Project/Area Number |
23K20997
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Project/Area Number (Other) |
21H01517 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西澤 泰彦 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (80242915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 康雄 山形大学, 工学部, 教授 (30207972)
砂本 文彦 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (70299379)
青木 孝義 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 教授 (10202467)
小松 尚 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (80242840)
角 哲 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90455105)
湯澤 規子 法政大学, 人間環境学部, 教授 (20409494)
服部 亜由未 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (70708370)
橋寺 知子 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (70257905)
安野 彰 日本工業大学, 建築学部, 教授 (30339494)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥15,600,000 (Direct Cost: ¥12,000,000、Indirect Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
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Keywords | 公共施設 / 鉄筋コンクリート / 近代日本 / 耐火 / 耐震 / 鉄筋コンクリート造 / 混構造 / 耐風 / 公会堂 / 学校 / 市庁舎 / 日本近代 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、近代日本の公共施設に焦点を当て、特に1910年代から1950年代にかけて、鉄筋コンクリート造(以下RC造)建築物として建てられていく過程とその背景を明らかにし、RC造公共建築物が持つ社会的、文化的な意味も加味したうえで、それらを建築史上に位置づけるものである。従来、建築分野における公共施設のRC造化は、耐火、耐震性能の確保という位置付けがなされてきた。しかし、それによらない事例が各地で存在しており、本研究では、建築史分野の視点のみならず、建築計画、建築構造、さらに社会史や文化の視点から公共施設のRC造化を考え、RC造公共建築物の再評価を試みるものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、庁舎、学校、公会堂を中心に、建築技術的視点や防災の視点、RC造建築物が持つ文化的、社会的側面に関する視点に基づき詳細な情報把握を進めた。また、「1910-50年代RC造公共建築物一覧」の補足作業の結果、2021年度リストに、関東1027件、北陸19件、を加えた。特に重要と考えられる市庁舎54件、学校143件、公会堂58件、を収録したリストを作成した。なお、「公共施設のRC造化相関図」について、公会堂の試作をおこなった。 本年度は研究会を3回開催した。その結果、以下の点について合意を得た。1)現在的な意味での鉄筋コンクリート造ではない過渡期の構造(RC造壁+木造床+木造小屋組など)、鉄骨にコンクリートをまいた鉄骨コンクリート造もReinforced Concreteという表現に合致しているので、本研究の対象とする。2)公共施設をRC造化する意味はどこにあるのか、改めて検討が必要。3)地域の災害特性や気候との関係がある。例えば、「防火帯建築」と呼ばれた大火など火災頻発で不燃化目的のRC造普及がある。 今年度は研究成果の発信を兼ねてシンポジウム「関東大震災前後のRC造建築物を考える(その1)」(2023.2.3,名古屋大学、参加者30名)を開催した。報告は以下の通り。砂本文彦「小学校の整備と鉄筋コンクリート造校舎」/角 哲「民間が先行した北海道のRC造化」/西澤泰彦「愛知県における関東大震災前後のRC造建物」/永井康雄「雑誌『建築世界』にみられるRC造建築の記事について」。 その後、栢木まどか(東京理科大学)氏のコメントと意見交換をおこなった。その結果、関東大震災前に各地でRC造建造物が出現していること、長崎では耐震性能よりも敷地の有効活用が主因でRC造の新校舎が建てられていった事実が判明し、RC造の耐震性能は全国的なRC造の普及の一つの要因でしかなかったことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は研究会を3回開催(オンライン)し、また、対面によるシンポジウムを通して、本課題の内容を再検討した結果、別途「研究実績の概要」で記した3点の新たな知見を得た。特に、シンポジウムで指摘された通り、1)関東大震災以前に全国各地にRC造建造物が出現していたこと。2)長崎での事例に見られる通り、RC造校舎建設の主因は、制約のある敷地を有効利用し、高密度な校舎をつくることであったこと。3)雪の多い金沢では、校舎を木造で作りながら、講堂をRCで建てていたこと。これらを勘案すると、学校や庁舎が必ずしも耐震性能が求められたわけではなかった。RC造校舎の耐震性能は、RC造公共施設が行き渡る一因にしかならなかったといえる。 なお、「公共施設のRC造化相関図」については、公会堂について試作したが、他については、令和5年度の調査を終えてから作成することとした。なお、庁舎では、不燃化、大規模化、市民窓口の拡大(カウンター普及)という3要素が考えられる。 以上によりおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度(2023年度)は、これまでの成果を踏まえ、第2段階(令和4~5年度)の2年目として、目的②③に応じたRC造公共建築物の特徴把握の後半をおこなう。具体的には、官庁舎、学校、病院、図書館・博物館・美術館、公会堂のうち、病院、図書館・博物館・美術館について、耐火・耐震・耐風性能に関する建築技術的視点や防災の視点、RC造建築物が持つ文化的、社会的側面に関する視点に基づき、詳細な個別情報の把握を進める。そして、その成果を公共建築物の種別ごとに「1910-50年代主要RC造公共建築物一覧―技術・意匠・社会的評価」としてまとめ、さらに、それを視覚化するため、公共建築物の種別ごとに「公共施設のRC造化相関図」を作成する。例えば、いずれの公共建築物についても、規模/機能/不燃化・耐震という独立した3つの評価軸を設定すれば、分かりやすい相関図が描けると想定しており、建物種別ごとに相関図を描いてみる。相関図は外国語にも翻訳する予定である。 これらを進めるため、研究代表者・分担者間の情報共有を図るため、オンライン開催を含めた研究会を6回開催する。研究会では、調査の進捗状況の確認のみならず、対象物への評価方法、評価内容について意見交換をおこない、複眼的で総合的な評価ができるように工夫する。また、2022年度に引き続き、シンポジウムを開催する予定である。シンポジウムでは建築計画や建築構造の専門家にも参加してもらい、公共施設のRC造化を総合的にとらえることを試みたい。
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