視線計測手法を用いた熟達教師の「技」の可視化:教員養成での活用を目指して
Project/Area Number |
23K20717
|
Project/Area Number (Other) |
21H00882 (2021-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09050:Tertiary education-related
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡本 尚子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (30706586)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 克己 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(ポスト・ドクター) (70795351)
黒田 恭史 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70309079)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
|
Keywords | 視線計測 / 教師 / 教員養成 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,熟達教師の着眼点に着目し,ビデオ撮影,インタビューなどの従来型の手法だけでは可視化の難しかった熟達教師の暗黙的に身につけている指導技術を「視線計測」によって可視化する。「視線計測」は,外的な観察に頼らず“対象者がどこを見ているか”を計測でき,観察者自身も無意識的なデータを客観的に取得できる方法である。得られたデータの知見から,熟達教師の「技」を客観的に解明し,それらをもとにした指導上の留意点やポイントをまとめた教材を作成することで有用な教員養成につなげる。本研究では,算数教育を対象とするが,他教科にも研究方法や成果活用を拡大させ,波及させることを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,算数教育に関して,熟達教師の着眼点に着目し,熟達教師が持つ「外的な観察では見えない指導技術(教師の技)」を視線計測手法によって可視化するとともに,それらをもとにした教材を作成することで有用な教員養成につなげていくことである。 方法としては,「①視線計測実験課題の検討・設定」「②視線計測実験の実施」「③視線計測データの分析,熟達教師に見られる特徴の考察」の3段階を繰り返しながら,研究を遂行する計画である。 本年度は,算数の計算領域に関する実験課題を用いて,主に「②視線計測実験の実施」に取り組んだ。実験課題は,除法筆算の解答過程の動画を見て,解答上の誤りを見つけるものである。問題(動画)は4問とし,2問は正しい解答をする「正答パターン」,2問は誤った解答をする「誤答パターン」とした。実験対象者は,初心者の教師として「教職課程に在籍し教育実習を終えた大学生(以下,初心教師群)」6名と,教職に関する学びを行っていない者として「教職課程に在籍しない大学生(以下,非教師群)」6名の2群とした。 各群について,視線の平均移動距離を算出した結果,初心教師群は,正答・誤答パターンの間に有意差が認められなかったが,非教師群は,誤答パターンの方が移動距離が長い傾向が見られた。非教師群の移動距離が,誤答パターンで長い要因は,誤答が生じた後に視線移動が増えていることと考えられた。そこで,誤りが生じる前の「誤り前」と生じた後の「誤り後」に分けて分析を行った。条件をそろえて比較を行った結果,非教師群については,誤り後の移動距離が有意に長い結果となった。一方,初心教師群には,そうした特徴は認められなかった。非教師群は,子どものつまずきに関する知識がなかったために,誤り予測ができず,誤り後に混乱が生じて視線移動が増えたと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度設定した実験課題を使用して,予定通り,「教職課程に在籍し教育実習を終えた大学生(初心教師群)」と,「教職課程に在籍しない大学生(非教師群)」の2群に視線計測実験を実施することができた。分析についても,複数の方法を検討することができた。現在は,視線移動距離に着目し,正答パターン・誤答パターンの観点から,2群間の考察に至っている。来年度も,これらをもとに実験を継続することが可能と思われ,全体として順調に進んでいると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度も,今年度に引き続き,「教職課程に在籍し教育実習を終えた大学生(初心教師群)」と,「教職課程に在籍しない大学生(非教師群)」を対象にした実験を継続し,人数を増やしていく。また,対象者を,学校現場における「熟達教師」にも拡大し,実験を実施する予定である。これにより,熟達教師,初心教師,非教師の三者の比較を行い,それぞれの特徴を考察するとともに,熟達教師の指導技術を明らかにしていく。分析方法は,今年度に用いた観点と併せて,全体的な視線移動距離なども検討していく。なお,これらは,研究実績の概要に述べた「②視線計測実験の実施」「③視線計測データの分析,熟達教師に見られる特徴の考察」に該当する活動である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(8 results)