オールトの雲へ: 小望遠鏡群で拓く太陽系のさいはて
Project/Area Number |
23K20877
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Project/Area Number (Other) |
21H01153 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17010:Space and planetary sciences-related
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
渡部 潤一 国立天文台, 天文情報センター, 特任教授 (50201190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有松 亘 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (70770808)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,810,000 (Direct Cost: ¥13,700,000、Indirect Cost: ¥4,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2021: ¥9,490,000 (Direct Cost: ¥7,300,000、Indirect Cost: ¥2,190,000)
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Keywords | 太陽系 / 惑星科学 / 太陽系外縁天体 / オールトの雲 / 高時間分解能天文学 / 木星 / 天体衝突 |
Outline of Research at the Start |
太陽系の最外縁部のオールトの雲に属する天体が、背景の恒星を隠す掩蔽現象を検出するための観測技術を、既存のシステムをアップグレードすることによって確立する。これにより、大型望遠鏡では直接観測が不可能であったオールト雲の天体を、掩蔽の観測によって実現し、その空間分布特性およびサイズ分布特性に史上初めて観測的制約を得ようと試みるものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
オールトの雲に属する天体が背景の恒星を隠す掩蔽現象を検出するための観測技術の確立を目的として、既存の掩蔽観測システムのアップグレードと観測サイトの整備を実施した。2022年6月から7月にかけて沖縄県石垣市の石垣島天文台にて試験観測を実施し、得られるデータの感度およびフレームレート等について、アップグレードを実施した観測システムがオールト雲天体による恒星掩蔽現象を検出するために必要な性能に達していることを確認したが、実際に、2023年度は11月12日から14日および2024年1月5日から8日まで現地に於いて、ハードウェア面の整備を行い、呼び観測を行ってリモートによる本観測の準備を行った。平行して、得られる掩蔽観測のシミュレーションデータから、ベイズ推定手法を用いて掩蔽する天体のサイズ・距離・形状などを推定する解析プログラムの開発も進めた。これにより、今後実施予定のモニタ観測で掩蔽イベント候補が検出された場合、迅速かつ詳細な掩蔽天体の特性把握が実現している。 上記手法の確立だけでなく、2022年度には木星表面への小天体衝突現象の詳細な解析結果を公表した(Arimatsu et al., 2022, ApJL, 933, L5)が、2023年度には8月29日午前1時45分に新たに発生した天体衝突の観測結果を集め、解析を実施している。木星には太陽系外縁部由来の小天体が頻繁に衝突しており、衝突閃光の観測研究は掩蔽観測同様、直接観測が不可能な太陽系小天体の特性把握に有用である。木星表面での衝突閃光について、その解析手法を確立しており、閃光を司る小天体の衝突エネルギー・サイズ等を極めて高い精度で求められるところに到っている。これらの研究成果は内外のメディアで取り上げられるなど一般社会に大きな反響をもたらしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期はコロナ禍によるスケジュールの変更はあったものの、観測システムのアップグレードは順調に進み、すでに試験観測の実施も終え、観測システムが予定していた性能を発揮でき、リモート観測の準備を進めている。これは本研究の最も重要な目標である、掩蔽観測技術の確立において主幹となる要素を達成したことになり、ゆえに本研究の当初の目的が着実に進展していると評価できる。さらには掩蔽観測技術の確立に加え、2022年度から掩蔽観測技術を応用した木星表面への小天体衝突閃光現象の観測・解析手法の確立も実現し、2023年度の衝突現象の解析も行っている。木星への小天体衝突現象の研究は当初の研究計画にはなかったものであるが、掩蔽観測同様、太陽系外縁部の小天体のサイズ特性に制約を得るうえで極めて重要な研究テーマであり、本研究の最終目的である太陽系外縁部の特性解明に大きく貢献する成果であるといえる。以上の点を踏まえると、本研究は当初の計画通りに、ほぼ順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はアップグレードされた観測装置を実際にリモートで制御し、本観測を行う予定である。これにより2024年度中の掩蔽モニタの本観測を開始し、2025年度までにオールト雲天体による恒星掩蔽イベントの検出の実現を目指す。こうした掩蔽観測の実施と並行し、木星および海王星等の外惑星表面での衝突閃光現象のモニタ観測も引き続き実施する。掩蔽観測と衝突閃光観測、両方の観測的アプローチによって太陽系外縁部の観測的解明を目指す。また、コロナ禍で延期されていた太陽系外縁天体についての国際会議が台湾で6月に開催される予定なので、これまでの成果を発表する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)