Project/Area Number |
23K20588
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Project/Area Number (Other) |
21H00694 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07010:Economic theory-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金子 守 筑波大学, システム情報系, 名誉教授 (40114061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 英三 筑波大学, システム情報系, 教授 (40317300)
鈴木 信行 静岡大学, 理学部, 教授 (60216421)
石川 竜一郎 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (80345454)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,120,000 (Direct Cost: ¥12,400,000、Indirect Cost: ¥3,720,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 帰納的ゲーム理論 / 認識論理学 / 限定合理性 / 有限的立場 / 実践的 / 理性制約 / 準理性制約 / ゲーム理論 / 認識論理 / シンボリック相互作用 / 個人間認識の深さ / 限定的理性 / 限定的準理性 / セント・ペテルスブルグ・パラドックス / 確率の認識限界 / ゲーム理論への応用 / 効用比較不能 / 直観主義論理 / 冠頭標準形定理 / 公共財ゲーム / 計算機シミュレーション / 自己組織化 / セント・ぺテルスブルグ・パラドックス |
Outline of Research at the Start |
経済学・ゲーム理論では、実数体などの無限が自由に使われてきたが、社会における人間行動と社会構造の成り立ちを探究するのには、無限を含むことは、人間の理性が有限的であることを無視することになる。人間の認識は、情報の根源的発生要素を捉えるのではなく、表面的な記号の操作的理解に基づくものである。この立場から、ゲーム理論・ゲーム理論を再構築することは、本研究の目的であり、それらの部分々々を分けて研究を続けている。帰納的ゲーム理論も認識論理学もこの観点からの研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度、研究代表者の金子守はゲーム理論・経済学の基礎となるプレイヤーの論理的思考と経験からの学習に焦点を絞り、理性・準理性の研究を行った。まず、他人の思考を考えるために、他人への感情・思考移入という論理的推論ができる2人からなる認識論理体系の研究を行った。これは英国ブリストル大学のTai-Wei Hu教授との共同研究である。この体系では個人間認識の深さを制限することができ、それが非常に浅い場合まで、クリプキ意味論的に関して完全性を証明した。これにより、認識論理学の社会科学への応用が可能になる。分担者の石川竜一郎と金子守はゲーム理論での百足ゲーム・パラドックスの概念的な分析を行なった。パラドックスとは何を意味するのか、そもそも百足ゲーム・パラドックの要因がどこに隠れているのか等を議論した。そして、金子守の制限された期待効用理論を応用し、具体的な解を導出し、パラドックスの解決に貢献した。 分担者の鈴木信行は、理性・準理性を主体の論理的思考の問題として捉え、論理学で知られている「EP(存在性質)に弱いDP(論理積性質)を付加すると、通常のDPが導かれる」という現象に注目して研究を行った。この現象の双対として「DPに弱いEPを付加する」を考察するため、EPの弱い亜種を考察した。 分担者の秋山英三は、相互作用ネットワークと学習ネットワークの非対称性が協力行動を促進しうることを計算機シミュレーションで明らかにした。その他、繰り返し囚人ジレンマにおける、参加者の表情の変化が行動選択に与える影響を被験者実験にて分析した。パンデミックにおける人的移動の制限とその経済的な影響に関して、最適な移動制限率を検証するなどの研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
中心的課題である「理性制約・準理性制約」の研究が進んでいる。それらの経済学・ゲーム理論への応用も進めている。 本プロジェクトを始めた時点では、研究代表者のKaneko(2020, Economic Theory) 理論を、経済学・ゲーム理論へ応用することを計画していた。しかし、2021年度にセント・ぺテルスベルグ(SP)・パラドックスへ応用しようとして、その応用には、Kaneko 理論およびSP・パラドックスをより概念的に明確にする必要性が出てきた。また、経済学・ゲーム理論の概念的基礎も見直す必要性が出てきた。 2023年度には分担者の石川竜一郎の助けを借り、百足ゲーム・パラドックスへの応用の研究を始めた。この研究では、SPパラドックスでは見ることの出来なかった経済学・ゲーム理論の構造的問題がより明確になってきた。これによって、「理性制約・準理性制約」の研究は経済学・ゲーム理論全般に深い示唆を与えることが分かってきた。 さらに、2023年度には英国ブリストル大学のTai-Wei Hu教授と、他主体への感情・思考の移入の研究を行っている。認識論理学では主体の信念・知識の役割を主に論じてきたが、信念・知識がどのように生じるのかは議論されてこなかった。それに対して、本研究では主体の感情・思考の移入は個人間信念の発生のプロセスと考えることができる。それは認識論理学への基本的な貢献となっている。また、この研究により、純粋な論理の問題としてではなく、「理性制約・準理性制約」の社会文化からの思考の制約という具体例になっている。 上記の意味で本研究課題の進捗状況は当初の計画より大幅に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
認識論理学は人間の認知・推論を対象にするため、数理社会科学の一分野としてのゲーム理論との関連が期待されているが、認識論理学での主体達の論理能力の具体的制約は十分には考察されてこなかった。また、これらは社会学でのシンボリック相互作用論と深く関係している。本研究計画では、社会現象を対象とするゲーム理論を通して、両者の関係の研究を進める予定である。 数理論理学においては、対象は基本的にはひとつひとつの「数学理論」であり、極めて膨大な領域を対象にする問題であった。一方、シンボリック相互作用論では人間同士のシンボリックな相互作用によって人間達の思考、特に社会的思考が成長・発展すると教える。これに出てくるシンボリックな相互作用は数理論理学での相互作用と比べると極めて浅い領域に限定される。しかし、現在までのゲーム理論を見ると、数理論理学と同様に、大きな数学的体系をプレイヤー達が自由に使用できると仮定する。本研究計画では、それをより浅く限定された部分で人間同士の思考・コミュニケーションを研究しようと考えている。本研究代表者の金子守と分担者を含めた幾人かの共同研究者によって具体的に研究を進めている。 2024年度・2025年度には、ブリストル大学のTai-Wei Hu教授との共同研究の完成と、その他主体への感情・思考の移入に関しての研究を行う予定である。これにより、主体の信念・知識がどのように生じるのかを議論することができるようになる。 上記の問題群に対して、分担者の鈴木信行は、それらの問題を純粋に論理学的立場から考察する。秋山英三は、それらの問題を社会進化論の立場から研究する。石川竜一郎は、実験経済学から考察する。2024年度、2025年度の各年度に他分野の研究者を招いてコンファレンスを開催する予定である。
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