Project/Area Number |
23K20963
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Project/Area Number (Other) |
21H01412 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22020:Structure engineering and earthquake engineering-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 貴信 北海道大学, 農学研究院, 教授 (00279514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 文彦 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (10261596)
宮内 輝久 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林産試験場, 主査 (20446339)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥14,430,000 (Direct Cost: ¥11,100,000、Indirect Cost: ¥3,330,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
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Keywords | CLT / 防腐処理 / 防護柵 / インサイジング処理 / LSB / 床版 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、国産材の需要拡大に繋がると期待されているCLT(直交集成板)を、小規模な既設橋梁鋼橋の補修工事において採用し需要拡大を図ることを目的として、その実用化のための課題であるCLTの防水・防腐処理技術の開発と、CLT床版への防護柵の設置方法の検討を行うものである。 CLTの防水・防腐処理では,木材の寸法変化に追従することが期待できる被覆技術と新たなインサイジング処理技術による防腐処理を併用した方法を検討する。また、CLT床版への防護柵の設置方法については、簡易な車両用防護柵として、ガードレールの設置を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小規模な既設鋼橋の床版取替工事におけるCLT床版の実用化を目的として、①防腐処理方法の開発、②防護柵設置方法の検討、③橋梁の補修設計の提案を主たるテーマに研究を進めている。当該年度の主な研究成果を以下に示す。 ①防腐処理方法の開発では、R4年度までに行った小型試験体を用いたプレインサイジング処理したCLTへの油性薬剤の浸潤度を評価結果に基づき、R5年度には加圧注入処理を行った実大レベルのCLT試験体(スギ,5層5プライ,150×1000×2000㎜)について検討した。加圧注入試験ではクレオソート油では表層10mmの範囲でほぼ100%の薬剤浸潤度、ナフテン酸銅では断面のほぼ100%の高い浸潤度が確認された。 ②防護柵設置方法の検討では、経済性や橋梁の規模を考慮して、より簡便なガードレールを防護柵として設置する方法を検討し、R3年度に防護柵支柱の水平載荷試験を実施している。 この水平載荷試験結果をFEM(有限要素法)解析の結果と比較して実用化に向けて改良案の検討を研究分担者の後藤が中心に行い、その検証としてR5年度に同様の水平載荷試験を行った。これらのその成果は査読着き論文として投稿し掲載された。 ③橋梁の補修設計の提案では、床版取替の対象となる既設の橋梁を想定し、補修設計を行うための設計資料の整備を目指し、2級林道用のCLT床版の試設計を行い、CLT床版用の設計式を導く方法を提案している。これらの設計法の検証として、R4年度に架設工事が行われたCLT床版を用いた林道橋(北海道赤平市)を対象に車両載荷試験を行った。設計荷重相当のダンプトラックを橋梁上に載荷してCLT床版や橋梁全体の変形やひずみを測定した。これらの実験結果は土木学会等で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、プレインサイジング処理したCLTにクレオソート油およびナフテン酸銅の油性防腐薬剤を加圧注入することで、高い耐久性を有するCLT床版の実用化を検討しているが、幅1×長さ2 m程度の実大の大きさのCLTでも高い浸潤度を達成できた。一方、使用環境下での薬剤の染み出しによる汚染が懸念されることから、注入量を低減するため条件を変更した加圧注入処理の検討を行い、最適な注入スケジュールの目処が付いた。これらの処理条件を替えた試験体は暴露試験を継続しており、今後は耐久性評価を行う計画である。 防護柵設置方法の検討テーマについてはR4年度の解析的検討結果を踏まえた設計変更を行い、R3年度と同様の載荷試験を実施し、解析結果の妥当性や改良案の有効性が示された。 橋梁の補修設計の提案では、昨年度に研究成果が採用されて改修工事が行われた林道橋を対象とした載荷試験を実施して、設計方法の妥当性の検証を行った。本実験の結果、CLT床版を用いた橋梁をモデル化した有限要素解析により、CLT床版の変形挙動を再現できることが明らかになった。また、CLT床版の安全性や設計の妥当性は示された。 以上を総合的に判断して、本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はR4年度までに順調に研究計画を遂行できたことで十分な成果が得られており、それらは北海道内の林道橋を対象とした床版取替え工事において採用されるに至っている。また、R5年度にはCLT床版が採用された北海道内の林道橋を対象に対象に供用後の橋梁におけるCLT床版の性能評価を目的とした載荷試験を実施することで、設計法の妥当性の検証やFEM解析との比較など様々なデータ収集と評価を行った。今後の研究では、これまでに得られた成果をとりまとめて、CLT床版を対象とした防腐処理技術、防護柵設置方法、CLT床版の橋梁設計手法のマニュアル作成を行い、提案していくこととする。 本研究の成果はこれまでと同様に土木学会の全国大会や土木学会論文集で情報発信を行う計画である。また、土木学会木材工学委員会・木橋の新技術に関する研究小委員会において情報共有を行い、同委員会において橋梁補修工事におけるCLT床版のマニュアル化の検討を行う計画である。 本研究の成果により、CLT床版に関する問い合わせや関心が増していることから、引き続き研究を推進し、積極的に研究成果の公表を行うことで、研究の達成度を上げていく計画である。
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