Project/Area Number |
23K20826
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Project/Area Number (Other) |
21H01034 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
多々良 源 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, チームリーダー (10271529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Akosa Collins 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), 次席研究員(研究院講師) (10815822)
曲 冠雄 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 特別研究員 (00908527)
岸根 順一郎 放送大学, 教養学部, 教授 (80290906)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
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Keywords | スピントロニクス / 電子流体 / スピン輸送 / 流体方程式 / スピンホール効果 / 有効ゲージ場 / マグノン / 電子物性 / 流体理論 / 磁性 / スピン起電力 / カイラリティ / 線形応答理論 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、様々な対称性を持つ物質の巨視的輸送特性を表す流体理論を微視的裏付けをもって場の理論的に構築し、ミクロからマクロまでをスムースにつなぐ物質の輸送特性の新しい記述の枠組みを提供する。それに基づきカイラル性極性などの特徴的な対称性を持つ電子系及びマグノン系に適用し特徴的な輸送特性を明らかにする。本研究の独自性創造性は、従来半古典近似によってのみ記述されてきた物質の流体理論を量子論の基盤の上に構築し直す点である。
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Outline of Annual Research Achievements |
伝導物質中の伝導電子を流体としてみたときに注目すべき量の1つが電子以外の場(粒子的な励起)により電子に作用する力である。こうした力は場の量子的な特性を反映したものになっており、電子の流体としてのまセミマクロな応答を理解する上で力の特定は重要な鍵となる。 2023年度は強磁性金属中の磁化に電子流体のゆらぎが及ぼす力を理論的に解析した。外的な要因での駆動がない平衡状態でも、電子系の熱や量子ゆらぎにより磁化には常にランダムな力が働いている。これをそのまま平均すれば0となり効果はないが、その2乗平均は有限で、これにより磁化はランダムウオークと同様の運動をする。 この場合に理論的に重要なことは、磁化のランダムウオークにスピン緩和(磁化のもつ角運動量の散逸)が必要かどうかである。磁化ダイナミクスの議論では50年ほど前にはじまる古典的現象論的な議論があり、スピン緩和があることで初めて磁化へのランダム力が発生し磁化の運動につながるとされていた。一方で伝導電子と磁化の相互作用を微視的レベルで見ると、角運動量を伴わない運動量移行による力も存在する(このことは代表者らが20年前の論文で指摘した事実である)。本年度は電子流体のゆらぎから生じるこの運動量移行過程が磁化のランダムウオークに寄与するかどうかを理論的に解析した。その結果、スピン緩和なしの状況でも計算上一見有限に残ると思われたランダム力成分は、別の寄与(vertex correction)と打ち消し合い、従来の現象論の結論と同じくスピン緩和が入った場合にのみネットに残るランダム力となることがわかった。加えて、磁化構造の電子への影響の高次を考えた際には、磁化構造自身がスピンの緩和機構としてはたらく効果のためにランダム力として寄与する新事実も見出された。このことは磁化のランダムウオークによる熱平衡での運動の実験結果に新しい知見を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピンホール効果などスピン依存伝導現象を流体的に解釈することで、スピンホール効果はスピン渦結合が原因であることなど、新しい知見がスムースに得られた。昨年度はランダム力にまで流体的解析を拡張することができ、極めて順調な進展ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は前年度の成果を踏まえて、内的なスピン緩和機構なしに伝導電子から発生するランダム力を理論的結果をまとめ、陽動散逸定理の観点で解釈をし、幾何学的磁化構造など具体的な系での効果を見積もり実験への指針を示す。
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