光学的科学調査を軸とした初期洋風画とアジア太平洋海域美術交通に関する基盤的研究
Project/Area Number |
23K20434
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Project/Area Number (Other) |
21H00488 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 裕成 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (00243741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉田 絢子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, アソシエイトフェロー (20885149)
福島 修 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (50851375)
志賀 智史 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 室長 (90416561)
鷲頭 桂 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90590448)
杉田 真菜 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, アソシエイトフェロー (70893105)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 洋風画 / 南蛮 / グローバルアート |
Outline of Research at the Start |
初期洋風画や日本からの輸出美術品、あるいは、日本美術の影響が現地化して生み出され た境界領域的な作品は、関連する史料的な情報が極めて限られている。最新の技術によって 得られる技法や素材についての新たな知見は、それらの作品の成立の背景や、制作者の系譜 を解明するための数少ない貴重な材料である。本研究は、広範な光学的科学調査を実施し、 アジア太平洋海域における美術の交通という、16世紀に出現したグローバルな文化交渉の環 境が、日本に何をもたらしたのか、また逆に、日本はその環境に対してどのように反応し何 を提供したのか、その両面を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
16世紀は半ば以降の日本やアジアの各地をとりまく美術作品の交通は、従来考えられていたより遥かにグローバルなものであった。本研究はそうした動向を踏まえつつ、従来の南蛮美術論において強調されがちであった西洋からの影響の問題にとどまらず、多元化した交通網において生じた日本由来の美術のグローバルな移動と、各地の美術とのダイナミックな節合の過程に焦点を当てる。この目的に基づき、本年度は以下のような調査研究を実施した。 1) 九州国立博物館蔵の「泰西風俗図屏風」(A102)、「老人読書図」(A103)について、昨年度着手した撮影画像(赤外線画像撮影、紫外線画像撮影、超高精細画像撮影)の解析と不足情報を補う作業をおこなった。合わせて、昨年度、コロナ禍による急の予定変更により実施できなかった蛍光X線による質料データの計測を実施した。 2)東京国立博物館蔵 「桔梗蝶楓鹿蒔絵螺鈿聖龕」について、昨年度撮影の CT画像について解析の作業を進めた。また、研究協力者マリア・オルビード・モレノ氏と柳澤佐永子氏をメキシコから招聘し、聖龕に収められた羽根モザイク技法の聖画について顕微鏡撮影と詳細な技法分析を行った。同時に、同羽根モザイク聖画のヴァーチャル復元に向けて、技術的な面からの準備を進めた。 3)アジア太平洋のグローバルな交通と美術についての包括的研究については、光学的方法を軸とする作品調査の成果をふまえつつ、研究代表者・岡田 Palgrave-Macmillan社刊の論集 The Palgrave Handbook of the Catholic Church in East Asia への寄稿論文を執筆し、入稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
九州国立博物館および東京国立博物館の所蔵関連作品についての光学的科学調査については、2021年度末に、コロナ禍の影響により一部課題の実施を見送ったが、その見送り課題については、本年度、実施に至った。その他、計画した蛍光X線による質料調査も予定通り実施した。 また、本年度予定したメキシコからの研究協力者招へいについても、当初の予定通り行い、東京国立博物館所蔵の 「桔梗蝶楓鹿蒔絵螺鈿聖龕」に納められる羽根モザイク聖画についての調査を行い、大きな成果を得た。研究成果の公刊についても可能なものから順次行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
作品の光学的科学調査については残る作業を順に進め、2024年度中の調査報告書作成に向け、データの分析などの作業を順次進める。羽根モザイク聖画のデジタル復元についても、メキシコの専門家と緊密に連携しつつ、必要な作業を進める。アジア太平洋のグローバルな交通と美術についての包括的研究については、予定した海外調査を実施し、最終報告書に向けた研究を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)