音響気体温度計を用いた新SI定義に基づく高温温度標準の構築
Project/Area Number |
23K20942
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Project/Area Number (Other) |
21H01346 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21030:Measurement engineering-related
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
Widiatmo Januari 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (30371024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 享 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (20357643)
三澤 哲郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (40635819)
斉藤 郁彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (50710620)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
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Keywords | 熱力学温度測定 |
Outline of Research at the Start |
温度の国家標準は、熱力学温度の最良近似として1990年に定められた1990年国際温度目盛(ITS-90)に基づき供給されている。しかし、計測技術の発達により、熱力学温度Tと、ITS-90により実現された温度T90は系統的に差異(T-T90)があることが分かってきた。このために、熱力学温度を広範囲において高精度に測定し、T-T90をより明確化し、その普遍性の検証が求められている。 本研究では、これまで熱力学温度を高精度に測定できる音響気体温度計(AGT)を開発し貢献してきたが、測定範囲を拡張し高温用AGTを構築して、低温から高温にかけて広範囲にT-T90の高精度な測定を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまで開発してきた、熱力学温度を高精度に測定可能な音響気体温度計の作製技術を活用し、測定範囲を高温領域まで拡張した高温用音響気体温度計の開発、および、その測定システムの構築を行っている。 2022年度は、材質にステンレス(SUS316L)を用いた音響気体温度計の擬球形共鳴器を新規に設計・製作した。当新規共鳴器を高温域で使用するため、また、共鳴器自体と音響媒体として導入する単原子分子ガスを封入するために、圧力容器の設計・製作を実施するとともに、封入ガスの温度・圧力を供給・制御するためのシステムを構築した。新規設計・開発した共鳴器については、室温付近において動作テストを実施して電磁波共振モードの分離を観測し、正常に動作することを確認した。 本音響気体温度計はコンデンサー型マイクロフォーンを送信用および受信用として用いることで音響共鳴を実現し、音速を測定して熱力学温度を決定するものである。本年度は150 ℃までの高温域で使用可能なコンデンサー型マイクロフォーンを準備し、新規に開発した音響プラグおよび新規の音響機器を用いて動作テストを実施して、性能確認を行った。 共鳴器の有効半径の測定には、共鳴器に送信用および受信用アンテナを設置して電磁波共振を実現させる手法を用いている。本年度は、高温域用に開発した電磁波プラグに2種類のアンテナを設置して動作テストを行った。 拡張した温度範囲での高精度な温度測定のために、ロングステム型およびカプセル型の2種類の標準白金抵抗温度計(SPRT)を準備し、1990年国際温度目盛(ITS-90)に従い、水の三重点およびインジウムの凝固点において校正を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 昨年度新規に設計・製作した、公称内容積が3 Lの擬球形の共鳴器(以降QSR-3と呼ぶ)に単原子分子ガスを封入して、ガス中の音速を測定するためには、QSR-3を内包する圧力容器と呼ぶチャンバーが必要である。当圧力容器は、QSR-3と同じ材質を用いて、本年度に設計・製作を行った。この圧力容器には、高温域でQSR-3の温度分布を測定・制御するためのカプセル型標準白金抵抗温度計(cSPRT)およびロングステム型標準白金抵抗温度計(SPRT)を設置した。更に、ガスの圧力の測定・制御用の圧力計およびガス配管系の製作も実施した。 2. 送信用および受信用のストレート型アンテナを、昨年度に設計・製作した電磁波プラグを用いてQSR-3に設置して電磁波共振周波数を測定した。また、これらストレート型アンテナに替わり、ループ型アンテナを設置して同様な共振周波数を測定した。本共振周波数測定において、電磁波共振モードが3つのモードへ分離することを観測した。この観測結果から、QSR-3は擬球形であることの確認ができ、その有効半径を高精度に測定できる環境が整った。 3. 送信用および受信用のコンデンサー型マイクロフォーンを、昨年度に設計・製作した音響プラグを用いてQSR-3に設置して音響共鳴周波数を測定した。本マイクロフォーンは150 ℃まで使用可能であるが、本年度は動作確認のため室温の大気下の状態でテストを実施することとした。得られた波形を解析した結果、本音響測定システムは正常に動作することが確認できた。上記1.から3.の結果の一部については学術会議にて発表を行った。 4. ITS-90に従い、上記1.のSPRTおよびcSPRTを水の三重点(TPW、0.01 ℃)およびインジウムの凝固点(FPIn、156.5985 ℃)において校正し、ITS-90の温度目盛の付いた温度計の準備が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
【QSR-3による試験・測定】QSR-3とその圧力容器の製作を完了させ、現有の液体恒温槽を用いて、TPWからガリウムの融解点(MPGa、29.7646 ℃)の範囲において熱力学温度の測定を試みる。単原子ガスとしてはアルゴンを検討しており、TPWおよびMPGaではその音速値が高精度に報告されているので、QSR-3により得られた結果との比較を行うことによって本システムの信頼性や健全性を評価する。QSR-3の信頼性を確認した後、70 ℃まで温度範囲を拡張させ熱力学温度の高精度な測定を試みる。 【分離型プラグの開発】昨年度に続き、高温域で使用可能な分離型音響システムを設計・製作して、高温仕様のマイクロフォーンを用いて室温の大気下において動作テストを実施する。同様に、電磁波測定については、耐高温アンテナの設計・製作を継続して実施するとともに、関連の動作テストを実施する。 【QSR-3の使用の高温化】QSR-3による熱力学温度の測定はTPWから70 ℃の範囲では液体恒温槽を用いて行う予定である。70 ℃以上の範囲では、QSR-3のための専用の電気ヒータを考案して新規の設計・製作に着手する。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)