。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はイギリスに渡航し大英博物館での実見調査を行うことができた。渡英に先立ち、2023年7月26日に科研メンバー全員と大英博物館キュレーターのロジーナ・バックランド氏とのオンライン会議を開催、調査に関する助言を頂き事前準備を行った。研究代表者の林、研究分担者の下原・山本は2023年11月に渡航しアーサー・モリソン旧蔵の下村観山作品《ディオゲネス像》《騎馬人物図》《草花図》、ウィリアム・アンダーソンコレクションの模写3作品《病草紙》《百鬼夜行絵巻》《土蜘蛛絵巻》を熟覧・調査した。林は下村観山の滞英時代の資料にもとづき画題や制作背景を分析し、研究分担者の山本は下村を引き継ぐ日本美術院の同人作家としてその技法・描法を詳細に考察した。林は他にV&A博物館において日本画家歌川若菜の資料を調査し、イギリスにおける個展の開催などの事績を解明した。下原は上記《病草紙》ほかの模写作品の調査からイギリスにおけるやまと絵受容のあり方や、近世やまと絵及び近代日本画における古典絵巻の影響を確認した。同時に研究チームは大英博物館、V&A博物館、ブルネイギャラリー(ロンドン大学)等で、日本美術部門の展示構成を分析したほか、ジャパン・ハウスにてアイヌ文化に関する特別展を調査した。研究分担者の加藤は2024年2-3月に渡航し、下村観山のロンドン留学時代の作品とモリソンの指導を調査したほか、国名を冠した〈日本画〉〈日本美術〉の〈日本〉が意味する内容を考察するための比較対象としてイギリスの“British Painting” “British Art”を、また、日本美術院の比較対象としてRoyal Society of British Artists(RBA)などイギリスの美術団体を調査した。一方、研究分担者の小野はさまざまな視点から「日本」の文化的なナショナリズムについて文献収集を中心に研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本助成の初年度からコロナ禍による海外渡航制限、各所属組織の出張制限などで予定どおりの海外調査を行うことができなかったが、2023年度に2年遅れでイギリスでの調査を実施することができた。美術史研究の根幹をなす作品の実見調査を行うことができたことにより、遅れていた研究活動が加速度的に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の林、研究分担者の山本は2023年度に大英博物館で熟覧した下村観山作品について考察を深める。山本は実見調査にもとづき部分的な技法検証を試みる予定である。また林は本研究助成の期間に画家歌川若菜のイギリスにおける事績の一部を明らかにすることができたので、近代の女性日本画家の海外における活躍についても考察する。研究分担者の下原は大英博物館所蔵の《病草紙》模写、《百鬼夜行絵巻》模写、《土蜘蛛絵巻》模写の2023年度における熟覧に基づき、近世やまと絵における模写の問題と、それら模写作品のイギリスへの請来について考察を深める。研究分担者の加藤は2023年度の調査に基づき、下村観山のロンドン留学とアーサー・モリソンの指導、日英両国の美術制度および美術団体の比較考察を進める。また研究分担者の小野は2023年度、さまざまな視点から「日本」の文化的なナショナリズムについて文献収集を中心に研究を進めた。小野はジャポニスム研究、とくに19世紀から20世紀イギリスのジャポニスムに関して先導的な研究を進めていることから、2024年度は美術史に加え比較文化論、組織論なども用いながら上記それぞれの担当者が追究している個別の問題について適宜批評と助言を行い、本科研の課題である「グローバルな視点からの近代日本画の再定義」に議論を合流させる役割を担う。
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