Project/Area Number |
23K20585
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Project/Area Number (Other) |
21H00685 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 亮 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60447589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 健志 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (00760266)
山口 育人 奈良大学, 文学部, 教授 (20378491)
小川 浩之 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (60362555)
ヘン イークァン 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 教授 (80780618)
畠山 京子 新潟県立大学, 国際地域学部, 教授 (90614016)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | 国際海洋秩序 / 英米覇権 / 冷戦 / 脱植民地化 / 米中対立 / 米英覇権 |
Outline of Research at the Start |
開かれた海洋秩序を英米覇権が支えてきたというのが従来の定説であった。しかし本研究は、逆に「航行の自由」という原則が英米覇権を支えていた側面もあったことを重視して、そこから両者の特質を分析する。イギリス帝国には他のヨーロッパやアジアの帝国とは異なる特質があり、航行の自由という原則はそれに適合的であった。そして脱植民地化の進んだ冷戦期に英米は共同で覇権を行使していた側面があったが、それは冷戦後に中国の海洋進出という挑戦を受けている。海洋秩序をめぐる両者の対立を分析することにより、中国の挑戦がいかなる意味で覇権に挑戦しているのか、あるいはそうでないのか、その歴史的な意義を分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2023 年8 月25 日に、London School of Economics and Political Science にて研究会を開催した。科研費研究会からは、代表の池田の他、小川浩之(東京大学)、畠山京子(新潟県立大学)、山口育人(奈良大学)、菅原健志(愛媛大学)が参加した。池田は、スエズ危機の解決過程において海洋の自由という原則を米英が用いてエジプトを譲歩させたこと、小川は、イギリスが南アフリカ共和国とのサイモンズタウン協定によってソ連艦船のインド洋航行を阻止しようとしたこと、畠山は、冷戦後の中国による海洋進出がアメリカによる航行の自由原則を掲げるアメリカの利益を脅かしていること、山口は、国連海洋法条約制定過程において米ソが共に航行の自由を主張したことを指摘した。菅原は、戦間期のイギリスは海上封鎖を重視して航行の自由原則には必ずしも賛成ではなかったことを議論した。 加えて、ゲストスピーカーとして、Paul Kreitman (Columbia University), Jeppe Mulich (City University), Ronal Po (London School of Economics)が参加した。Kreitman は、国境管理について海に囲まれた日本が持つ特殊性を指摘し、Mulich は、海洋秩序を概念化する上で西欧あるいは米英による覇権には抵抗する勢力との平衡の上に秩序が成り立っていることを考慮することが必要であること、Po は、1905 年のミラノ万博に清朝が出展することで西欧に対抗して海洋主権を確立しようとしたことを議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度と2022年度はコロナ禍ゆえに国内でしか調査ができなかったが、2023年度は全メンバーが海外での調査を行った。また2023年8月にロンドンで研究会を実施し、その成果をもとに、冷戦期の国際海洋秩序と米英覇権の関係について共著論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、19世紀の海洋秩序をグローバルヒストリーの観点から研究する海外研究者をメンバーに加えて、分析視野の面でも研究会を拡大する予定である。ヨーロッパ諸国の帝国、特にイギリス帝国を中心に形成された国際海洋秩序が、第一次世界大戦以後の現代的な国際海洋秩序とどのような関係にあるのかを検討する。海洋秩序という観点は、19世紀の帝国と現代の米英覇権がいかなる関係にあるのかを考える上で、大きな指針を提供してくれると考える。もう一つ新たに考慮すべき視点は、海洋秩序が米英覇権と密接な関係があった一方で、それに対抗する勢力も存在したことである。冷戦期に関して言えば、それはソ連ではなく、第三世界の新興国であった。こうした両者の対向関係を前提とした上で、その均衡点が秩序として表出している点を考慮に入れて、海洋秩序を検討する。 今後は、現在執筆中の共著論文の出版を急ぐと同時に、19世紀のグローバルヒストリー研究も加味した上で、共著の出版をできるだけ早期に実現する。
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