Project/Area Number |
23K20614
|
Project/Area Number (Other) |
21H00731 (2021-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07070:Economic history-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷本 雅之 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (10197535)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 光生 奈良大学, 文学部, 教授 (10520629)
飯田 恭 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (20282551)
柳沢 のどか (永山のどか) 青山学院大学, 経済学部, 教授 (20547517)
荒武 賢一朗 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (90581140)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥13,390,000 (Direct Cost: ¥10,300,000、Indirect Cost: ¥3,090,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
|
Keywords | 世帯経済 / 福祉国家 / 家事労働 / 救貧政策 / 生活インフラ / 生活存立 / 自営業世帯 / 家電製品 / 住宅政策 / 火災保険 / 生活金融 / 世帯 / 救貧 / 領主財政 / 住宅建設 / 互助組合 / キッチン / 自営業 / 公共財供給 |
Outline of Research at the Start |
経済生活の維持・再生産の過程において、「市場」では処理されにくい問題にどのような対応がなされてきたのか。本研究はこの問いに、生活の存立を支える「装置」としての「世帯」機能の歴史的な分析によって答えることを課題としている。方法としては、共に近世には強い領主制の下にありながら、世帯の機能が大きく異なっていた日本とドイツとの比較史を切り口とする。それは、現代福祉国家の達成とその問題性を歴史の深みから捉え返すことにも繋がると考える。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人々の「生活の存立」を支える「構造」が当該の経済社会の政治・社会制度や人々の再生産の構造とどのような関係にあったのかを解明することを課題としている。本年は飯田恭が、18世紀プロシアで農村を対象に火災保険制度が導入されたことの経緯とその歴史的意義について、ドイツで開かれた当該分野の学会で報告を行った。また永山のどかが、戦後の西ドイツと日本の世帯の家電製品導入に際しての相違について、ベルギーで開かれた国際学会で報告を行った。木下光生も同じ国際学会で、日本の住宅確保政策に関する長期的な動向についての報告を行っている。谷本雅之は、戦後東京の自営業世帯の生活存立について、東京立地の玩具産業史に関連させて考察した学会報告を日本の社会経済史学会全国大会で行った。加えて、家事使用人に関する資料調査を、London School of Economicsの図書館で実施した。 また荒武賢一朗は、かねてから協力関係にある2名の近世史研究者を研究会に招いた。近世村における生活金融、および江戸における生活インフラの供給主体に関する研究報告を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
毎月定例の1日をかけた研究会では、科研メンバー間での相互検討とともに2人の外部講師を招いて、近世日本の生活金融と生活インフラに関する密度の濃い議論を行った。 また、研究代表者および分担研究者3名が、国内および海外の学会で研究報告を行い、多くのフィードバックを得た。 本科学研究費の参加メンバーを中心に2024年度内での国際ワークショップ開催を立案し、イギリス、ドイツ、フランスの有力研究者の参加を取り付けるなど、順調に準備が進んだ。 さらに本科研の成果の一部を加えた論文集刊行の企画が進展し、刊行のスケジュールなどについて、出版社との合意に基づき、作業を進めた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は、個別専門領域を異にする研究者が、凝縮されたテーマに取り組む点に特徴があり、そのためにはメンバーが一同に会した研究会の頻繁な開催が重要である。毎月1回、フルに1日を費やす月例の研究会を開き、日本史とプロイセン・ドイツ史の専門家の深いレヴェルでの交流を図ってきたし、今年度もそれを続ける。当該分野の専門家を研究会に招き、交流を行うことも計画している。 また、研究課題に関する国際発信を行うため、2025年8月に開催予定の世界経済史会議(WEHC2025)に応募した。それに向け、2024年度中に海外の専門家を交えた国際ワークショップの開催を企画し、研究成果のブラッシュアップを企図としている。 個々の参加者が取り組む具体的な課題は、以下を予定している。 荒武賢一朗(研究分担者)は、おもに19世紀・20世紀の日本を対象に、都市の生活インフラの整備および消費財としての食料品および燃料の調達問題を史料群の検討をもとに分析する。木下光生(研究分担者)は、近世・近代日本の村落家計史料から検出される農民世帯の支出内容と居住実態をベースに、村人が「自給と市場」をいかに組み合わせて、一定水準の食生活と住環境の維持に努めたかを追究する。飯田恭(研究分担者)は、19世紀プロイセンについて、農民世帯に対する領主の建築支援をいかに国家・地方行政が代替していったのか、また農地不分割(一子相続)ゆえに大量発生した土地なし世帯の生活を国家・地方・都市行政がいかに保障したのかを調査する。永山のどか(研究分担者)は、20世紀ドイツにおける住宅供給と、そこでの施設・設備の在り方に焦点をあてる。特に西ドイツのシステム・キッチンの開発に着目する。谷本雅之(研究代表者)は、近代日本の世帯における家事労働の実態を、家事使用人の雇用、居住環境との関連を念頭に、世帯調査の個票分析も交えつつ検討する。
|