Project/Area Number |
23K20747
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Project/Area Number (Other) |
21H00923 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09080:Science education-related
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
石川 幹人 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任教授 (20298045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 聡 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (30262679)
吉川 厚 関東学院大学, 理工学部, 教授 (50444120)
山本 輝太郎 金沢星稜大学, 総合情報センター, 講師 (60887058)
水本 正晴 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (70451458)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
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Keywords | 科学教育 / 科学リテラシー / 消費者教育教材 / 批判的思考 / 科学性評定 / 疑似科学信奉 / 超常信奉 / 陰謀論 / ゲーミフィケーション |
Outline of Research at the Start |
本研究は、消費者向け教材のプラットフォームを構築し、昨今のフェイクニュースが蔓延して真実や事実が見えにくくなっている状況において、市民リテラシーを形成する方策の手がかりを提案する。 「物事の本質に迫る判断力」を身につけるには、ある種の体系化された手順が必要である。単純にネット上の議論を重ねるだけでは身につかない。かといって学校のような半ば強制力が伴う環境に一般市民は置かれていない。そこで本研究では、身の周りの問題を解決できる情報を有するインターネットサイトに“魅力的な教材”を準備しておき、その教材で学ぶことによって、問題解決能力が増進して成長実感が得られる状況をひき出すことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、メタ認知ゲーム調教材を公開(https://gijika.com/)し、ロールプレーイングの構図により、疑似科学的言説にはまり込んでしまう展開とそうでない展開をゲーム中のキャラクターの行動によって追体験し、気軽な行動から疑似科学を信じ込んでしまうことになる状況を目の前にして、自己の行動を自ら反省する効果が示された。今年度は、こうしたメタ認知ゲーム調教材がインタラクティブに作成できるWEBベースの作成ツールを整備して、科学リテラシー教材プラットフォームに組み込んだ。 また、こうした教材を漫画の形態等でも開発しており、形式の違いや使用状況、学習対象者によって効果がいかに違うかの検証が行える体制が整備できたので、順次公開する段取りとなっている。 集合知活用の観点から、疑似科学広告を見たあとの行動の選択肢と各人の科学リテラシーの高さ等との相関データをとって学習者の科学リテラシーの向上を統計的に追跡し、当該相関データを教材サーバー側で更新するのが効果的と見込まれる。作成された教材とその学習者をサーバーで管理し、上述のように学習者の達成度を査定するとともに、教材固有の達成度評価尺度をダイナミックに更新する機能を実現しているが、それを作成ツールから指定して教材プラットフォーム上で動作させる機能が整備できた。 さらに、疑似科学信奉の背景を探るべく、それと超常信奉および陰謀論信奉には共通点があることを調査によって明らかにした。批判的思考態度尺度との相関を調べると3信奉とも全般的に負の相関を呈しているが、サブ因子の「探求心」だけは逆に正の相関を示した。各信奉者には、自己評価ではあるが、批判的思考に長けて探究心が高いゆえに信奉に至った人々が一定数いると考えられる。 こうしたここまでの成果をまとめ、著書『科学がつきとめた疑似科学』(2024年2月、エクスナレッジ)を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教材プラットフォームの基本機能が完成してメタ認知ゲームの試験教材によってその機能が使えることが示され、WEBベースのインタラクティブな作成ツールが完備した点では順調な進展といえる。 だが、思い込みや誤りを埋め込んでそのおかしさを気づかせるコンセプトで作成した漫画教材については、ひと通りの制作が終わって公開・評価段階にきたものの、担当の分担研究者が所属大学を移動することになって、評価がまだこれからとなっている。ゲーミフィケーションを応用した調査システムについては、プログラム上の誤動作の原因究明に苦慮して停滞していたが、開発者を替えていちから作り直したところ動作するようになった(現状8割の完成度)。 また、前年度から引き続き行っている、疑似科学信奉と関連する批判的思考態度および心理特性の調査については、本年度はとくに注目を集めている陰謀論の観点からの考察を深めた。 一方の認証バッジの効果評価については、利用促進のために動画の作成公開を重ねるなどの工夫をしたが、サイトへの来訪者が減少して、当初想定したような効果評価のめどが立っていない。今後はモニター制度の利用などの別な対策を図る必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
メタ認知ゲームの試験教材の内容が一定の評価を得たので、新規教材とその一部を変更した対照教材を作成して、個々の要素ごとの教育効果を定量的に計測する計画を立てている。教材作成過程のパッケージ化・簡便化を実現した作成ツール自体の評価ともつながっていく。さらに、集合知のデータ収集を実現することで、使用者の知識や信念を検知したうえで教材が分岐する機能に展開する。このように、試験教材開発を通じて、プラットフォーム機能の利便性の評価と、不具合の修正および欠けた機能の増強を行う。 漫画教材については、どのように情報に接していけば疑似科学に引っかからない傾向が出るかを、情報に接する量を固定して、短期間に一度に接する方法と長期間に徐々に接する方法に分けて評価する計画を立てている。関連研究として、学習者それぞれの思いの違いや、専門的な知識が薄い状態での判断に関して調査し、これらを使いながら、教材効果を測定する実験を行う予定である。 また、教材への娯楽性の導入方法について、メタ認知ゲームや漫画の利用を具体化してきたので、当該のサイト(gijika.com)に、多くの試験教材を成果公開し、消費者教育に資する環境を提供して、教材開発のプラットフォーム機能のさらなる充実につなげていく。楽しみながら学習するうちに科学リテラシーが身につき、消費生活の相談にのれるリーダーが養成できる教材がいち早く完備できる、教材開発環境の構築を目指していく。
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