Project/Area Number |
23K21000
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Project/Area Number (Other) |
21H01520 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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Research Institution | Higashi Nippon International University |
Principal Investigator |
柏木 裕之 東日本国際大学, エジプト考古学研究所, 客員教授 (60277762)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,380,000 (Direct Cost: ¥12,600,000、Indirect Cost: ¥3,780,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
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Keywords | 古代エジプト / 木造技術 / 木造船 / 古代建築史 / 古代木造技術 / クフ王 / 復元研究 / 木造建築技術 / 古代船 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題はエジプト、クフ王のピラミッド近傍から発見された木造船を対象に、古代の木造建造技術を実証的に研究する内容である。木造船は紀元前2500年頃に建造され、盗掘被害に遭うことも無く、当初の状態を留めた奇跡的な遺構である。全長40mを超える規模を持つことから、木造建築と言っても過言ではなく、この船を通じて古代木造技術の詳細が明らかになることが期待できる。木造船は解体された状態で埋設され、これまでに1600点を超える部材の実測をほぼ終え、基本的な考察を完了した。さらに全体像の復元考察も終え、模型を作成して細部のおさまりを確認した。本研究完了後、これらの成果を報告する計画である。
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Outline of Annual Research Achievements |
エジプト、クフ王のピラミッド南脇から発見された2隻の木造船は、盗掘被害を受けることなく、紀元前2500年に埋設された状況を保つ、世界的にも貴重な実物資料である。本研究はこの木造船を対象に、古代の木造技術を実証的に探る内容である。 2隻のうち西側の船(クフ王第2の船)は日本・エジプト合同調査隊によって2011年から調査が開始された。研究代表者はこのプロジェクトに最初から参画し、取り上げられた部材の記録および復元案の作成に従事してきた。おさめられた木造船の部材は1600点ほどを数え、2023年度までの調査により9割近くの部材を資料化することができた。 一連の実測、観察作業の結果、船の全体形状を把握することができ、復元模型を作成することができた。更に隣接するクフ王第1の船との比較考察を進め、相違点を詳しく検討した。中でも第1の船に用いられていない部材が複数あることが分かり、それらの復元考察を進めた結果、改変が行われた可能性が高いと判断された。また船体の大型部材を実際に並べ、部材相互の継ぎ手や仕口等を確認したほか、複数の部材にまたがって書き付けられた文字の意味や役割を探った。 2023年度は古代木造技術の一つとして、製材方法や木取りの研究を行った。年輪年代学の専門家とともに木材の年輪を詳しく調査し、レバノンスギの年輪の示準作成を目指した。また例えば一枚のパネル部材の板は、同じ木材から木取りされたことが分かり、製材と木材加工の工程を描くことができた。さらに木材の木表木裏を意識した使い方の可能性が窺われた。 クフ王第2の船は解体された状態で発見されたため、その復元には壁画や模型との比較考察が欠かせない。そこで2023年度はルクソール地域の高官墓に描かれた船を収集し、マストや櫂の設置方法、複数隻における牽引の方法などを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、10月と12月、更に2024年1~2月の計3回エジプトで現地調査を実施した。調査は木造船の実測作業、船体の復元考察と、壁画、模型資料の収集が中心を占めた。解体された木造船の部材は1600点あまりに及び、2023年度までの調査によって9割以上の実測を完了した。残りは小片が大部分を占めることから、復元研究に必要なデータはほぼ入手できたといってよく、包括的な検討を進める準備が整った。また実測した部材の報告も合わせておこない、2023年度は3組6本の甲板桁を取り上げ、その特徴やおさまり、改変の可能性などについて言及した。 木造船は全長40mを超える規模のため、約30個で構成される船体部材も巨大である。だが劣化が進み、大部分は複数に分けて取り上げられた。実測作業も分けて行われ、復元は図上で実施した。2023年度はこれらの部材を実際に並べ、部材同士の接合関係を確認しながら図上復元の妥当性を検討することができた。 また年輪を利用した木材加工技術の解明を試みた。年輪から伐採年を探る試みは世界各地で行われているが、主要木材であるレバノンスギの年輪示準は未だ確立していない。紀元前2500年頃に建造された当該船は、木材としての資料的価値も高い。そこで年輪年代学の専門家とともに年輪を詳しく記録するとともに、年輪の形状を用いて木取りの検討を行った。具体的には右舷左舷で類似した部材や複数の板で構成されるパネル部材の板が、同じ丸太から製材されたのか、また木表木裏の意識的に使い分けたのかについて基礎的な資料収集を行った。その結果、丸太から板への製材と板を組み合わせる木材加工は同一工房で進められた可能性が高いことが知られた。 木造船の調査と並行して壁画資料の収集を行った。特に2023年度はサッカラ、ルクソール両地域の壁画を重点的に収集し、櫂のおさまりや曳航船について検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
クフ王第2の船プロジェクトは、2023年度の調査で主要な部材の実測調査をほぼ終えることができた。今後はこれまでの資料を整理、公開する作業に取り組む予定である。最初期に実測された部材には、痕跡や特徴の見落としの可能性があるため、改めて全部材の点検を実施し、必要に応じて現地で補足調査を行う計画である。 船の復元考察を進める過程で改変が行われた可能性が高いことが知られた。不自然なおさまりや使われなかった孔などを集め、当初の船の姿の復元を目指す。また木造船は船着き場で解体されピラミッドの麓に運ばれた後、儀式を行うために組み立てられ、再度解体、埋設された可能性が高いことがわかった。他のピラミッドの船など比較資料を集め、一連の葬送儀礼を復元的に描くことを目指す。 木造船の形状復元に加え、設計技術の検討が課題である。船は三次元の複雑な曲面を持ち、現場合わせの箇所もあるが、第1の船と第2の船が多くの点で酷似していることから、船体のカーブや船幅など主要な長さは計画されていた可能性が高い。各部の寸法がどのような基準寸法で、どのように規定されたのかを解明する計画である。 年輪の分析研究の成果を援用した施工技術の研究を進める計画である。これまでの研究から、丸太の状態で運び込まれた木材を板に製材し、それらを組み合わせて一つの大きな部材にする工程が、同じ工房の中でなされた可能性が高いことが分かった。資料を集め、製材から組み立てまでの一連の工程を生き生きと描く計画である。古代の木造は実物資料が限られ、こうした工程を実証的に提示することは難しい。本研究は紀元前に遡る木材の実物資料を取り扱うことが出来るという恵まれた位置にあり、これを活かしながらこの課題に取り組んでいきたい。
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