下水処理プロセスを担う原生動物のメタン生成マイクロリアクターとしての代謝基盤解析
Project/Area Number |
23K20979
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Project/Area Number (Other) |
21H01467 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22060:Environmental systems for civil engineering-related
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新里 尚也 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (00381252)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,770,000 (Direct Cost: ¥12,900,000、Indirect Cost: ¥3,870,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
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Keywords | 排水処理 / 原生動物 / 嫌気 / 細胞内共生 / メタン / バクテリア |
Outline of Research at the Start |
人社会における重要なインフラのひとつである下水処理プロセスにおいて、有機物分解の主要な役割を担う原生動物は人為的に培養することが困難であり、その生態や生理に関する知見が著しく不足している。本研究では応募者が下水処理プロセスより培養化に成功した世界的にも希少な複数の原生動物株について、網羅的な遺伝子発現の解析や、細胞内に共生するメタン生成菌やバクテリア共生体の全ゲノム情報の解読等を行って、原生動物が担う有機物の分解からメタン生成までの代謝ネットワークを明らかにし、下水処理プロセスの高度化に資する基盤的知見の収集を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに沖縄県内の浄化センターより培養株を樹立したScuticociliate GW7株の細胞内共生バクテリアである、Ca. ヒドロゲノソモバクター・エンドシンビオティカスの全ゲノム解析を完了して論文として報告した。今年度は、得られたゲノム情報より当該バクテリアの基本的な代謝様式を推定することで、宿主原生動物への寄与について考察した。その結果、Ca. H・エンドシンビオティカスは、解答系やTCAサイクル等の中央代謝に関する遺伝子をほとんど欠失していることが明らかとなり、どのようにエネルギーを得ているかが判然としなかった。その一方で、Ca. H・エンドシンビオティカスは、水素産生オルガネラであるヒドロゲノソームに密着して存在していることから、エネルギー源として水素を利用していることが考えられたが、この場合は付随するメタン菌と水素をめぐって競合することになり、2つの共生体が共存することは難しいと考えられた。また、ゲノム情報の詳細な解析から、NiFeヒドロゲナーゼ等の水素利用に必要な酵素もコードしていないことが示された。その一方で、Ca. H・エンドシンビオティカスはリッケチアに近縁なバクテリアであり、多くの近縁種と同様にATP/ADPトランスロケースをコードしていた。リケッチアは他の生物に感染してATP/ADPトランスロケースを利用して宿主よりATPを搾取して生存していることから、当該バクテリアもヒドロゲノソームから生成されるATPをエネルギー源として得ている可能性が考えられた。しかしながら、ATPを得るだけでは寄生していることになるが、宿主であるGW7株の生育は極めて良好であり、ATPを得る代わりに宿主に対して何らかの寄与があるのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ca. H・エンドシンビオティカスのゲノムは極めて縮退しており、機能している遺伝子の絞り込みが比較的容易であったことから、当該バクテリアの基本的な代謝様式を概ね推定することができた。宿主原生動物のヒドロゲノソームよりATPを得ているとする仮説は、リケッチアの持つ特徴のひとつであり、合理的な説明ができるものとなっている。また、当該バクテリアがATPを恒常的にヒドロゲノソームより取り込むことにより、ヒドロゲノソームの代謝が活性化される可能性もあり、この場合はヒドロゲノソームから水素を得ている共生メタン菌にとってもメリットのあることであると思われる。GW7株におけるメタン菌、Ca. H・エンドシンビオティカスとの3者間共生は、これまでに報告のない複雑な共生現象の事例となる可能性があり、ゲノム情報から得られた仮説を支持する生理学的、酵素学的な検証を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
共生バクテリア、Ca. H・エンドシンビオティカスの機能推定については、第一に抗生物質で当該共生バクテリアを処理した際の宿主原生動物への影響を評価する予定である。また、ATP/ADPトランスロケースについては、まずは発現しているかをRT-PCRにより確認する実験を行う。発現が確認された際には、クローニングと発現を行って酵素活性の評価を行うことを検討する。 また、別の原生動物株であるトリミエマ・コンプレッサムの共生バクテリアであるTC1の機能解析を目的に、ゲノム解析の結果から推定されている、脂質ならびにイソプレノイドの合成経路を阻害剤で処理することで、宿主の生育にどのような影響があるか評価する予定である。具体的には、マラリア原虫のアピコプラストの機能解析例を参考に、脂質合成をトリクロサンもしくはチオラクトマイシンを用いて阻害するとともに、イソプレノイド合成経路をフォスミドマイシンにより阻害することを試みる。この代謝阻害実験により、これらの代謝系の宿主への寄与を直接的に検証することができると思われる。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)