多値情報処理技術が拓くデバイスを活かす配線主体の集積回路システム
Project/Area Number |
23K20958
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Project/Area Number (Other) |
21H01381 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21060:Electron device and electronic equipment-related
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
弓仲 康史 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (30272272)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,640,000 (Direct Cost: ¥12,800,000、Indirect Cost: ¥3,840,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | 情報通信工学 / 多値論理 / 高速信号伝送 / 高速伝送回路設計 / 波形等化技術 / 高速インタフェース / 多値情報処理 / 等化回路 |
Outline of Research at the Start |
半導体デバイスの極限微細化による高性能化と伝送データの大容量化に伴い、電気配線による高速信号伝送の要求が高まりつつある。しかし、配線の寄生容量等に起因する波形劣化により高速信号伝送が困難となり、トランジスタの処理能力が十分に活かされずにVLSIシステム全体の動作速度が配線に律速される問題が顕在化している。
本研究課題では、無線通信の分野で用いられている高度な符号化・信号処理技術が、VLSIシステムの情報伝送の高性能化に適用可能であることを新たな着眼点とし、「配線の高性能化に着目したデバイスを活かす集積回路の設計および評価技術体系の構築」を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
現在、0,1で情報を表現する2値論理に基づく集積回路の極限微細化とデバイス構造の革新により高速動作が可能なトランジスタが実現される一方、データセンタなどの伝送データ量の増大と高速化要求に伴う伝送波形の劣化によるデータ速度制限がVLSIシステム全体の性能を律速しつつある。これに対し、無線通信で用いられている高度な符号化および信号処理技術をVLSIシステムの有線データ伝送の高性能化に適用し、高速高効率な情報伝送を可能とする配線主体の集積回路システムの設計理論から回路実装・評価に至る技術体系の構築を本研究の目的とする。特に、次世代高速データ伝送規格で採用された多値符号化およびディジタル信号処理アシストに基づく波形整形技術に基づき、「多値情報処理技術が拓くデバイスを活かす新概念の高速信号伝送システムの応用展開」をシミュレーションおよび実測により検討を推進している。
R4年度は「多値信号特有の波形等化技術の検討とそのシミュレーションおよび実測による評価」ならびに「シンボルの2次元マッピングによる受信信号品質評価手法の検討」を行った。特に、従来、送信イコライザはFIRフィルタに基づく構成が一般的であったのに対し、IIRフィルタ構成を用いたイコライザの安定性に関する議論を行った。さらに、受信シンボルの2次元マッピングにより、従来のアイパターンでは評価できなかった閉じたアイパターンにおける伝送品質やイコライズ能力を可視化できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、以下の研究成果を得ると共に、論文の採択ならびに、当該分野のフラッグシップ国際会議(IEEE多値論理国際会議)における発表など、計画通りの進捗状況となっている。 [1. 多値信号波形等化技術の検討とそのシミュレーションおよび実測による評価] (1) 送信側波形等化回路であるFFEの設計において、従来のゼロフォースアルゴリズムとは異なる係数設定手法の検討を行った。伝送路のインパルス応答特性における理想出力と伝送路通過後のサンプル点に着目し、最小二乗法でFFE係数を求める手法が特に4値信号伝送において有効であることを明らかにした。(2) 送信イコライザにIIRフィルタ構成を用いた場合の安定性の議論を行った。IIRフィルタはFIRと比較し、少ない次数で波形整形が可能であるが、フィードバック構造による発振が課題であった。これに対し、システムの安定性判別手法を用いて、IIRフィルタが安定となる伝送路条件を明らかにした。 [2. シンボルの2次元マッピングによる受信信号品質評価手法の検討] 伝送信号品質評価には、受信信号波形を重ね合わせたアイパターンが一般的に用いられるが、アイパターンが閉じた場合など、伝送波形品質の評価が困難となる。これに対し、受信信号の現在と1シンボル前のシンボル値を2次元マッピングすることで符号間干渉およびイコライザ能力を視覚化可能とする新たな受信信号品質評価手法の検討を行った。 [3. 多値論理国際シンポジウム開催による研究成果の国際発信] 多値論理研究において世界で最も権威のあるIEEE多値論理国際会議の日本開催の誘致を行い、2023年5月、島根県松江市での開催が決定した。プログラム委員長として国際会議の運営をとりまとめ、3年ぶりの対面実施となる国際会議の開催準備を行い、本課題の研究成果の国際発信を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度は「多値信号特有の波形等化技術の検討とそのシミュレーションおよび実測による評価」ならびに「シンボルの2次元マッピングによる受信信号品質評価手法の検討」の深化をR4年度に継続して推進する。また、関連の国際会議の開催ならびに得られた研究成果の国際会議発表など積極的な国際発信を行う。 [1. 多値信号波形等化技術の検討とそのシミュレーションおよび実測による評価] 4値信号特有の遷移パターンに着目した波形等化回路の検討を行う。(1) 伝送路のインパルス応答特性に基づく従来のFFEとは異なる原理の送信イコライザの構成と設計手法の検討を行う、特に、多値符号特有の符号遷移に着目した回路構成を検討する。(2) 時間軸方向の波形整形改善を目的とし、等価的にサンプリング周波数を2倍とした分数遅延FFEの等価変換に基づくイコライザの回路構成と係数設定手法を引き続き検討する。任意波形発生装置で送信波形をエミュレートし、実波形を用いて各種伝送路における実証評価を行う。 [2. シンボルの2次元マッピングによる受信信号品質評価手法のさらなる検討] 受信信号の現在と1シンボル前のシンボル値を2次元マッピングすることで符号間干渉およびイコライザ能力を可視化する新たな受信信号品質評価手法のさらなる検討を行う。例として、2次元マッピングに1シンボル後のシンボル値情報を追加した3次元マッピングへの拡張を検討する。さらに、時間軸情報を追加した可視化手法などの検討を行う。 [3. 多値論理国際シンポジウム開催による研究成果の国際発信] IEEE多値論理国際会議(2023年5月、島根県松江市)の開催の準備を進める。特に、プログラム委員長として国際会議の運営をとりまとめ、3年ぶりの対面実施となる会議開催により、本課題の研究成果を世界に発信する。
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Report
(2 results)
Research Products
(17 results)