強相関リュードベリ原子を用いた非平衡量子開放系の量子シミュレーション
Project/Area Number |
23K20820
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Project/Area Number (Other) |
21H01021 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13020:Semiconductors, optical properties of condensed matter and atomic physics-related
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Research Institution | The University of Tokyo (2023-2024) Institute for Molecular Science (2021-2022) |
Principal Investigator |
素川 靖司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70768556)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | 冷却原子 / 量子多体系 / 非平衡ダイナミクス / 冷却原子系 / 量子シミュレータ / リュードベリ原子 / 多体ダイナミクス / 量子制御 / レーザー冷却 / 強相関系 / 量子シミュレーション / 広帯域レーザー |
Outline of Research at the Start |
環境との間の相互作用を含む開放量子系の多体効果は、デコヒーレンスなどの量子系の根源的理解のためのみならず、近年の量子技術の進展に伴い、量子デバイス、量子化学、量子輸送などの応用面においても非常に重要性が高い。本研究では、優れた孤立量子系である超高真空中の極低温原子集団を用いて量子開放系をエンジニアリングする。量子多体ダイナミクスを精密に測定することで、大規模な非平衡開放系の量子シミュレーションを行い、開放量子多体系の基礎学理の構築に貢献することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、冷却原子集団をリュードベリ励起および量子制御し、大規模な開放量子多体系の量子シミュレーションを行うことを目的としている。本年度は孤立量子系の多体スピンダイナミクスの研究を進めた。格子間隔532nmの3次元光格子中に生成したルビジウム(Rb)原子のモット絶縁体を、広帯域レーザーによってリュードベリ励起し、アト秒精度の時間領域ラムゼイ干渉によって、ピコ秒スケールの多体ダイナミクスを観測することに成功している。イジング模型を用いた理論解析を行い、新たに論文にまとめた(arXiv:2201.09590)。観測した多体スピンダイナミクスは平均場近似と半古典近似では全く説明できず、多体相関を適切に取り入れた移動平均クラスター展開、厳密解によって説明できることを明らかにした。次に、上記の多体スピンダイナミクスの研究を、等方的ファンデルワールス相互作用が働くリュードベリ状態へ拡張するために、広帯域パルスレーザー系の改良を行い、バンド幅をより広範囲に調整できるようにするとともに、アト秒精度の時間領域ラムゼー干渉の最大遅延時間を数ナノ秒まで拡張した。極低温Rbモット絶縁体を単一のリュードベリ状態へ選択的に励起し、明瞭なラムゼイ干渉稿を観測するとともに、平均場近似では全く説明ができない多体ダイナミクスを観測することに成功した。これらの成果は、広帯域レーザーを用いることで、隣接サイト間のリュードベリ・ブロッケードさえも回避でき、GHzオーダーの長距離相互作用が働く大規模な量子多体系が実現できたことを意味している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも示した通り、強相関リュードベリ原子集団を用いた大規模な量子シミュレーションに向けて、3次元光格子中に生成した極低温Rb原子のモット絶縁体を、広帯域レーザーによってリュードベリ励起し、ピコ秒スケール多体ダイナミクスを観測した。さらに、イジング模型を用いた理論解析によって多体相関の形成について知見も得た(arXiv:2201.09590)。これらの成果は、極低温リュードベリ原子集団を用いた開放量子系の研究を進めていく上で重要なステップである。また、リュードベリ状態へのレーザー励起確率の増大と安定化を目的としたパルスレーザー系の技術開発を進め、周波数領域の光学干渉を用いたチャープ・パルスの評価手法等の研究を進めた。さらに、リュードベリ・ブロッケード効果が重要となる連続波(CW)レーザーを用いたリュードベリ励起に向けても光源等の準備を進めた。 関連論文としてプレプリントを含め計3報の学術論文を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
極低温リュードベリ原子集団を用いて強相関量子開放系をエンジニアリングするための手法の開発を進める。具体的には、本課題で提案する励起手法を実現するために、広帯域パルスレーザー及び連続波レーザーを用いたリュードベリ励起の手法をそれぞれ確立することを目指す。まず、前者の広帯域レーザーを用いたリュードベリ励起については、冷却Rb原子集団中のほぼ全ての原子を単一のリュードベリ状態へ励起することを目指す。また、後者については、線幅狭窄化した半導体レーザー光源を用いて、冷却ルビジウム(Rb)原子を電子基底状態から単一リュードベリ状態へ2光子励起を実現する。リュードベリ・ブロッケード効果を観測し、ブロッケード半径を制御することを目指す。上記の実験と並行して、リュードベリ励起された原子の内部状態を量子制御する手法の開発も進める。加えて、広帯域パルスレーザーによってリュードベリ励起された極低温原子集団の非平衡多体ダイナミクスを理論・実験の両面から理解することを目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)