Project/Area Number |
23K20695
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Project/Area Number (Other) |
21H00846 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09030:Childhood and nursery/pre-school education-related
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
塩崎 美穂 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (90447574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 繁美 山梨大学, 大学院総合研究部, 名誉教授 (00191982)
吉川 和幸 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 研究企画部, 総括研究員 (30528188)
岡花 祈一郎 琉球大学, 教育学部, 准教授 (50512555)
赤木 和重 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70402675)
川田 学 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (80403765)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
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Keywords | 保育カリキュラム / イタリアの保育思想と実践 / NZの保育思想と実践 / 保育評価 / 保育の公共性 / 保育実践理論 / 保幼小接続期 / イタリアの保育・幼児教育 / NZの保育・幼児教育 / ラーニングストーリー / プロジェクトアプローチ / 保育実践評価 / ニュージーランドの公的保育 / イタリアの公的保育 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本、NZ、イタリア、いずれの地域でも、カリキュラムに反映される保育の目標をどう設定するか、そしてその目標をめざした実践をどう評価するかが、保育の質を左右する試金石として意識されていることについて、世界的標準化へ主体的に従属するのではなく、市民性、文化性、人間性の観点を含む保育研究を通して各地域で展開可能なオルタナティブを示し、カリキュラムの創造やその評価について、包括的学際的に探究するものである。人間の尊厳をまもる保育のナショナルカリキュラムの創造はいかに可能なのか、権力の介入による保育内容の不透明な取捨選択を予防しつつ、貧困へのケアや文化との対話を生みだす保育構成原理を探究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、公平性と包摂性を備えた公教育にふさわしい保育カリキュラムの創造過程を明らかにし、そのカリキュラムを実現する保育実践「評価」の分析を行うことである。国民教育に値する保育カリキュラムとはどういうものか、保育の何をどのように「評価」すればその質は高まるかなど、教育的価値を含む保育内容の選択基準や、国や自治体が実施に責任をもちうる保育制度や行政システムについての開発が、日本ではすすんでいない。本研究ではこれまで、日本、ニュージーランド、イタリアにおける保育実践を歴史的文化的な視点から包括的に調査し、その実態の比較分析を通して、質の高い公的保育の諸条件を検証してきた。 これまで、イタリアの「プロジェクト・アプローチ」について調査するため2023年2月、北イタリアにおける複数の自治体の幼児学校や小学校の視察訪問を行った。また2023年9月には、ニュージーランド(以下NZ)のナショナルカリキュラム「テ・ファーリキ」について調査してきた。 北イタリアの自治体では、独裁政権に抵抗したレジスタンス思想をもつ保育カリキュラムが運用されており、これまでの予定調和的な保育計画と評価の関係が見直され保育実践が構築されている。公教育を他者と出会う公共空間ととらえ、そこでなされるいかなる決定にも価値と倫理の選択があり、倫理的政治的実践としての保育の実現がめざされていることが確認された。 NZではマオリ文化との双方向的な対話から、グローバルな社会で生きることは固有な一つの国民性にしばられることではないことに気づき、一つだけの理想の子ども像や固定化されたアイデンティティを保育目標にせず、多様さの重なりによって成り立つ自己の「学びの物語」を肯定的形成的にアセスメント(評価)していることが確認された。今後、NZの「学びの物語」とイタリアコムーネの「アプローチ」の双方に見られる特徴について分析を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、2023年9月にNZのオークランドとハミルトン、2024年2月にイタリアのピストイアおよびトスカーナ州へ行き、保育カリキュラムと評価に関する視察調査を行ってきた。保育園、幼児学校における実際の実践の様子、保育実践者の語り、保育実践の記録について、データを収集した。 加えて、日本、NZ、イタリアの保育実践に関する理論的研究の基礎として、各国における保育・幼児教育の担当省庁の議会資料・法規を集め、国家カリキュラムの成立過程を調べ、通知文書(資・史料)の収集に努めてきた。 本研究チームでは、教育理論研究を保育学の領域で行うことの必要性を共通認識としている。これまで教育学の論じる教育的価値は、教育の固有性を追求するあまり自己内完結的すぎて役に立たないという批判を受けてきた(宗像誠也『教育研究法』1950)。しかし今、たとえばOECDをはじめ とする世界経済機構が、「知識やスキルだけではなく価値を教育すること、授業の中心はテクノロジーではなく当事者意識」(シュライヒャー著、鈴木寛・秋田喜代美監訳『教育のワールドクラス』)であるというような教育的価値を提言し、それを参照するナショナルカリキュラム(指針や要領)が国によってつくられていくという状況がある。こうした経済学や実験心理学の知見を応用した経済効率的なカリキュラム開発が教育学や保育学に流れ込んでいることや、その執行を担うガバナンス過程における保育評価が世界的標準化を進行させている状況に鑑み、子どもの自発性やその発達を尊重し研究してきた教育学や発達心理学に内在的な価値の発現を、いま一度、再考する必要があるのではないかと考え、調査を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2023年9月にNZのオークランドとハミルトン、2024年2月にイタリアのピストイアおよびトスカーナ州へ行き、保育カリキュラムと評価に関する視察調査を行ってきた。保育園、幼児学校における実際の実践の様子、保育実践者の語り、保育実践の記録について、データを収集した。 加えて、日本、NZ、イタリアの保育実践に関する理論的研究の基礎として、各国における保育・幼児教育の担当省庁の議会資料・法規を集め、国家カリキュラムの成立過程を調べ、通知文書(資・史料)の収集に努めてきた。 本研究チームでは、教育理論研究を保育学の領域で行うことの必要性を共通認識としている。これまで教育学の論じる教育的価値は、教育の固有性を追求するあまり自己内完結的すぎて役に立たないという批判を受けてきた(宗像誠也『教育研究法』1950)。 しかし今、たとえばOECDをはじめとする世界経済機構が、「知識やスキルだけではなく価値を教育すること、授業の中心はテクノロジーではなく当事者意識」(シュライヒャー著、鈴木寛・秋田喜代美監訳『教育のワールドクラス』)であるというような教育的価値を提言し、それを参照するナショナルカリキュラム(指針や要領)が国によってつくられていくという状況がある。こうした経済学や実験心理学の知見を応用した経済効率的なカリキュラム開発が教育学や保育学に流れ込んでいることや、その執行を担うガバナンス過程における保育評価が世界的標準化を進行させている状況に鑑み、子どもの自発性やその発達を尊重し研究してきた教育学や発達心理学に内在的な価値の発現を、いま一度、再考する必要があるのではないかと考え、調査を続けている。
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