Project/Area Number |
23K20841
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Project/Area Number (Other) |
21H01078 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北嶋 直弥 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50737955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木坂 将大 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (10639107)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 暗黒物質 / 中性子星 / アクシオン / 強磁場天体 |
Outline of Research at the Start |
本研究では我々の宇宙における暗黒物質の有力候補であるアクシオンに焦点を当て、近傍宇宙に点在する強磁場高密度天体の電磁波観測によってアクシオン暗黒物質の間接検出が可能かどうかを理論的に検証する。特に、中性子星磁気圏における磁場構造およびプラズマのダイナミクスに関する最先端の知見を取り入れ、そこでアクシオン暗黒物質が引き起こす特異な電磁気現象を、数値シミュレーションにより詳細に解析する。これにより、期待されるアクシオン由来の電磁波信号を定量的に評価し、観測可能性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では我々の宇宙における暗黒物質の有力候補であるアクシオンに焦点を当て、近傍宇宙に点在する強磁場高密度天体の電磁波観測によってアクシオン暗黒物質の間接検出が可能かどうかを理論的に検証することを目指している。特に中性子星に代表される天体周りの磁場構造、およびプラズマのダイナミクスに関する最先端の知見を取り入れ、それら天体の磁気圏でアクシオンが引き起こす特異な電磁気現象をシミュレーションを駆使して詳細に解析し、期待されるアクシオン由来の電磁波シグナルを定量的に評価することで観測可能性を明らかにすることを目的としている。以下、研究代表者の北嶋と研究分担者の木坂が2022年度に行なった研究の具体的内容を記す。 代表者の北嶋は、中性子星磁気圏におけるアクシオン・光子変換過程についての詳細な計算を行い、特に磁気圏における現実的なプラズマ粒子数分布を考慮した新たな効果を取り入れて、アクシオン暗黒物質の運動に起因する電波放射の角度依存性、シグナルの時間依存性を明らかにした。分担者の木坂は、中性子星磁気圏からのアクシオン起源の電波放射の検出に向け、その妨げとなる中性子星固有の電波放射が起こらないと想定される条件を満たす中性子星磁気圏のプラズマ状態に対して粒子シミュレーションを行い、そのパラメータを明らかにした。北嶋、木坂の各々の研究は相補的であり、双方の結果を組み合わせることで相乗効果が生じる。実際、代表者の北嶋と分担者の木坂は研究協力者である門田、當真とともに1、2ヶ月に一度程度の研究打ち合わせをリモートで行うことで緊密な連携を取り続けており、その結果、北嶋が担当するアクシオン・光子変換の解析と木坂が担当する中性子星磁気圏のプラズマのダイナミクスの効果を融合する段階まで達している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画2年目となる2022年度は、初年度に開発したアクシオンと電磁場の相互作用系に関する解析の土台を元に、中性子星磁気圏を記述する、より現実的なセットアップに則した解析を行うことを計画していた。特に中性子星近傍でのアクシオンのダイナミクスおよびアクシオン・光子変換に起因する電波放射過程に関する解析を代表者北嶋が担当し、中性子星磁気圏におけるプラズマの状態、及び粒子数分布に関するシミュレーションを含めた解析を分担者木坂が担当した。さらに、予言されるアクシオン起源の特異な電波放射が実際にどのように観測されるか、また、アクシオンのパラメター空間にどのような制限を与えることができるかを定量的に明らかにするまでを計画していた。 これらの研究計画は、概ね順調に進められており、先行研究と比較して、その顕著な相違点なども明らかにしている。特に、中性子星磁気圏の粒子数分布に関して、極めて単純化された仮定に基づき解析されていた従来の研究に対し、北嶋・木坂の双方の解析を合わせることで、中性子星磁気圏におけるアクシオン・光子変換についてのより現実的なモデルを構築することに成功した。また、このモデルをもとに、この系が予言する電波放射シグナルの方向依存性及び、時間依存性を定量的に明らかにした。とりわけ、本解析で得られた観測的シグナルに関する結果は、従来の解析結果を大幅に変更しうるものであり、中性子星の電波観測を用いたアクシオンの間接探索を実際に行う上での大きなインパクトを含んでいる。まだ、アクシオンのパラメター空間にどのような制限を与えることができるかについてはまだ明らかにしていないが、現段階における解析結果から速やかに算出するための準備は整っている。よって、研究計画は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、これまでに構築した中性子星周りの粒子数密度に関する現実的なモデルに基づき、これを実際に観測されている中性子星に適用することでアクシオン起源の特異な電波放射がどのように予言され、観測可能であるかどうかを定量的に明らかにする。特に、SKAなどの将来観測に焦点を当て、これによりアクシオンのパラメター領域をどれくらい探れるかを考察する。また、中性子星磁気圏におけるアクシオンと電磁場の格子シミュレーションも行い、理論モデルの妥当性を検証する。中性子星磁気圏におけるアクシオンに関する理論的解析及び格子シミュレーションを代表者北嶋が担当し、磁気圏におけるプラズマのダイナミクスおよび、粒子数分布に関する解析を分担者の木坂が担当する。以下、本計画遂行のための代表者北嶋と分担者木坂の具体的な役割を記す。 代表者の北嶋は、前年度において構築した中性子星周りの現実的な荷電粒子数密度を考慮したアクシオンと光子の変換に関する理論モデルに基づき、今後はこれを実際の中性子星観測に適用する。特に、実際の観測ターゲットを特定し、そこでアクシオンがどのような観測的シグナルを予言するか、及び、アクシオンのパラメター領域にどのような制限を与えうるかについて、定量的に明らかにする。分担者の木坂は、より広範囲の中性子星をターゲットとするため、前年度に粒子対生成の効果を適切に取り入れるために改良を行なった中性子星磁気圏に対するプラズマシミュレーションコードを用い、アクシオンから光子への変換効率を決めるプラズマの数密度と温度の実現しうる値の範囲を決定する。最終的に北嶋、木坂の双方のアプローチを統合し、より現実的なセットアップかつ、実際の中性子星ターゲットを用いたアクシオン間接探索の可能性を検証する。
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