Project/Area Number |
23K20862
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Project/Area Number (Other) |
21H01121 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
勝田 哲 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50611034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 信一郎 熊本高等専門学校, 電子情報システム工学系CIグループ, 教授 (10342586)
中村 航 福岡大学, 理学部, 助教 (60533544)
寺田 幸功 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (90373331)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 超新星残骸 / XRISM / Chandra / 多次元元素合成シミュレーション / 系統的な超新星爆発シミュレーション / X線観測 / 超新星爆発シミュレーション / 超新星元素合成シミュレーション / XMM-Newton / 多次元の超新星元素合成シミュレーション |
Outline of Research at the Start |
超新星爆発(重力崩壊型)の親星および爆発メカニズムの解明に向け、親星の質量を複数の観測手法で推定・相互較正するとともに、中性子星キックと様々な物理量との関連性を探る。この際、観測と比較する元素合成シミュレーションを1次元から多次元に拡張し、親星質量の推定精度を高める。また、様々な条件下で系統的な爆発シミュレーションを実行する。その過程で、爆発成功の鍵となる物理過程を絞り込む。本研究の特色は、従来あまり連携の取れていなかった超新星爆発のX線観測と理論研究の相乗作用を促す点にある。本研究により、半世紀以上にわたって研究者を悩ませ続けている超新星の親星と爆発メカニズムの理解が深化する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年9月に日本のX線天文衛星「XRISM」が打ち上がった。初期の立ち上げ運用と観測装置の性能評価が予定よりも長引いたが、打ち上げ半年後には定常運用に移行し、超新星残骸を含む様々な天体の観測を進めている。本年度は、衛星の定常運用の準備、パイプラインプロセスの整備、および観測データを正確に解釈するための性能評価を実施した。それと並行し、初期観測データの解析、解釈も進めた。特に、マゼラン星雲の超新星残骸N132D、銀河系内の超新星残骸Cassiopeia Aは打ち上げの4カ月以内に比較的長時間の観測が実施され、第1級の素晴らしいデータが取得された。N132Dの分光データはファーストライト観測としてプレスリリース対象にも選定された。その輝線プロファイルから、プラズマの運動や微量元素輝線の検出、電荷交換反応由来の輝線の検出など、XRISMにしか成し得ない成果が続々と出ており、その論文化を急いでいる。これと並行し、イタリア人共同研究者らと超新星爆発から残骸進化までを考慮した、超新星残骸からのX放射モデルを構築し、マゼラン星雲の超新星残骸SN 1987Aに対するXRISM衛星の厳密な観測予想を立てたり、XRISMの第1回観測公募に複数の天体の観測を提案したり、今後の観測の準備も精力的に行なった。理論的な研究に関しては、太陽質量の9倍から24倍までを網羅する16個の親星に対して、最新のニュートリノ反応に加えて磁場の効果を考慮した世界初の系統的3次元超新星モデルを構築し、元素合成計算に必要な流体データを取得した。元素合成計算は1次元から2次元への拡張を完了させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
XRISM 衛星の打ち上げが伸びたことに伴い、当初の計画よりは遅れが生じている。しかし既存データの解析から、超新星爆発した「親星」の質量範囲を推定する研究を進めてきた。特に、超新星残骸中に見られる星周物質をX線観測することで、親星の質量を特定する手法を開拓しており、本研究課題期間中に銀河系内の超新星残骸RX J1713.7-3946およびG292.0+1.8の星周物質の観測的研究を行なった。その結果、前者では N/O ~ 7 solar value、後者では N/O ~ 0.5 solar valueと計測され、それぞれの親星が赤色超巨星、Wolf-Rayet星であったことが示唆された。この他、白鳥座ループ超新星残骸のシェルが破れたバブル構造のX線観測など、親星の素性に迫る研究を多角的に進めている。 理論的な研究に関しても、親星質量の推定に必要な研究を進めてきた。太陽質量の9倍から24倍までを網羅する16個の親星に対して、最新のニュートリノ反応に加えて磁場の効果を考慮した世界初の系統的3次元超新星モデルを構築し、元素合成計算に必要な流体データを取得した。そのうち2モデルに対しては、さらに自転の効果も加えた数値シミュレーションを実行中である。上記の超新星モデルに基づいて、元素合成計算を行う準備を進めている。併せて複数の親星に対して、簡略化されたニュートリノ輸送を考慮した2次元軸対称超新星爆発計算を行った。その結果に基づいて、元素合成計算を行い、放出ガスの重元素組成・質量の恒星質量依存性や空間分布を調査した。現在XRISM衛星で観測された超新星残骸Cassiopeia AのX線スペクトル解析から得られた重元素組成比と理論計算結果との詳細な比較を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は「XRISM」衛星のPerformance Verification期の観測データを精力的に解析する。具体的には、N132D, Cassiopeia A, SN 1987A, Sagtarrius A Eastなど重力崩壊型の超新星残骸の観測チームメンバーとして科学成果を創出する。このほか、XRISM衛星の第1回公募観測の提案が採択されれば、そのデータ解析も並行して行う。加えて、XRISMのみならず世界の公開天文台に新規観測を提案していく。それとは別に、「すざく」「XMM-Newton」「Chandra」衛星のアーカイブデータの解析も引き続き進め、観測成果を創出する。MSH15-52やPuppis Aといった銀河系内の超新星残骸の星周物質の調査や爆発破片の分布の調査など、データ解析のアイデアを複数温めている。以上の観測的研究は主に勝田、寺田が行う。一方、理論的研究に関しては、様々な質量の親星に対して自転の効果を取り込み、元素合成結果への影響を評価する。
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