Research on the mechanism of microbial deterioration of bricks constituting cultural heritage
Project/Area Number |
23K20537
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Project/Area Number (Other) |
21H00619 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
河崎 衣美 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部資料課, 主任研究員 (60732419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 光二郎 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (10325938)
内田 悦生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40185020)
松井 敏也 筑波大学, 芸術系, 教授 (60306074)
片山 葉子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 客員研究員 (90165415)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | 生物劣化 / 煉瓦 / 文化遺産 / 微生物 |
Outline of Research at the Start |
煉瓦は紀元前より建築材料として世界各地で用いられ、人間の活動を支えてきた様々な文化遺産を構成する材料の一つである。本研究は文化遺産を構成する焼成煉瓦の劣化要因として、これまではあまり注意が払われてこなかった、微生物による劣化を明らかにするための研究である。劣化のメカニズムを各微生物の機能に焦点をあてて明らかにし、その劣化の認識方法を提案する。本研究により、これまで原因が明らかでなかった煉瓦の劣化要因を示すことができる。加えて、深刻な煉瓦の劣化を引き起こす塩類生成の一端を担う微生物の関わりを明らかにすることによって、劣化抑制方法の選択肢を増やし、より個々の事例に即した保存の実現を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は文化遺産を構成する焼成煉瓦の劣化要因としてこれまではあまり注意が払われな かった、微生物による劣化機構を明らかにし、将来的に汎用的な劣化診断法の開発と劣化の 抑制につなげる情報を得ることを目的とする。特に深刻な劣化を引き起こす塩類の起源となる硝酸イオンや硫酸イオンを生成する窒素循環や硫黄循環に関わる化学合成独立栄養微生物と光合成独立栄養微生物に着目し、各微生物の機能に焦点をあてて煉瓦における劣化機構を解明する。さらに微生物による劣化の様相を判断し、認識するための手法を提案する。本研究により、これまで原因が明らかでなかった煉瓦の劣化に対する対策の対象を提示し、また 塩類生成の一端を担う微生物の関わりを明らかにすることによって、劣化抑制方法の選択肢を増やし、より個々の事例に即した保存の実現を目指す。 主な調査対象は富岡製糸場、東京湾要塞跡、牛久シャトー、サンボープレイクック遺跡(カンボジア)である。 調査対象の煉瓦造文化遺産における劣化生成物の遺伝子解析の結果、化学合成独立栄養微生物として窒素循環に関わる微生物を確認した。塩耐性又は塩要求性の特異な微生物生態系を形成している可能性が示された。光合成独立栄養微生物について、固着・穿入するタイプの地衣類の固着地衣Pertusaria属をモデルとし、菌-藻間における相互作用を調べた結果、周囲の微生物との作用により藻類の形態や付着能が変化することが分かり、防除への手がかりに繋がることが示唆された。 牛久シャトーの調査では、雨季と乾季では、レンガ材の含水率は乾季で低くなり、析出塩類の量が増加する傾向が見られた。含水率から、1階では地下水が塩類の運搬媒体となっていることが考えられ、2階では雨水が塩類の運搬媒体であることが考えられた。カンボジアのサンボープレイクック遺跡寺院においてレンガ表面の付着微生物と保存状態の調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎研究として定めた、付着微生物の性質と劣化に関わる機能解明、煉瓦造文化遺産の劣化要因調査について進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
分析対象を広げることで研究を深化させる。煉瓦造文化遺産における劣化生成物より見出された、窒素循環に関わる化学合成独立栄養微生物についてその機構をより詳細に調査する。光合成独立栄養微生物については、明らかになりつつある各微生物間の相互作用について分析を進める。国内よりも過酷な環境と考えられ、生物の活動が盛んなカンボジアの遺跡において、煉瓦造文化遺産の詳細な調査を実施し、塩類風化との関わりについても調査を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(16 results)