Project/Area Number |
23K20514
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Project/Area Number (Other) |
21H00590 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
前田 修 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20647060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 健裕 慶應義塾大学, 文学部(三田), 助教 (30898309)
小高 敬寛 金沢大学, GS教育系, 准教授 (70350379)
早川 裕弌 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (70549443)
下釜 和也 千葉工業大学, 地球学研究センター, 研究員 (70580116)
内藤 裕一 一般財団法人電力中央研究所, 原子力リスク研究センター, 主任研究員 (10754848)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
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Keywords | 考古学 / メソポタミア / 農耕集落 / 都市化 / 前適応 / 都市 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、西アジアの南メソポタミア低地で繁華した文明社会の起源の1つと考えられる、イラク・クルディスタン自治区における農耕集落の変遷過程を研究する。国内外のの研究者からなる文理融合の研究グループを組織し、1)前6000年頃の遺跡発掘調査および地理情報分析を実施し、2)出土資料の考古学的研究および理化学的分析によって一次資料を研究した上で、3)社会変化について「前適応」の概念を援用して論じる。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究計画のとおり、2023年8月16日から9月29日の6週間にわたり、イラク・クルディスタン地域スレイマニア県においてシャカル・テペ遺跡の発掘調査を実施した。本研究の研究代表者・研究分担者の4名が参加し、現地の研究者とともに実施した共同調査である。この遺跡では2019年度に1号丘の調査をしていたが、2023年度は1号丘に加え2号丘にも発掘区を設け、紀元前3500年前後の後期銅石器時代の文化層および紀元前5200年前後のハラフ期の文化層を発掘した。2号丘では土器、石器をはじめとする遺物のほか、プラスター貼りの床面を持つ矩形遺構が検出され、この地域のハラフ期の様相を理解するための重要な資料を得ることができた。また、併行してUAVを用いて1号丘および2号丘周辺の地形測量を実施し、遺跡が立地する地形および環境の詳細な情報を得ることができた。 8月5日から15日まで期間には、トルコ、シャンルウルファ県においてイスタンブール大学発掘するセフェルテペ遺跡の調査に参加し、遺跡から出土した石器資料の分析をおこなった。石刃製作技術を検討することで、この遺跡が先土器新石器時代B前期に位置づけられること、近隣の遺跡とは居住時期にわずかな時期差があること、広域的には、レヴァント、北メソポタミアの双方と交流をもっていたことが明らかになった。 3月には、研究分担者3名が現地に収蔵されている出土資料分析のため再度イラク・クルディスタンに出向き、3週間ほど滞在して、新石器時代および後期銅石器時代の土器の分析を実施した。 本年度の研究成果は、日本西アジア考古学会第31回発掘調査報告会で報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、当初の計画通りイラク・クルディスタン地域での遺跡発掘調査を実施することができた。研究期間1年目はコロナ感染症の影響で調査ができなかったが、2022年度度と2023年度に発掘調査を実施したことで、当初予定していた通りの研究成果をあげることができ、今後の研究に必要な考古資料を十分に得ることができている。研究組織内のメンバーで分担して実施している土器、石器の分析、黒曜石の産地同定分析、放射性炭素年代測定、地理情報分析もすべて予定通り進んでいる。 また、ここまでの研究成果の公表も予定通り進んでおり、学会発表および学術雑誌において研究成果を公表することができた。イギリスの研究者との共同研究の成果については、国際学会で研究成果を発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も、当初の計画通り、8-9月にイラク・クルディスタン地域での土器新石器時代および後期銅石器時代の遺跡発掘調査をおこない、出土考古資料の分析を中心に研究を進める。発掘調査は、シャカル・テペ遺跡およびシャイフ・マリフ遺跡の発掘を継続して実施する。また研究組織のメンバーそれぞれが出土資料の研究を分担し、当該時期の物質文化の様相をあきらかにすることで、これらの時期におけるイラク・クルディスタン地域と南メソポタミアとの関連をあきらかにしていく。遺跡周辺の地理情報分析においては、新たに購入した熱赤外(温度)センサーを備えたドローンによって収集したデータの分析を試みる。これらの研究成果については、学術雑誌への論文投稿、国際学会での口頭発表により順次公表する。 マンチェスター大学の研究者との黒曜石産地同定の共同研究もこれまでどおり継続して進める。2022年度および2023年度の遺跡発掘調査で出土した黒曜石製石器については、ハンドヘルド型の蛍光X線分析装置を用いてすでに分析済であり、2024年度は、その成果を公表する共著論文の執筆を進める。
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