Project/Area Number |
23K20524
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Project/Area Number (Other) |
21H00603 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
山形 眞理子 立教大学, 文学部, 特任教授 (90409582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 純子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90275967)
徳澤 啓一 岡山理科大学, 学芸員教育センター, 教授 (90388918)
鈴木 朋美 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部学芸課, 主任研究員 (00778673)
深山 絵実梨 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員研究員 (10801144)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
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Keywords | 考古学 / ベトナム / オケオ遺跡 / 扶南 / 地理学 |
Outline of Research at the Start |
本研究はベトナム南部アンザン省オケオ-バテ遺跡群に注目し、近年の発掘調査によって出土した資料の多角的な分析をもとに、インドシナ半島の古代国家「扶南」の実像を追究する。扶南の外港に比定されるオケオ遺跡は、中国の後漢鏡やローマの金貨を出土したことで知られるが、港市の構造や住民の実態については不明な点が多い。近年、本研究のベトナム側共同研究機関がオケオ-バテ遺跡群の古運河と建築遺跡を発掘し、自然遺物を含む膨大な資料が出土した。それらは住民の居住、生業、手工業、信仰などにアプローチする鍵となる。様々な分野の日越の専門家が協働し、新たな手法も導入して新出資料の分析に臨むことによって、扶南の実像に迫る。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度には2度のベトナム現地調査を行うことができた。まず、2023年8月にカントー市ニョンタイン(Nhon Thanh)遺跡の発掘調査を実施した。ニョンタインは過去の調査によって古運河沿いに形成されたオケオ文化期の居住址であることが判明しているため、オケオ遺跡内の古運河であるルンロン遺跡との比較研究が可能である。ニョンタイン遺跡発掘調査はベトナム人考古学者グエン・ホアン・バク・リン(研究協力者)が主体となり、ベトナム側から南部社会科学院とカントー市博物館、日本側から山形眞理子(研究代表者)、久保純子・鈴木朋美・深山絵実梨(研究分担者)、さらには地理学と考古地磁気学の研究協力者も参加する国際共同調査として実施された。発掘区1カ所と試掘区2カ所を設定し、総面積8.5㎡の小範囲を掘り下げた。炭化物・植物種子・魚骨などの微細遺物を採集するための水洗選別、花粉分析や考古地磁気分析のための土壌サンプル採取、ハンドオーガーによるボーリング調査を実施し、遺跡の古環境を明らかにするための分析を進めている。 さらに、2024年3月に南部社会科学院において澤田純明(研究協力者)を中心とする日本人専門家がオケオ遺跡から出土した動物骨の調査を実施し、山形と徳澤啓一(研究分担者)も参加した。動物考古学者がオケオ文化の出土資料を詳細に分析するのは初めての試みであり、扶南の住民による動物利用の実態が解明されつつある。また、コロナ禍後に初めて研究者がクメール人の土器作り村に入ることが許可され、徳澤と山形が現地で土器製作者へのインタビューを行った。徳澤が2000年代にメコンデルタで調査した土器作りからの変容が著しいことが認識され、今後取り組むべき調査課題が明らかになった。 以上のような調査研究によって、メコンデルタに生きた人々の生活に密着した視点から扶南の歴史的意義を再考しようとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は発掘調査を含む現地調査を実施することができた。また、ベトナムと日本の研究者がそれぞれの専門分野で行っている分析も着実に進行している。今年度になってようやく、コロナ禍の影響を受けた進捗状況の遅れを取り戻すことができたと評価している。当初はオケオ―バテ遺跡群の近年の発掘調査による出土遺物を主要な調査対象としていたが、ベトナム側の状況の変化によって、出土遺物の多くが収蔵庫に厳封されたままとなっている。しかしベトナム人研究協力者や共同研究機関との協議を経て、あらたにニョンタイン遺跡で国際共同調査を始めることができた。また、オケオ文化の遺跡では初の試みとなる動物骨調査と考古地磁気学調査が本格化したことは、本研究を大きく前進させる要素となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には本研究のメンバーによる調査研究が順調に進展し、今後の研究の推進に向けて様々な可能性が開かれた。ただし本研究課題の実施期間はあと1年であるため、現時点での本研究の到達点を総括し、あらためて現在のベトナム考古学の状況と照らし合わせて課題を整理し、次の段階に備える必要がある。ベトナムの国・地方政府はオケオ-バテ遺跡群のユネスコ世界遺産登録を目指して様々な活動を行っているが、本研究は現在までのところその動きとは距離を置き、オケオ文化に関する考古学調査を通して扶南の歴史を探るための学術研究に集中している。2024年中に明らかになる世界遺産登録の可否が本研究の進捗に関わってくる可能性もあるため、今後も現地の変化を注視しながら、日越の共同研究を推進していく。
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