粗さ壁面の乱流熱伝達の革新的予測モデルの開発と伝熱制御に関する新展開
Project/Area Number |
23K20917
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Project/Area Number (Other) |
21H01266 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19020:Thermal engineering-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2024) Osaka Prefecture University (2021) |
Principal Investigator |
桑田 祐丞 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40772851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須賀 一彦 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (60374089)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2021: ¥8,320,000 (Direct Cost: ¥6,400,000、Indirect Cost: ¥1,920,000)
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Keywords | 粗面乱流 / 対流伝熱 / 直接数値解析 / 感温性塗料 / 乱流熱伝達 / 格子ボルツマン法 / 乱流 / 数値流体力学 / 対流 / 伝熱機器 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,粗さを有する壁面(粗面)の乱流熱伝達を対象として,乱流熱伝達の数値解析や感温性塗料を用いた伝熱実験を行う.対象とする粗面は3次元なランダム粗面とし,粗さ曲線の特徴を複数の0次元パラメータに縮約し,その縮約パラメータに着目した調査を行う.具体的には,粗さレイノルズ数の十分高い領域において,縮約パラメータを用いた粗面の熱伝達率の予測について議論する.また,粗さ要素が運動量・熱輸送それぞれにあたえる影響について調査を進め,最終的には少ない流動抵抗で高い熱伝達を有する機能性粗面の創生を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,正弦波粗面の乱流熱伝達を対象として,格子ボルツマン法による直接数値解析を行い,粗面の表面積が乱流熱伝達に与える影響を調査した.具体的には,3次元の等方・非等方の正弦波粗面を対象に,粗面の表面積とレイノルズ数を系統的に変化させて解析を実施し,速度粗さ関数,温度粗さ関数,レイノルズアナロジファクタ,乱流量分布のスケーリングに関する議論を行った.その結果,温度粗さ関数は粗さレイノルズ数以外に,粗面の表面積の影響を強く受けることが確認された.粗面の表面積が増加すると,同じ摩擦レイノルズ数条件であっても,温度粗さ関数が大きな値をとることが確認された.そこで,従来の温度粗さ関数の予測式に,表面積に関する粗さパラメータを導入することで,温度粗さ関数の予測式の精度を向上させることができることを明らかにした.また,粗面の壁面摩擦係数とスタントン数との比で表されるレイノルズアナロジファクタは,表面積が大きな粗面で大きくなることが分った.つまり,表面積の大きな粗面は少ない流動抵抗増で高い熱伝達性能を有することが明らかになった. また,本年度は昨年度に作成した風洞装置を用いて,壁面の乱流熱伝達計測実験の精度検証を進めた.具体的には,過去の実験や数値解析データが豊富な平滑面を対象として,平滑面の乱流熱伝達計測実験を行った.風洞装置には薄膜ニクロムメッキと温度に応じて発光強度が変化する感温性塗料を塗布した滑面を挿入し,等熱流束された加熱滑面の表面温度の計測を行った.感温性塗料が塗布された面に,青色光を照射し,塗料面をカメラで撮影した.撮影画像を処理することによって発光強度を取得し,発光強度分布から温度分布へと変換した.計測結果は既往の文献式とよく対応することが確認され,おおむね妥当な結果が得られることが確認された.しかし,文献との平均誤差は10%程度あり,精度に関しては課題が残された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,格子ボルツマン法による直接数値解析によって,粗面乱流熱伝達に関する諸量である速度粗さ関数・温度粗さ関数・レイノルズアナロジファクタの基本的なスケーリング則に対して,粗面の表面積が多大な影響を与えていることを明らかにした.これは等方的な構造を有する粗面だけでなく,異方性の強い粗面に対しても同様の傾向が得られることが確認された.この知見を活かして,従来の温度粗さ関数の予測式に対して,粗面の表面積に関するパラメータを導入して,新たな予測式を構築した.その結果,本研究で対象とした規則的な粗さを有する単純な構造の粗面以外にも,新たに構築した予測式は有効であることが確認された.また,温度粗さ関数に寄与するメカニズムの調査を行い,粗面上の乱流フラックス・分散フラックスの寄与以外に,粗面表面の熱交換項が主要な働きを示すことが分かった.また,この熱交換項は粗面の表面積とよく相関しており,粗面の表面積が温度粗さ関数に大きな影響を及ぼすメカニズムについても明らかにすることができた.本年度の数値解析では,乱流熱伝達の基本的なスケーリング則に対して,新たに粗面の表面積に関するパラメータを導入することで,温度粗さ関数の予測式を構築することに成功し,当初に予定したよりも多くの重要な知見を得ることができた.一方で,感温性塗料を用いた実験に関しても,初年度で風洞装置の設計から始め,本年度は滑面を対象とした検証実験まで終えることが出来た.本年度は,検証実験を繰り返し行い,実験装置の改良を進めた結果,既往の文献式に対して平均誤差10%程度で熱伝達率が計測できることが確認された.このように,本年度では,実験・数値解析ともに多くの成果を上げることができており,研究は当初の予定以上の進捗で進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
数値解析に関して,前年度は波状粗面の乱流熱伝達の議論を行い,波長の影響に関する重要な知見を得た.本年度は機能性粗面創生に向けて,昨年度に得られた知見の汎用性を調査する.具体的には,ランダムな砂粒粗面・波状粗面・ディンプル型粗面に対して,前年度に構築した粗さ関数の予測式の有効性を調査する.また,必要に応じて,前年度に作成した予測式に対して,新たに粗面の幾何構造に関するパラメータを導入して,予測式の改良を行う.なお,数値解析は格子ボルツマン法による直接数値解析もしくはラージ・エディ・シミュレーションをスーパーコンピュータによって実施する.本解析では,壁面摩擦抵抗や熱伝達率などのバルク量に関する調査だけでなく,運動量・熱輸送メカニズムを調査することで,熱伝達を決定づける新たな粗面幾何パラメータの可能性を調査する.また,機械学習を用いた感度解析を実施することで,今までに調査されてこなかった粗面幾何パラメータ・流動パラメータを用いた乱流熱伝達のスケーリングを目指す. 実験に関しては,前年度は滑面を対象とした検証実験を繰り返し実施し,装置の改良を進めてきた.しかし,依然として壁面熱伝達の精度は十分とは言えず,数値解析のデータ補完に使用するには精度が足りてない.本年度は,さらなる実験の精度向上を目標として,風洞装置を含めた実験装置の改良を行う.滑面を対象として精度向上を進めるとともに,粗面の熱伝達計測実験を行い,過去の文献やこれまでに蓄積した直接数値解析のデータと比較を行うことで,実験の妥当性を検証する.
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)