三次元デジタル・アーカイブを活用した鋳造実験からみた青銅器製作技術の総合的研究
Project/Area Number |
23K20526
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Project/Area Number (Other) |
21H00606 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
水野 敏典 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部資料課, 課長 (20301004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
わけびき 真澄 中部大学, 現代教育学部, 教授 (00534398)
山田 隆文 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 指導研究員 (30301005)
古谷 毅 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部, 研究員 (40238697)
北井 利幸 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部企画課, 指導研究員 (70470284)
岡林 孝作 奈良県立橿原考古学研究所, その他部局等, 学芸アドバイザー (80250380)
奥山 誠義 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部資料課, 総括研究員 (90421916)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
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Keywords | 三次元計測 / 銅鏡 / 銅鐸 / 鋳型 / 製作技法 / 同型技法 / 同笵技法 / 鋳造実験 / 同笵鏡 / 三角縁神獣鏡 / 同型鏡 / 青銅器 |
Outline of Research at the Start |
1999年から25年にわたり構築してきた1200点以上の銅鐸、銅鏡の三次元デジタル・アーカイブを活用した詳細観察をもとに、青銅器の製作工程の製作モデルを作成する。その際に、同一文様の青銅器を量産する同笵・同型技法に注目し、古墳出土の「三角縁神獣鏡」を含む銅鏡群の中国系と倭系の技術系譜の識別を進める。 これを、三次元計測技術を応用した鋳造実験を通して検証を行う。特に、実験の各過程を三次元計測で精密に記録し、原鏡から鋳型製作過程を経て鋳造実験鏡製作までに起きる変形収縮を客観的に記録することで、実物観察による製作モデルの検証を行うところに特徴がある。大きく「同型技法」と「同笵技法」の再現を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度上半期までの「同型技法」による鋳型製作から鋳造実験までの実験結果のうち、収縮条件についてまとめて、奈良歴史芸術文化村での第40回日本文化財科学会にて、「三次元計測を応用した「同型鏡」生産に伴う収縮条件の研究 」(共同発表)と題してポスターセッションを行った。これまでの実験で鋳型収縮を妨げた要因を多数確認した。①同型技法により踏み返した際に原鏡を鋳型から抜くタイミングが遅いこと、②煉瓦の上で鋳型を乾燥したため鋳型が煉瓦に貼り付きやすいこと、③肌真土と砂質粘土による多層構造の鋳型を採用したが各層の乾燥時の収縮率が異なり、収縮を抑えていたこと、④鋳型が砂質で脆いために鉄筋などの補強を行ったことなどが挙げられた。いずれも鋳型収縮を防ぐに有効な現代の標準的鋳造手法であった。鏡径収縮の再現実験としては、単層の鋳型構造を採用し、貼り付かずに収縮できるよう砂上で乾燥を試みたことで、出土鏡に近い鋳型収縮を再現し、鋳造により鏡径の収縮した実験鏡の製作ができたことを報告した。 また、桜井茶臼山古墳出土鏡報告のために、385点の鏡片の三次元計測を行い、鏡背、鏡面、厚さを確認し、過去20年以上蓄積した計測調査データをもとに三角縁神獣鏡「同笵鏡」の同定を進め、内行花文鏡等では圏線を用いて同心円上に鏡片を配置し、銅鏡片の同一個体認定を行った。 また、研究成果の普及として、附属博物館の春季特別展図録に、宗像大社所蔵鏡の調査についてのコラムを記載し、研究講座では「沖ノ島出土鏡と大刀からみた宗像」と題して沖ノ島出土鏡について三次元計測データを用いて特徴を紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の中核をなす同一文様鏡の製作技術を検証する中で、大きな柱である「同型技法」については再現の目途がつきつつある。この技法の考古学的な評価についても令和6年度中に成果発表を進めたい。もう一つの柱である「同笵技法」については、再現実験を開始したところであり、この部分では研究の進展にやや遅れがみられる。成果をまとめた学会発表等も行えており、おおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、再現実験を通じて、古墳時代に出土した同一文様の銅鏡製作技法の検証を進める。2010年の科研報告において出土鏡の観察と三次元計測データから、「同型技法」の使用による笵傷と鏡径収縮が発生する場合の製作モデルを発表しており、R6年度の日本考古学協会において、この製作モデルを検証する形での鏡径収縮を再現実験の内容を紹介するとともに、同一文様の銅鏡を量産する「同型技法」の実現性とその考古学的な評価を行う計画である。 また、同型技法の実験と並行して、もう一つの柱である「同笵技法」についての実験を開始する。まず、手始めに陶製の鋳型を製作し、複数回の鋳造時耐えるかの実験を行う。この作業と並行して、出土鏡の観察と計測調査を継続し、笵傷等から鋳型の構造や技法について検討を加える。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)