Project/Area Number |
23K20854
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Project/Area Number (Other) |
21H01101 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
花垣 和則 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 理事 (40448072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
外川 学 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (50455359)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | ヒッグス / 湯川結合 / ピクセル検出器 |
Outline of Research at the Start |
第2世代フェルミオンの湯川結合定数を測定し,すでに測定されている第3世代フェルミオンの湯川結合定数と比較することで,世代構造の起源がヒッグス場起因であるかどうかを検証する。そのために,ATLAS実験のデータを用いて,ヒッグス粒子がミューオン対に崩壊する事象を探索する。さらなる精度向上のためにはLHC高輝度化が必須であり,それに向けたATLASピクセル検出器モジュール開発を実施する。高い放射線環境下で運転するために要求される温度サイクルに耐えうる堅牢なモジュールの製造手法の確立,および,大量の実機を限られた時間で製造試験するための品質管理方法の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の学術的なゴールは,ヒッグス粒子がミューオン対に崩壊する事象を観測し,ヒッグス粒子とミューオンとの間の湯川結合定数を測定することにより,第2世代フェルミオンの質量起源を解明することである。LHC実験の一つであるATLAS実験の第3期運転で取得するデータの解析を行い,並行して,LHC高輝度化計画に向けたピ クセル検出器開発を推進し,より高統計を使った高精度での湯川結合測定を目指す。 2023年度は,LHCの立ち上がりは順調だったものの,7月に陽子陽子衝突点近傍の最終収束用超伝導電磁石の一部でヘリウム漏れが発生し,データ量を想定通り増やすことができなかった。これを受け,ヒッグス粒子がミューオン対に崩壊する事象の観測を目指すのではなく,観測するための鍵を握る検出器の一つである飛跡測定用ピクセル検出器の調整に終始した。モニタリングシステムの整備や較正を行うと同時に,高い放射線環境下で動作させるための運用手法を洗練させた。 LHC高輝度化に向けたピクセル検出器開発では,シリコンセンサーと信号読み出し用ICをバンプボンディング接続したのち,フレックス基板回路と接着する。これをモジュールと呼ぶが,実機のモジュール製造は約2年間で3000個近く行う必要があり,この制約を満たすための製造工程並びに試験工程の確立が急務である。モジュールの量産設備を整備し,100個を超えるモジュールを試験製造することで,製造工程を洗練化,さらには試験内容と基準の見直しを行った。また,-40°Cから55°Cという幅広い温度変化で温度サイクルを繰り返すと,部材の熱膨張率の違いからバンプボンディングが剥がれてしまうという問題があった。これを防ぐための方法として樹脂コーティングが有効であることを昨年度発見し,今年度はさらに試験の個体数を増やし,この手法の有効性を高い確度で示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LHCの超伝導電磁石のヘリウム漏れにより,物理データの収集は想定通りに進まなかったものの,LHC高輝度化に向けたピクセルモジュール製造は想定通りか,もしくは想定以上の進捗があった。量産設備の整備が進み,ATLAS実験グループ内でも他国のグループにさきがえて試験量産を行い,高い品質のモジュールを製造できることを示した。さらに,昨年度パリレン樹脂が温度サイクルにおけるパンプ剥がれの抑制に有効であることを示したが,今年度は試験個体数を増やすことで,良好な試験結果が統計的なふらつきによるものではないことを示せた。
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Strategy for Future Research Activity |
ATLAS運転においては,今後も飛跡検出器の一つであるピクセル検出器の保守運用に重点を置く。引き続き,高い衝突頻度と高い放射線環境下での円滑なデータ収集のための調整とデータ収集系の改善を行いながら,放射線ダメージによる性能の変化をきめ細かくモニターし,データ解析に反映させる。 高輝度化に向けたアップグレードでは,高い品質のモジュール製造が可能であることを示せているので,今後は品質保証のための試験項目の簡略化を行い,製造速度を上げる。品質保証と製造速度の向上という相反する評価軸での最適化が今年度の大きな課題である。
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