Project/Area Number |
23K20595
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Project/Area Number (Other) |
21H00704 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Chuo University (2024) Hitotsubashi University (2021-2023) |
Principal Investigator |
塩路 悦朗 中央大学, 商学部, 教授 (50301180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂川 武貴 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (10747223)
湯淺 史朗 一橋大学, 経済研究所, 非常勤研究員 (30876694)
日野 将志 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任研究員 (30906920)
森田 裕史 東京工業大学, 工学院, 准教授 (70732759)
片桐 満 法政大学, 経営学部, 准教授 (80909739)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,640,000 (Direct Cost: ¥12,800,000、Indirect Cost: ¥3,840,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | 長短金利操作 / 非線形モデル / マクロ経済学 / 財政政策 / 金融政策 / フォワードガイダンス / 為替介入 / 高頻度識別 / 国債先物オプション / 情報効果 |
Outline of Research at the Start |
日本銀行が2016年9月に導入した「長短金利操作」政策の下における金融政策・財政政策の効果を、理論モデルとデータに基づく実証分析の両面から明らかにする。また、新しい政策枠組の下における理論モデルを解くためには新しい解法を開発する必要があり、これを同時並行的に行う。同政策は導入当時、経済停滞や低インフレに悩む欧米諸国からも大きな注目を集め、同種の政策導入が真剣に検討された。したがってその経済効果を明らかにすることは、広く世界の研究者・政策担当者に対する貢献となるだろう。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度中は片桐が査読付き国際学術誌に3本の論文を公刊した。また研究代表者・分担者合わせ、国際学会・研究会で14回、国内で4回の研究報告を行った。 砂川は片桐との共同研究である、フォワードガイダンスに関する分析を続行した。同政策ツールを取り入れた中規模ニューケインジアンモデルを推定し、推計結果を国際学会で報告した。片桐はこのほかにも、長期化する低金利下では金融政策ショックが銀行の市場価値に与える影響が反転することを示した研究、長期金利の期間プレミアムの存在をフィリップス曲線の理論と政策金利のゼロ下限の存在をもとに明らかにした研究、日本銀行によるETF買入がもたらすアナウンスメント効果に関する研究の成果を公刊した。また為替介入の効果をベトナムの外貨準備データをもとに明らかにする研究を継続し、成果を国際学会で報告した。日野は耐久財消費の駆け込み需要に関する研究を、前年度中に行った研究報告で得られた知見を反映させる方向で、継続した。成果を国内の研究会で報告した。湯淺は資産価格バブルと金融政策の関係に関する理論研究を引き続き行った。 森田は日本の金融政策に含まれる情報効果をVARモデルによって分析する研究を遂行した。この研究では高頻度識別と呼ばれる最新の手法を適用し、通常の金融政策の効果とともに情報効果を質的・量的に明らかにした。同研究の成果を国際学会で報告した。またベイズ推計を利用した時系列分析の手法を実際の応用例を用いながら解説する書籍を編集し、同書中の複数章を執筆した。塩路は国債先物オプション市場の研究を続行した。また日本銀行の国債買入の研究を開始し、その一環として日銀の国債市場介入の強弱を示す指標を開発し、これを試算した。消費者物価指数や家計の予想インフレ率といった月次データの予測に為替レート、原油価格、日次物価指標を役立てることができるかに関する研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
片桐が3本の論文を査読付き国際学術誌に公刊するという成果を挙げた。また合計で18回の研究報告を行った。 特筆すべきは5th International Conference on Econometrics and Statistics(通称Ecosta2022)である。計量経済学・実証分析分野の専門家が世界から参加する同国際学会は2022年6月4日から6月6日まで龍谷大学(京都市)でハイブリッド形式で開催された。本学会では塩路が1つのセッションの企画と座長を担当し、報告者として本研究課題の成果を披露した。また砂川が1つのセッションの企画と座長を担当し、自ら研究成果を報告するとともに、片桐と森田も同セッションでそれぞれ研究報告を行った。同学会開催時はコロナ禍による日本への入国制限が厳しく、多くの参加者がオンライン参加を余儀なくされたが、4人とも現地で参加することができた。これら4つの報告は事実上、3年目を迎えた本研究課題の中間報告の場と位置付けられ、出席した専門家から多くの貴重な助言を得るとともに、本プロジェクトのメンバー間でもお互いの研究内容について理解を深め、また今後の研究計画についてもより深い議論を行うことができた。この経験はその後の年度内の研究活動に活かされ、大きな意義を持つものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究プロジェクトは理論モデルの研究、新たな分析手法の開発、新たな時系列分析の3つに大別することができる。 理論モデルについて、次の研究を進める。(1)中規模DSGEモデルにフォワードガイダンスを導入する研究を継続する(砂川・片桐)。(2)資産買入れによる長期金利低下の為替レートを通じた波及経路に関する分析を継続する(片桐)。(3)長期の住宅ローンを導入したモデルを用いた研究を行う(日野)。(4)資産価格バブルの発生と金融政策の関係に関する分析を継続する(湯淺)。 手法面では、非線形モデルの推定に用いるInversion filterと既存研究で線形モデルの推定のために広く用いられてきたKalman filterの比較研究を行う (砂川)。 時系列分析については、次の4つを実施する。(1)不確実性の役割に注目して、金融政策アナウンスメントに含まれる情報効果の波及経路を解明する。さらに、経済予測データを利用して、高頻度データに基づいて識別される金融政策ショックの外生性を検証する(森田)。(2)新聞紙面の情報などを基に首相の行動を分析して、財政アナウンスメントが明らかになったタイミングを分単位で特定化し、高頻度データを利用した財政政策ショックの系列を作成する(森田)。(3)公共投資に関するニュースが流れた日付に関するデータセットを更新し、公共投資ニュースショックがマクロ経済に与える影響を再推計する(森田・塩路)。(4)現行の長短金利操作は長期金利について上限・下限を定め、日銀が市場で国債を売買することを通じてその範囲内に金利を収めようとするものである。このため、これらの設定の持続可能性に疑義が生じると、通貨アタックに類似した市場からの上下限への投機攻撃にさらされることになる。そのような投機動向の強さを測定し、その要因を分析する(塩路)。
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